こんにちは、リブラです。
今回も、ジェームズ・クリアー著「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説をしていきます。
第16章 良い習慣を毎日続ける方法
バンクーバーの陰に隠れた小さな町アボッツフォードの銀行に、株式仲買人ディアズミッドは雇われました。
ディアズミッドは、当時まだ23歳。新米なので、大きな取引のチャンスは全く巡ってきませんでした。
彼は仕事のモチベーションを保つため、ある工夫を思いつきました。
ディアズミッドは毎朝、ペーパークリップが120個入った瓶と空っぽの瓶を机の上に用意します。
彼はセールスの電話をかける度に、ペーパークリップを1個取り出し、空っぽの瓶に移します。
彼は、毎日120個のペーパークリップを全て空瓶に移し終えるまで、セールス電話をかけ続けることを習慣にしたのです。
18か月後、ディアズミッドは500万ドルの利益を銀行にもたらしました。
その後まもなく他の会社に移り、年収数十万ドルを受けとれる仕事に24歳で就くことができました。
目に見えるものでその量を測ると、進歩した証拠がはっきり表れます。
すると、行動が強化され、どんな行動でもわずかな達成感がすぐ得られます。
習慣トラッカーとは、習慣を行ったかどうかを測るシンプルな方法です。
習慣トラッカーにより習慣の記録をつけていると、続ける意欲が強化され、習慣の鎖を断ち難くなります。
ただし、習慣トラッカーを続けるには、行動をシンプルにして「はっきり」させ、「魅力的に」し、「満足できる」ものにする必要があります。
記録をつける行動自体が面倒くさいものだったり、達成感を感じられなければ、続かないからです。
ディアズミッドのようにペーパークリップを空瓶に移し替えるだけとか、カレンダーの日付けにチェックを入れるだけとか、リストに傍線を引くだけなど、習慣を行った直後にすぐできる簡単な行動が、習慣トラッカーが続く秘訣です。
ー「複利で伸びる1つの習慣」より引用ー
やる気の起きない単調な仕事や義務感でやる仕事など、モチベーションが湧かない仕事にごり押しで向かうとき、心や身体は悲鳴を上げています。
思考が「これ、やりたくない。やだなあ」と呟くと、外の世界は「我関せず」の潜在意識や潜在意識と直結する身体は「だったら、やめよう。やらない方向で行こう!」というモードになります。
顕在意識の操縦席に君臨しているエゴは「とにかく仕事をして稼ぐのだ!生きるために働くのだ!モチベーションなんて関係ない!」と号令をかけますが、「やりたくない?だったらやらない方向で」という気分が心と身体に漂います。
「やりたくない気分」を払拭するには、行動を起こすきっかけが必要です。
きっかけにフォーカスが向かえば、とりあえず心と身体の方向は、きっかけに連なる行動の自動運転に乗ることができます。
新米の株式仲買人のディアズミッドも、小さな町の銀行で見ず知らずの人にセールス電話をかけまくり、断られ続けて心が折れそうだったのでしょう。
でも、その折れた心の状態で仕事を無理強させれば、顕在意識のエゴと潜在意識の副人格たちの亀裂は深くなるばかりです。
自分の思考に心と身体が反発して、病気を引き起こす事態にもなりかねません。
こんなときはモチベーションが上がる(ドーパミンの放出を促す)、何かの工夫を捻り出す必要があります。
顕在意識のエゴと潜在意識の副人格たちの方向性を一致させてあげることが、思考の向かう先と行動の向かう先を揃え、目的に近づく喜びを演出し、自分を大切にすることにつながります。
目的に向かって繰り返しの行動を習慣化すると、予測報酬の神経伝達物質であるドーパミンが少しずつ放出されるようになります。
自発的に設定した目的であればあるほどモチベーションが上がり、さらにその習慣が持続する可能性が高くなります。
それは言い換えれば、やりたくないこと(やらされている感があるもの)は、自発性が欠如しているのでモチベーションは上がらないを意味します。
ならば、やりたくないこと(やらされている感があるもの)に自分のアイディアや工夫やこだわりを付け加えて自発性を引き出そうという手法が、習慣トラッカーなのではないかと思います。
わたしがまだ検査技師になりたての、ディアズミッドと同じくらいの24歳頃(40年近く前)、まだ自動血球測定機が赤血球数と白血球数とヘモグロビン濃度までしか測定できない機種が使われていました。
当時は、赤血球数とヘモグロビン濃度で貧血の度合いを、白血球数で炎症の度合いを緊急検査で測れれば良いという時代でした。
けれども、検査機器の進歩に伴い、血小板数が同時に測れる機械が主流になった頃、わたしの出向先の病院は、まだ、血小板数は顕微鏡と数取器を使い、目視で数えて測るしかない用手法でした。
自動測定可能な赤血球数と白血球数とヘモグロビン濃度と同様に、血小板数まで緊急検査でオーダーされると、手が2本では足りない忙しさに見舞われるのです。
「血小板数も至急で!」といわれると、「血小板数まで測定できる機械を置いてくれないのに、血小板数至急で出さないくれ~!」と心の中で悲鳴を上げていました。
検査センターの上司にこの窮状を相談しても、「今の機種が故障したら、次は全部測れる機械になるから、もうちょっとがんばってみて」とあっさり言われて、意気消沈しました。
血小板数算定に使う、メランジュールピペットも、スライドガラス型計算盤などの道具を見るのもうんざりしました。
そんなある日、その上司がひょっこり訪れ、「いいものあげるわ!この容器、可愛いでしょ!血小板数算定のときの染色に使う湿潤箱にいいと思って」といって、花柄模様のタッパーをくれました。
そして、その上司が若い頃は、赤血球数も白血球数も全部顕微鏡で目視で数えていて、ヘモグロビン濃度も別に用手法で測っていて機械で自動化できるものはほとんどなかったと聞きました。
わたしに比べたら、ずっと過酷な状況で検査していた経験がある人なのに、血小板数の算定の至急ぐらいで音をあげているわたしのために、わざわざ花柄模様のタッパーの湿潤箱を届けに来てくれたんだな、と思いやりに気づきました。
自動化の時代に手動で検査することを嘆いていましたが、ここで発想の転換をして、全部目視で算定していた昔に比べれば楽になったものだと思うようにしました。
それに、わたしは銚子沖地震のときに、長時間の停電の最中、ショック状態の急患のヘモグロビン濃度の測定を頼まれ、電気がなければいかに機械が無力かも経験しました。
そのときは、塩酸と比色管と太陽光を使うザーリ法という昔の方法で、ヘモグロビン濃度測定をやってのけたのです。
わたしは機械化の進む時代に、「レトロな道具を使って検査する<遊び>しているのだ」と思って血小板数測定のモチベーションを引き出しました。
すると、手間暇かかる作業工程も、手慣れて早くなってくる自身の手技にもやり応えを感じるようになったのです。
このとき、わたしの思考も心も身体も、いかに早く血小板数測定をするかというゴールに向けて、記録更新に精を出すモードに切り替わっていたのだと思います。
次回も「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説を予定しています。
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