こんにちは、リブラです。
今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第2章の解説です。
11年間関節炎に苦しみ、頭と片方の親指だけしか動かせない男性患者が、エリクソンに
「動かせる親指があるのだから、それを動かさなくてはいけません。毎日その親指を動かす練習をして、忌々しい時間をやり過ごすのです」―親指を呪った男―より
といわれて動く親指を認め、それに影響されて動く他の指も認め、ついには手首が動いた事実を認め、課されたペンキ塗りができたことに自信をつけてトラック運転手の職を得て、組合長の責任を担い、大学に進学するまでの意欲を引き出したのは、レジリエンス(挫折や絶望から立ち上がる回復力)が起こした奇跡でした。
そのレジリエンスは、痛みや障害を受容し利用する方法を見つけることで効力が発揮されることが、この本で説明されています。
この男性は、11年間関節炎の痛みと闘い、妻の介護なしには身動き1つできない状態に陥っていましたが、動く親指に希望を見つけ、関節炎と共に生きる人生を受容しました。
その瞬間から、彼のフォーカスは、痛みと闘うことではなく、痛みがあってもできることに向かいました。
その結果、関節炎は完治しなくても彼の身体は彼の意思でやりたいことを可能にするようになっていったのです。
この男性は関節炎で痛む身体に絶望し、人生の可能性をすべて諦めていたのを、痛みを相棒にすることでその時々の身体の状態で可能なことにトライして、次々と望みを叶えていったのです。
そして、ついに
「毎年雨期が来て、痛む関節を抱えてベッドに縛られるのを、読みたくても暇がなかった良書を読む機会だと思って楽しみにしている」とまでいえるようになったのでした。
この章では、「痛みと闘うことをやめる」ことで奇跡を起したレーサーの語った話も挙げて、「順応性とレジリエンス」の関係を示しています。
「2003年自動車ロードレース『ツール・ド・フランス』に出場したタイラー・ハミルトン選手は、第1ステージで衝突事故に遭い、鎖骨を骨折した。
そして、激痛にもかかわらず、最後まで走り通して、第4位に入っている。
この驚くべき偉業はいかにして成し遂げられたのかを問われると、ハミルトンは、『痛みを受け入れるようになったからだ』と答えている。
いったん痛みと闘うのをやめると、姿勢やバランスや思考に必要な調整を行えるようになったのだという。
これはたぶん、エリクソンが融通の利かない頑固さについて、心理療法で扱うもっとも一般的な問題だと説明したときに伝えようとしたことであろう」
ー「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」ーより
逆境から這い上がるための奇跡の宝刀<レジリエンス>は、痛みと闘うのをやめて受容するとき発動するとは、高度な統合にわたしたちを向かわせる力なのだと思いました。
痛みや障害は一刻も早く取り除きたい、と普通なら思います。
でも、それは問題を取り除くだけの分離思考で、そもそも、痛みや障害が知らせようとしているサインがあることを忘れています。
痛みや障害が身体に出たとしたら、それは口のきけない身体の表現であることに気づく必要があります。
わたしたちは、身体に痛みや障害が出てはじめて、身体が通常通りに働いてくれるありがたさを痛感します。
そして、痛みや不自由さを実感することで、身体とともに生きていることを思い出すのです。
痛みや障害を身体が表現しているときこそ、強い絆を身体の主に求めているのです。
心も然りです。ネガティブな感情で自身の心が悲鳴をあげているとき、そういうサインを鬱陶しいと思ったり、ダメな自分と思ってしまったら、その瞬間、顕在意識と潜在意識の分離が起きます。
切り離すと感情は鈍くなり煩わされなくなりますが、当然潜在意識や身体との信頼関係はなくなります。
そうなると敵対関係のようになるのは自然の成り行きです。
ますます、心や身体は、思惑通りに働いてくれなくなり、扱いづらい状態になります。
そんな状態になったら、レジリエンスの発動のチャンスだと思って、思い通りならない心や身体の叫びを受容しましょう。
鈍くしたり、無視したりコントロールする顕在意識よりも、ダイレクトに痛みやネガティブな感情を抱えている身体や潜在意識の方がずっとつらいのです。
そのつらさを1つの人生を生きる運命共同体として受けとめる姿勢を見せるとき、潜在意識や身体は顕在意識との信頼関係の絆を取り戻し、レジリエンスのパワーで奇跡的な復活を遂げるのです。
心と身体と魂意識が三位一体で共振する状態を取り戻せるのです。
心と身体と魂意識が三位一体で共振するときは、「大いなる存在」とも一体になって共振するので、「喜び」の周波数を放射する源泉になれます。
すると、神羅万象・万物も従う現象を起こせます。
レジリエンスが奇跡的な結果を引き起こすときは、背後にこのようなプロセスが働いているのです。
次回はミルトン・エリクソンの心理療法<レジリデンスを育てる>の解説を予定しています。
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