こんにちは、リブラです。

今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第10章の解説です。

 

*間接暗示

 

間接暗示(メタファーやストーリーを使う暗示)の最も一般的なタイプは、暗黙の暗示です。

 

エリクソンは、息子のロバートが怪我をして痛がっているのに気づくと、

「これはひどく痛むね!痛みはもう少し続くだろうな」といいました。

 

ここに含意されているのは「もう少ししたら痛みはなくなる」という間接暗示です。

 

また、エリクソンは、娘の1人が歯科矯正から戻ってきたとき、

「そんなに口いっぱい器具が入っていたら、気持ち悪くていやだね。慣れるまではたいへんだろうな」といいました。

 

ここに含意されているのは「必ず慣れるよ」という間接暗示です。

 

これら2つの暗示に共通しているのは、相手の体験に一致すること(感じていること)をいった直後に、間接暗示を伝えている点です。

 

ひどく痛むね!」、「気持ち悪くていやだね」などの共感を伝えた後に、続く言葉は、相手にとって受け入れやすくなります。

 

直接暗示と間接暗示を組み合わせると、さらに強力な暗示として定着します。

 

エリクソンの娘のひとりであるロキサンナは、とても幼い頃、家の中に駆け込んで「羽の生えたカチナ・ドール(インディアンの守護神カチナの人形)を見た!」とエリクソンにいいました。

 

ロキサンナはこのとき、初めてトンボを目にしたのでした。

 

それに対しエリクソンは「キミには、自分の見たものを伝えるのにぴったりの言葉を見つける特別すてきな才能があるね」といいました。

 

このエリクソンの言葉は直接暗示となり、ロキサンナの潜在意識で育ちつつ、特定の言葉と彼女の肯定的な連想を、後に間接暗示として利用できるようにしました。

 

ロキサンナは子どもの頃、古くなったパンの味と質感が大好きでした。

 

母がパンプディングを作るのを幸せそうに見つめながら、その「ザクザク」パンの切れ端をいくつか取っておいてほしいとよく頼んでいました。

 

もう少しロキサンナが成長して、学校の試験とか、特別なイベントなどを心配する様子を見ると、エリクソンは愛情をこめて「これは『ザクザク』パンが解決してくれそうな問題だね」と冗談めかしていいました。

 

ロキサンナが妊娠して、分娩のことを心配していたときには、エリクソンは「『ザクザク』パンを1枚枕の下に入れておくように。そうしておけば、必要なときにすぐ間に合うよ」といいました。

 

彼女はその提案に従い、それは実際効果を発揮しました。

 

「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」より

 

潜在意識は言葉よりもイメージや感情に反応します。

 

しかし、暗示は言葉による指示になります。

ですから、イメージとそれに伴う感情が、言葉そのものよりも重要な意味を持つことになります。

 

エリクソンがロキサンナの言動や振る舞いをよく観察して、「自分の見たものを伝えるのにぴったりの言葉を見つける特別すてきな才能」があると肯定したことで、彼女はぴったりの言葉で名付けることに自信を持つようになったのだと思います。

 

「ザクザクパン」もその1つで、ロキサンナが名付けた「ザクザクパン」は家族の間でも使われる言葉になり、母親が作るパンプディングの記憶を伴う幸せなイメージとして、ロキサンナの潜在意識に定着したのでしょう。

 

たかが古くなったパンの端切れのイメージが、試験のときも、分娩のときもロキサンナに安定感をもたらしたのです。

 

「ザクザクパン」の間接暗示がロキサンナの潜在意識に必ず幸せなイメージを描くことを約束しているからです。

 

ロキサンナは「ザクザクパン」のことを思うだけで、家族に愛され全面的に肯定されている自分を感じるのです。

 

暗示は、意識全体の95%を占める潜在意識を動かすものですから、暗示の使い手になると、自身の潜在意識に指示を届けることができるようになります。

 

インナーチャイルド(子ども意識)が安心感や愛着を感じるものを覚えておくと、潜在意識にすぐに指示を届けて恐怖や不安や欠乏感から救ってあげられます。

 

わたしにとっては、真っ赤なトマトやピンクのタオルケットが、わたしのインナーチャイルドのお気に入りなのがわかっています。

 

ピンクのタオルケットは、母がわたしを産んだときのお祝いに誰かからいただいたそうで、1番幼い頃の記憶にそれにくるまっている自分のイメージがありました。

 

3歳ぐらいのときは、父と母がけんかをしているとか、外で雷が鳴っているなど怖いことがあるといつもそれを頭から被って眠りの中に逃げ込んでいました。

 

わたしのインナーチャイルドは、ピンクのタオルケットは怖いものから守って眠らせてくれる魔法のベールと思っているようです。

 

だから、いまでもタオルケットはインナーチャイルドのために1枚はピンク色のを置いてあります。

 

トマトがわたしの身体が喜ぶ食べ物だとわかったのは、40代過ぎてからでした。

元々トマトは好きでしたが、あればうれしいくらいの野菜でした。

 

でも、具合が悪いときにトマトを食べると、ものすごく美味しく感じて確実に身体が元気になっているのです。

 

トマトの成分がというより、「トマトを食べると元気になる」と勝手に身体が思い込んでプラシーボ効果を起こしているような感じです。

 

思い込みだから潜在意識が関わっているのだろうと、トマトに関する記憶をたどると、9歳のとき猩紅熱で病院に隔離されたときのことを思い出しました。

 

猩紅熱は法定伝染病なので3週間くらい強制的に入院させられるのですが、保護者は面会日にだけ果物の差し入れをしてもよいことになっていました。

 

ただし、個人的にではなく、同じ病棟の子どもたち全員の分を差し入れる決まりがありました。

 

わたしの家は経済的な余裕がある方ではないので、おそらく20人分くらいの果物を買って差し入れる気分に母はならなかったのでしょう。

 

でも、1回だけおやつに完熟トマトが出たことがあったのです。

喜んで完食したのは20人中わたしだけでした。

他の子は、がっかりして手をつけないか、残していました。

 

それを見て、このトマトは母がわたしのために差し入れてくれたのだなと気づきました。

我が子が好まないものをわざわざボランティアで差し入れる親はいませんから。

 

だから、わたしのインナーチャイルドにとっては、トマトが母の愛を感じる食べ物になったのだと思います。

 

そのことに40歳を過ぎるまで気づかなかったのですが、潜在意識と身体はツーカーの関係なので、トマトを食べる度に心と身体が無意識に癒されていたみたいです。

 

効くのは生のトマトのみならず、トマトスープもトマトソースのパスタもオムライスもその守備範囲のようで、ポパイのほうれん草のように、食べた瞬間、まだ、消化もされていないのに身体が蘇る感覚があるのです。

 

わたしたちの身体は、物質界の影響をバッチリ受けて生きているようでありながら、案外、潜在意識の影響の方が大きいのかもしれませんね。

 

「病は気から」という言葉通り、潜在意識のインナーチャイルドが愛のイメージに満たされていれば、身体も潜在意識の愛に満たされて健やかなイメージを形づくろうとするのでしょう。

 

そうだとしたら、インナーチャイルドを象徴する月の星座とハウスを見れば、インナーチャイルドとの関わり方のヒントになります。

 

わたしはてんびん座の月で8ハウスにあります。

てんびん座は、風星座なので情報を手に入れ考えることでニュートラルなバランスを手に入れると安心します。

 

けんかがコミュニケーションになっていた両親の感情のぶつけ合いに、恐怖心を抱いたわたしのインナーチャイルドの気持ちは、てんびん座月ということで察しがつきます。

 

8室(共感のハウス)にある月だから、母がわたしの好みを覚えていてトマトを差し入れてくれた思いに共感して心が満たされたのです。

 

ホロスコープの月を見ながら、ご自身の子どもの頃の記憶をたどってみると、インナーチャイルドとの接し方が紐解けて、仲良しになれますよ。

 

次回は「エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」の解説を予定しています。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。