こんにちは、リブラです。

今回は、ジェームズ・ドゥティ著「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」の解説です。

 

第6章「いいことのなかった町を出る」のあらすじ

 

「人生の扉を開くマジック」の師のルースが町を去った後も、ジムは習ったことを忘れず毎日やり続けました。

 

でも、父親はアルコール依存症で、母親がうつ病で、兄は引きこもり、家は貧困家庭であることは変わりませんでした。

 

ジムはその家庭環境に埋もれたくない一心で、14~17歳までの間、警察の体験実習に参加し続けました。

その実習に参加しているときは、現在の恐れや心配から離れ、自分に目的意識と居場所を与えられていると感じたからです。

 

ところが、その実習中、ジムは衝撃的な体験をします。

酔っぱらった父親が警察官に捕らえられ、ジムの実習先の留置場に入れられたのです。

 

ジムの指導警官は、その酔っぱらいがジムの父親であることを知っていて、

「事件にはしないから。しらふになるまで待って家に送ろう。

わたしの父も酷い酒飲みだった。君の気持ちはわかるよ」と言ってくれました。

 

ジムは、「何かが壊れていても、すべてが壊れてるわけじゃないのよ」と言ったルースの言葉を思い出し、

「僕は貧乏だ。父さんはアルコール中毒だ。でも、僕は壊れていない。

何かが壊れているからといって、すべてが壊れているとは限らない。

父さんには父さんの道僕には僕の道がある」と自身に言い聞かせました。

 

また、ジムはその実習でクリスマスに配る貧困家庭向けの食料バスケットを詰める作業をしました。

 

それを配るのは警察官たちですが、渡したときにもらった人がどれだけ喜んでくれたかの話を聞き、与える喜びを感じました。

 

そして、そのバスケットが実際にジムの家に配られたときの父と母の喜ぶ姿を見て、施しを与える側と受けとる側の両方の立場に立ち、「与える喜びと受けとる喜び」の両方を学んだと感じました。

 

ジムは高校で飛び抜けて成績が優秀というわけではありませんでしたが、ルースのマジックを鍛錬を続けたおかげで、白衣を着て医師として働く自分をありありとイメージに描くことができ、それを信じることができました。

 

だから、医学部の受験の難易度や、合格したときの学費をどうするのかなどの様々な問題で志望を変えることはありませんでした。

 

志望校も決まらず、受験の願書の提出期限も知らないままでいると、教室の隣の席の女子学生がせっせと大学の願書を記入しているのを見かけ、話の流れで同じ大学を受けると口走り、運よく願書の提出書類を分けてもらって締め切りに間に合いました。

 

願書を提出~受験~合否通知の受け取りまで、ジムの家庭は2度の引っ越しをしましたが、大学の合格通知はアパートを何度も転送されながら、ちゃんとジムのところに到着しました。

 

それを見てジムは、「未来が僕を追いかけて、とうとう僕を見つけてくれた」と思いました。

「ルース、ありがとう。バイバイ、ランカスター」と彼はつぶやき、自由になったと感じました。

 

ジムは大学合格で、医者になるための第1歩を踏み出したことを振り返り、はっきりイメージできたことは必ず実現し、実現しないときはそれなりの最もな理由があると思いました。

 

後に脳外科教授になったジムは、このときルースのマジックが功を奏した理由を、神経科学と脳可塑性と捉えています。

 

意識を向けることに大きな力があり、それは脳を変え、灰白質の中の学習や成果や夢の実現を助ける部分を強化する。

 

脳は、強烈な想像上の体験と現実の経験を区別しない。

脳は、見慣れないものより慣れ親しんだものを必ず選ぶ。

 

高校生のジムは、脳のことをまだ知らなかったけれど、「ルースのマジック」が脳の性質に適い、医師になる未来のイメージを繰り返し思い描くことで、その姿を脳に慣れ親しませていたのでした。

 

「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」より引用。

 

この章でとても重要なことは、未来に望むセルフイメージ像を構築することです。

それができれば、この章のジムのように様々な悪条件を乗り越えて、未来の方から現在の自分めがけて望む現実がやって来るのです。

 

セルフイメージが未来の世界線を引き寄せるのです。

 

セルフイメージは、思考が「自分のことをどう捉えているのか?」感情が「自分の心で何を感じているのか」によってつくられます。

 

未来の世界線は、自分の思考と感情で呼び寄せているのです!

 

未来の世界線は、可能性の数だけ存在します。

その中から望む未来の世界線を呼び寄せるには、その望む未来の自分と同じ波動を持つセルフイメージを現在の自分の心象に刻んでおく必要があります。

 

それでは、どうやって望むセルフイメージを手に入れるのか?が問題ですよね。

 

ジムのように、お金なし、家族の協力なし、不安材料山盛りの環境で育つ子どもだったら、「自分は無力だ。両親ともダメな人たちだから、自分も良い未来なんて望めない・・・」というセルフイメージを描いてしまいます。

 

ですから、ジムは酔っぱらって留置所に拘束される父親を見て、「父さんには父さんの道僕には僕の道がある」と考え方を軌道修正して、自身の未来のセルフイメージ(白衣で働く医師)とはなんの関係もないとして、望むイメージの方を信じたのです。

 

これは脳の機能からすると、極めて自然な選択です。

まず、酔っぱらって留置場にぶち込まれるような人間になりたくないのですし、そういう未来を自分もたどるとするイメージは不快です。

 

医師になっている自分のイメージを描く方がずっと心地良いはずです。

 

「ルースのマジック」を身につけたジムは、どんなにショックなことで心を揺さぶられても、必ず落ち着けてニュートラルな意識状態に持っていくことができました。

 

ニュートラルな意識状態を保てれば、不快なセルフイメージか快いセルフイメージかの二択でいつでも好きな方を選べるのです。

 

逆境で無理してポジティブな自分をつくるのではなく、まず、その逆境にあるときは、自身の心の中だけニュートラルな意識状態に戻せればよいのです。

 

それは現実離れした妄想でもよいのです。心の中だけニュートラルな意識状態にできればよいのです。

脳は、強烈な想像上の体験と現実の経験を区別しない」のですから。

そして、「脳は、見慣れないものより慣れ親しんだものを必ず選ぶ」のですから、妄想でも繰り返していれば、脳がそのセルフイメージに親しみを覚え、そのセルフイメージの方が自然に思い浮かぶようになっていくのです。

 

ですから、ジムは劣悪な家庭環境にあっても、両親とは全く違う生き方をする未来の自分を思い描くことを続けられたのです。

 

望むセルフイメージが自然に思い浮かぶようになると、根拠のない確信が不思議と備わります。

「なんだか知らないけれど、そうなっている自分しかありえない感じ」がするのです。

その状態になると、必ず現実化します。

 

実は、わたしもジムほど劣悪ではないけれど、それに近い家庭環境でした。

 

本を読んだり勉強していると嫌がらせを受け、宿題を放棄して家事や子守りに勤しむしと大喜びされる環境でした。

 

「女は高卒で十分だ。銀行員になって早く家に金を入れろ!」と父に言われ、「進学したい」と抵抗すると、「わたしを離婚させる気?お願いだからお父さんの言う通りにして!」と母に泣きつかれました。

 

進路のことで父に暴力を振るわれ、顏が腫れた状態で学校にいくと担任だった女性教諭が相談に乗ってくれました。

 

「どんな状態になっても勉強を続けていれば、道は拓けるから」といってくれ、その直後に進学を望む生徒に学校が特別講義を用意してくれることになりました。

 

わたしは塾に通わなくでも、数学と化学の特別講義を2年間受け続け、受験の準備をすることができました。

 

家で勉強するときは、カモフラージュのために簿記の教科書を机の上に拡げ、数学や化学の本を隠せるようにしていました。

父には、銀行に就職するためには簿記の資格があった方が有利だから勉強していると言ってごまかしていました。

 

わたしの家は、毎週金曜と土曜の夜は父が麻雀仲間を呼び、明け方まで夜通しやっているので、襖1枚隔てただけの部屋は騒音と大量のタバコの煙で勉強も安眠も邪魔されました。

 

そんな中でも、わたしが臨床検査技師になることができたのは、小学6年生のとき手に入れた顕微鏡のおかげです。

 

小学3年生のとき、理科の授業で見た顕微鏡下の世界に魅せられて、どうしても自分の顕微鏡で好きなだけ見たいと思いました。

 

400倍まで見える顕微鏡は、当時2万5千円もして、貧困家庭では買ってもらえる代物ではありません。

 

でも、わたしは諦められず、母に無料奉仕していた子守りと手伝いに月額500円のお小遣いを請求することにしました。

 

それを10か月貯めて5000円になったとき、父が競馬の資金がないときの高利貸しを思いつきました。

 

負けたら元金だけ翌月の給料日に支払い、勝てば利益の5割の支払いの交渉を父が了承し、半年で2万5千円の顕微鏡を買うことができたのです。

 

小学6年生でしたが、このとき、絶望的な状態でもほんとうにほしいものって手に入るんだな、と思いました。

 

12歳から自分用の顕微鏡を使っていたわたしにとって、白衣を着て顕微鏡を覗き込んで働く自分の未来の姿を描くのはごく自然なことでした。

銀行員になってお金を数えている自分をイメージする方がリアリティに欠け、想像できませんでした。

 

この本でドゥティ博士が言う脳は、強烈な想像上の体験と現実の経験を区別しない」と「脳は、見慣れないものより慣れ親しんだものを必ず選ぶ」の2つの性質を知らずに使った結果、わたしは逆境の中、両親が反対する進路を切り拓いて現実化したのだと思います。

 

因みに、占星術師の方も、10歳からホロスコープを眺め始めたので、それを人に読んで説明する自分のイメージも自然に定着し、いま、天職になっているのでしょう。

 

顕微鏡とホロスコープというアイテムにわたしの脳が馴染みを持ち、それを仕事にするセルフイメージが構築され、それが実現する世界線を呼んだのだと思います。

 

なりたいイメージが決まったら、その未来の自分が持つであろうものを日常的に使い始めると、未来の自分のイメージを描きやすいと思います。

 

次回は「エリクソンの心理療法<レジリエンスを育てる>」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。