こんにちは、リブラです。
今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第10章の解説です。
*2本の木のお話
エリクソンだけを信頼して、長くセラピーを受けていたジョンという患者がいました。
ジョンは統合失調症でした。ジョンは当初車で通っていましたが運転に難儀するようになると、歩いて診察室に来れるところにエリクソンがアパートを見つけてあげました。
ジョンは親切で誠実だったので、エリクソンも彼を自宅に迎えるのを楽しんでいました。
エリクソンはあるとき、ジョンに犬を飼うことを勧めました。
責任を持って他者の面倒を見る体験がジョンには必要だと考えたからでした。
けれども、ジョンのアパートでは犬を飼うことができません。
そこで、エリクソンの家に犬を預け、ジョンが1日2回餌を与え、世話をすることになりました。
ジョンは飼犬をバーニーと名付け、バーニーの視点で、五行戯詩をたくさん書きました。
その五行戯詩には、バーニーのヒーローのジョン、車椅子の「偏屈じいさん」のエリクソンが登場します。
エリクソンは亡くなる2~3年前、裏庭に2人で2本の木を植えて、どちらの木の方が強く高く育つか、ジョンと競い合っていました。
エリクソンが亡くって数ヶ月すると、ジョンの木が弱って枯れ始めました。
それを見たエリクソン夫人は、ジョンの気持ちを気遣い「専門家にあなたの木を診てもらいましょうよ」と提案しました。
すると、ジョンは「あれはエリクソン先生の木ですよ。
2人で木を植えてすぐ、先生は木を取り換えて欲しいと言ったので、交換したのです」
そして、ジョンはもう1本の木を誇らしげに指差して言いました。
「わたしの木は元気に育っています。今までもずっとそうでした」
「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」より
エリクソンは間接暗示(メタファーやストーリーを使う暗示)の達人といわれていました。
エリクソンが伝説の催眠療法家といわれる由縁は、メタファーやストーリーを使った暗示で、患者は暗示に促された自覚もなく自ら進んでその行動をとることを演出できたからです。
誰かの言うがままに動くではなく、自ら望んで行動してはじめてレジリエンス(挫折や絶望から再生する力)は起動します。
エリクソンは、患者の自発性を引き出しレジリエンスを生み、催眠療法の奇跡を起こしていたのです。
しかし、人の命には限りがあり、エリクソンも彼に長年信頼を寄せてきた患者を置いて先に逝かねばならないときがやって来ます。
亡くなる直前まで現役で仕事をしていたエリクソンは、そのときが来ることも考えて、ジョンとの交流で間接暗示を仕掛けて置いたようです。
ジョンが車の運転に難儀する様子を見て、「車の運転は危ないからやめなさい!」とは言わず、「もっとわたしの家の近くに越してくれば、歩いて通えるよ。近所のいいアパートを探してあげるよ!」と言えば、ジョンは喜んで自ら運転をやめます。
そして、「責任を持って他者の面倒を見ることを学ぶべき」とは言わず、犬を飼うことを勧めたのです。
ジョンのアパートでは犬が飼えないことを承知の上で。
「キミの犬はわたしの家に居させればいい。近所だから、世話をしに毎日来れるじゃないか?」と提案すれば、ジョンは喜んで自ら犬に名を付け、世話に通い、「責任を持って他者の面倒を見ること」を学びます。
自発的に飼い始めた犬だから、ジョンと飼い犬バーニーの間に家族の絆が結ばれ、ジョンはバーニーの目を通した世界もわかるようになりました。
バー二―はジョンのことを自分のヒーローだと思い、ジョンが慕うエリクソンのことは「車椅子に乗った偏屈じいさん」と思っていると、ジョンは飼い犬の気持ちになって五行戯詩まで作成しました。
きっと、毎日世話をしてくれるジョンにバーニーが懐き、車椅子を警戒するバーニーの様子からエリクソンを「偏屈じいさん」として距離を置いている印象を受けとったのでしょう。
エリクソンの「犬を飼うといいよ」という勧め(間接暗示)が、ジョンに「責任を持って他者の面倒を見ることを学び」を与えて家族の絆を築かせ、飼い犬視点で世界を眺める技や気持ちを自由に五行戯詩で表現する創造性を引き出すことにつながったのです。
さらに、エリクソンはジョンと木を植えて発育を競い合うことで、木にエリクソンやジョンをなぞらえ、2人の思い出をいつまでも記憶の中で生かす仕掛けもしていました。
始めはエリクソンの木だったものをわざとジョンの木と交換したことで、どちらもエリクソンの木であり、どちらもジョンの木になり得る仕掛けしたのです。
ですから、ジョンの木が枯れそうになっても元はエリクソンの木であり、元の自分の木が元気だから大丈夫と思えます。
そして、元エリクソンの木が枯れそうになっても、今のエリクソンの木は元気だから大丈夫とも思えます。
いずれにしても、ジョンはエリクソン家の裏庭に、エリクソンが亡くなった後でもいつでも木に会いに来ることができて、エリクソンの家族とも交流ができることを、エリクソンはごく自然に生前仕掛けて置いた間接暗示により、ジョンに促していたのです。
12室(潜在意識~集合意識のハウス)にやぎ座のキローンと火星と土星と木星を持ち、6室(貢献のハウス)にかに座海王星を持つエリクソンならでは、潜在意識に働きかける貢献だなと思いました。
やぎ座は地星座なので現実の形に残すことに確証を得ます。
かに座が水星座なので感情に訴えるものを重視します。
エリクソンのやぎ座の天体たちは、潜在意識という見えない世界にあっても、木のように長く生きていて残っていくものを自分やジョンのメタファーに使い、かに座の海王星は2人のハートフルな記憶がずっとジョンを癒すように直感を働かせて貢献したのでしょう。
エリクソンのやぎ座キローンと火星の合はかに座海王星と180度で葛藤する配置ですが、エリクソンは見事にこれらの天体を共同創造に導き、奇跡の催眠療法の精神科医の仕事を全うしたのだと思います。
次回は「エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」の解説を予定しています。
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