こんにちは、リブラです。
今回も、ジェームズ・クリアー著「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説をしていきます。
第14章 良い習慣を必然にし、悪い習慣を不可能にする方法
作家のビクトル・ユーゴーは、新しい本を書く約束を出版社としていたのにもかかわらず、1年経っても執筆に取り掛かることができませんでした。
彼は、執筆以外のことに没頭したり、客をもてなすことに、つい、追われて1年を過ごしてしまったのです。
業を煮やした出版社は、あと6か月以内の締め切りを提示してきました。
ユーゴーは、先延ばしの癖を克服するために、風変りな策をとりました。
自分の服を全部集めて助手に渡し、「大きなタンスにしまって鍵をかけてくれ!」と頼んだのでした。
その結果、ユーゴーは外出にふさわしい服を着ることができないので書斎にこもり、秋と冬の間中、がむしゃらに執筆をして、「ノートル=ダム・ド・パリ」を予定より2週間早く書き上げました。
ときには、良い習慣を身につけるより、悪い習慣を断つ方が成功につながることがあります。
これは行動変化の第3の法則「易しくする」の逆、「難しくする」を採用して悪い習慣を封じ目的を達成した例です。
ユーゴーが使った方法は、心理学者が「背水の陣法」と呼ぶ方法で、未来の行動を導くために、悪い習慣を行いにくくすることで、良い行動をする確率を上げるものです。
未来の行動を確かなものして、自分に良い習慣をつけさせ、悪い習慣から離れさせるのです。
この「背水の陣法」に「習慣の自動化」をプラスするとさらに良い方法になります。
「背水の陣法」で追い込んだ後、「習慣の自動化」で間髪を与えず良い習慣を実行する流れに乗せるのです。
この方法は、たまにしか行わないため習慣になりにくい行動の場合、役に立ちます。
ー「複利で伸びる1つの習慣」より引用ー
ユーゴーもやっていた追い込み式の習慣「背水の陣法」は、しんどいけれど長期間集中しないとできないことをやり遂げるため、誰もが無意識にやっている方法だと思います。
学生の頃の夏休みの宿題や入試や資格試験の勉強、期限が迫った仕事、火事場の馬鹿力を出さねばならない局面など。
特にクリエイティブな仕事をするアーティストは、「背水の陣法」で追い込まれた方が良い作品ができると言う人が多いようです。
どうしてストレスフルな状態に追い込まれて良い作品ができるのでしょうか。
その秘密は、快楽ホルモンのβエンドルフィンです。
モチベーションの源ドーパミンは、「報酬の予測」によって前払いで放出される神経伝達物質ですが、長期的な目的の達成には効果が薄く、繰り返し行動の中で放出量が徐々に増し、習慣を続ける意欲を引き出すのものでした。
そのため、習慣づけのきっかけ(習慣の入り口)に辿り着くまでが難関で、きっかけ(習慣の入り口)を「易しく」したり「魅力的」にする必要がありました。
ユーゴーのように、「報酬の予測」は出版社により約束されてはいるものの、きっかけ(習慣の入り口)を易しくすることができないような案件では、強制的に「書く習慣」に追い込むしかなかったわけです。
「報酬の予測」ぐらいでは1年経過しても着手できなかったのに、「背水の陣法」で強制的に執筆に追い込んだからといって、なぜ、ゼロから新しい作品を生み出すほどの集中力が半年間も続くのでしょうか。
それは、βエンドルフィンならではの変わった特性がそれを可能にさせるからです。
βエンドルフィンは、痛みや苦しみや飢えなどのストレスフルな状態が持続されると脳内で分泌され、麻薬のような幸福感を醸し出す快楽系のホルモンなのです。
おそらく、ユーゴーにとって外出や社交の禁止で書斎に籠ることは、飢えや苦痛に相当するほどストレスフルだったのでしょう。
それが長期間できないまま執筆の苦役が続くと、やがてβエンドルフィンが分泌されるようになり、「籠って書くこと」が快楽に変わるのです。
「籠って書くこと」が快感に変われば、何もかも忘れて物語を書くことだけに没入することができます。
極限状態になると現れるこの種のホルモンの存在を知ると、わたしたちの身体はなんて慈悲深いシステムでつくられているんだろうと思います。
計画的に余裕をもってスケジュール通りにスマートな習慣で仕事をこなせたら、確かに理想的かもしれません。
でも、それはわたしたちが通常運転で使う左脳的なコントロールの効いた手段です。
左脳的なコントロールも予測も通用しない奇跡的な展開を望むなら、右脳の応援を要請しなければなりません。
左脳は過去どうだったから未来はこうなるしかない、と制限をかけます。
でも、右脳には、過去も未来もなく、「今、ここ、現在」しかありません。
過去も未来も、結果も、失敗の恐怖も何にもなく、目の前のことに集中するだけです。
この状態をお膳立てしてあげれば、右脳は自由にその潜在能力を発揮します。
また、右脳には孤立した意識はないので、脳のネットワークを協調させてありとあらゆる可能性を追求します。
右脳がもし喋れたとしたら「目の前のことに全身全霊を込めてコミットしたら、不可能は可能になる」と、自信満々で言うのでしょう。
わたしたちのエゴは、左脳を駆使して目的を達成させたいので、コントロールも予測も通用しない奇跡的な展開は極力避けようとします。
ですが、危機的状況に追い込まれたときには、「背水の陣法」で右脳にバトンタッチをして至福のうちに目的を達成を遂げる機能も、わたしたちには備わっているのです。
次回も「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説を予定しています。
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