こんにちは、リブラです。

今回も、ジェームズ・クリアー著「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説をしていきます。

 

第8章 習慣を魅力的にする

 

ドーパミンという神経伝達物質は、動機づけ、罰と嫌悪、随意運動など様々な神経プロセスで中心的役割を果たしています。

 

ドーパミン喜びを経験するときだけではなく、喜びを予測するときにも放出されます

 

報酬がありそうだと思うといつも、その予測でドーパミンの量が急増します。

 

ドーパミンが増加すると、行動へのモチベーションも上がります。

 

わたしたちを動かすのは、報酬の実現ではなく、報酬の予測です。

 

ギャンブル依存症の人の場合なら勝った後(報酬を得た後)よりも、賭けをする直前(報酬の予測時)にドーパミンが急激に増えます。

 

大損して負けて(報酬を失って)もなお、ギャンブルに走るのは、賭けをする直前(報酬の予測時)のドーパミンの快感が大きいからです。

 

興味深いことに、報酬を受けたときに脳内で活動する報酬系と、報酬を予測したときに脳内で活動する報酬系同じものです。

 

科学者はこれを「欲する(報酬の予測時のドーパミン放出によるモチベーションアップの感覚)」と「好む(報酬を得た時のドーパミン放出による喜び)の違いを区別して呼んでいます。

 

わたしたちの脳は、「好む」報酬よりも、「欲する」報酬のために、はるかに多くの神経回路を割り当てています。

 

多くの神経回路を割り当てているだけでなく、その「快楽スポット」における神経の活性化も、「欲する」報酬のためには100%に対し、「好む」報酬のためには10%にすぎないという研究結果も出ています。

 

人を行動へと駆り立ているものが、報酬を予測したときに放出されるドーパミンなのだとしたら、「報酬となる経験への期待」のきっかけとなるものは、魅力的である必要があります。

 

習慣を魅力的にするには「誘惑の抱き合わせ(テンプテーション・パドリング)」という戦略が役に立ちます。

 

自分がしたい行動(欲すること)としなければならない行動をセットにして、習慣を魅力的にするのです。

 

ネットフリックスの動画が観たいが、運動不足も気にしている電気工学部の学生は、サイクリングマシンを改造し、パソコンとテレビを接続しました。

 

そして、サイクリングマシンを一定のスピードにこいでいるときだけ、動画を視聴できるようにプログラムしました。

 

その結果、この学生は「肥満解消とネットフリックスの視聴を同時に楽しむ習慣」を身につけました。

 

この「誘惑の抱き合わせ」と先にご紹介した「習慣の積み上げ」を合わせるとさらに習慣は強化されます。

 

1.「現在の習慣」をしたら、「必要な習慣」をする。

2.「必要な習慣」をしたら、「したい習慣」をする。

 

例)フェイスブックを見たいけれど、もっと運動をする必要がある。

 

1.スマートフォンを取り出したら、バービー(スクワット状態→足を延ばす→腕立て伏せ→スクワット状態→ジャンプして立ち上がる)を10回する(必要なこと)。

 

2.バービーを10回したら、フェイスブックを見る(したいこと)。

 

「複利で伸びる1つの習慣」より引用ー

 

わたしたちが「意欲」「モチベーション」を演出するのに苦労するのも、ゲームや恋愛に夢中になるのも、何かの依存症になるのも全部ドーパミンが関わっています。

 

ドーパミンが放出されなくなったラットの実験では、目の前に食べ物があっても食べなくなり、最後は餓死してしまうそうです。

 

ドーパミンが放出されないと、生命に必要な活動すらしないで生ける屍になってしまうのです。

 

生きる意欲にも、依存症にも影響を及ぼす報酬系の快楽物質ドーパミンに、わたしたちは操られて生きていると言っても過言ではないでしょう。

 

数ある神経伝達物質の中で、なぜドーパミンが飛び抜けた影響力を持つのでしょうか。

 

それは、ドーパミンが放出される部位とも関係があります。

 

ドーパミンは、脳幹の黒質(運動機能)や腹側被蓋野(A10神経)、扁桃体(情動)、前頭連合野(思考中枢)の、身体と感情と思考の全てわたって快楽が伝わるようになっているからです。

 

わたしたちは、身体の刺激、感情の刺激、思考の刺激に反応し、その報酬として興奮系の喜びを感じるようにできています。

 

この機能は何のために備わっているのでしょうか。

 

身体の欲求を満たすもの、感情の欲求を満たすもの、思考の欲求(好奇心・探求心)を満たすものと出会うためです。

 

自分に適した、新しい良いものを見つけるためのシステムです。

 

ですから、脳は報酬系の神経伝達物質の放出量には厳しく査定し、過去の履歴に照らし合わせて、初めては1番多く、それ以降はどんどん少なく、頻繫にその刺激があると飽きるように放出量を下げてしまいます。

 

ドーパミンは報酬系の神経伝達物質なので、ストレスを感じたときに欲求を満たすといつもより喜びが増すように放出されます。

 

喉が渇いたとき飲む水や空腹時に食べる食事の美味しさや幸福感もドーパミンが関与しています。

 

わたしたちが喜びを感じるのも、失望するのもドーパミンの放出量次第なのです。

 

ドーパミンは、これだけわたしたち人間を虜にする神経伝達物質ですから、あざといビジネス界が放っておくわけはないですようね?

 

だから、巷は、ドーパミンを放出させやすい、美味しいもの、美しいもの、肌触りの良いもの、良い香りのもの、ドラマチックなストーリー、好奇心をそそる情報などで溢れています。

 

ドーパミンは、ほんとうは、自分で冒険に出かけ、唯一無二の自分に相応しいものを探させるための神経伝達物質でした。

 

生存の危機を感じるほどの飢えを感じるときに、食べられるものを探させ、獲物を狩る気力や行動を引き出すための神経伝達物質でした。

 

欲しいものを得たときよりも欲しいものを追いかけているときの方が多く放出されるシステムからも、ドーパミンは夢や可能性の具現化向けて行動に走らせるための神経伝達物質だと言えるでしょう。

 

けれども、巷には、食べ物も、必需品も、ドラマも映画もゲームも情報もコミュニケーション媒体も溢れ、自分に合うものを探しす楽しみどころか、常に与えられ、勧められ、自ら選ぶ機会も減り、選択に迷うことに苦しさを覚えるようになりました。

 

その結果、わたしたちはお手軽にドーパミンを放出させる商品や人間関係や娯楽に依存するのが当たり前になったのです。

 

行動できるか否かはドーパミンの放出の否かにかかっていますから、新しい習慣を身につけるときの要も、いかにドーパミンが放出されるようにするかが重要です。

 

そのために習慣のきっかけを魅力的にすることは大切ですが、このとき重要なのは習慣を変えたいのは、「自分らしく生きたいから」だという本質を忘れないことです。

 

「習慣をコーディネイトするのは自分なんだ」という意識を持てば、巷に溢れる誘惑にそそのかされて行動に走らさているのではなく、「自分のために自分の意思で行動する」自覚が現れます。

 

この意識こそ、前頭連合野(思考中枢)のドーパミン放出を促します。

 

身体にとって、情動にとって、魅力的なドーパミン放出の引き金は、大衆向け商品となって溢れていますが、前頭連合野(思考中枢)の欲求を満たすものはかなり個人的なため、自分で探求しないと見つかりません。

 

でも、それを見つけたときの報酬(喜び)は、あらゆる誘惑をはねのけるほど大きく、探求し続けるときはさらに大きいのです。

 

自分のために習慣をコーディネイトすることは、ドーパミンを味方につけてほんとうの自分を生きるファーストステップになります。

 

次回も「複利で伸びる1つの習慣 Atomic Habits」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。