こんにちは、リブラです。
今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第9章の解説です。
*難治性皮膚炎のケース
難治性皮膚炎に苦しむ男性が、エリクソンのところに助けを求めてやって来ました。
彼は全身の皮膚に発疹があり、痒みと不眠に苦しんでいました。
エリクソン「全く目立たない改善でも、やってみようと思いますか?
1週間で100万分の1%の改善をしたら、2週間で100万分の2%になり、3週間で100万分の4%になるけれど、変化は目立たないままです。
21週後では完全に全体の1%は改善しますが、それもやはり気づかない程度です」
皮膚炎の男性「1%でも改善するなら、ぜひ、それを始めたいです!」
エリクソン「さらにもう8週間、倍の改善率で進んでいくと、128%になってしまいます。
それだと、一生続く症状の減少度としては早すぎます。
だから、21週後の前進率はゆっくりのままがいいですね?」
皮膚炎の男性「はい。確かに早すぎますね。ゆっくりのままがいいです」
この男性がエリクソンを訪ねたのは3月17日でした。
2度目は4週間後で、彼は「改善しているが、目立たない状態」だといいました。
3度目は5月半ばで、彼は「前回と同じ」といっていました。
5月31日、エリクソンはこの男性から緊急の電話を受けました。
皮膚炎の男性「髭を剃っているとき、不意に気づいたんです。
いつもなら顔が血だらけになるのに、なってないじゃないか、って。
それどころか、この1週間ずっと、以前のように血が出ることがなかったと気づきました。
もう、びっくりしたのなんって。
で、ふと胸を見ると、引っ搔き傷がなくなっていて、肌がほとんど治っているじゃありませんか。
その後、先週は毎晩よく眠れていたことにも気づきました。
そういえば先週は2度、妻をディナーに連れ出したのです。
何年もできなかったことです。
これを妻にいうと、妻は外食は特別なことだったけど、そういわなかったのは、せっかくの幸運が台無しになるのがいやだったからといってました」
この後もこの男性の肌は改善し続け、彼は読書などの趣味を持つようになり、妻と旅行に出かけるようになりました。
「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」より
「病は気から」という言葉があるように、現代では「精神免疫学」や「プラシーボ効果(偽薬でもそれが効くと信じると治療効果が出る)」があると知られているように、わたしたちの心は身体のコンディションに大きく影響します。
病気になると、その症状から早く解放されたいとわたしたちの顕在意識は願い、良い薬や良い治療を探すことに全力を向けます。
けれども、薬や治療で症状が改善するペースと心や身体の回復ペースが、必ずしも、合っているとは限らないのです。
病気が心の不調の現れだとしたら、その症状は顕在意識と潜在意識の不協和音を身体で表現して伝えていることになります。
外界の社会のペースに順応しようとする顕在意識と、内側の自分の自然なペースを守りたい潜在意識とでは、同じ現実を共有しながらも時間の流れが全く違うのです。
社会の中で生きるわたしたちは、つい、社会のペースに自分の身も心も合わせた状態にする傾向があります。
でも、身体に病気の症状が現れた時点では、「今のペースでは、心と身体が置き去りにされている!」と気づかなければなりせん。病気は見えない心と口のきけない身体の発する警告のサインだからです。
「病は気から」創られるのですから、心(思考・感情)が発生源です。
病気は、心(思考・感情)が健やかではないことを知らせています。
わたしたちのエゴは物質世界(身体も含めて)の環境が良好か否かで、幸・不幸が決まると考えがちですが、ほんとうはわたしたちの心(思考・感情)が、物質世界の出来事を設計しています。
物質界の現象が先ではなく、心(思考・感情)がその現象のヴィジョンを描く方が先なのです。
このしくみがわかると、プラシーボ効果が摩訶不思議な超常現象とは思わなくなるでしょう。
わたしたちの心(思考・感情)が「何を思い、考えているのか」で潜在意識はセルフイメージを創り、そのセルフイメージが設計図となってわたしたちの身体をつくり、そのセルフイメージに相応しい物質世界を呼び寄せます。
今回の難治性皮膚炎の男性の奇跡的な回復は、心と身体のペース(潜在能力のペース)に合わせたことが鍵でした。
エリクソンはこの方法を「等比級数的前進(バカバカしいほど小さなステップでゆっくり始める、最初の1歩を踏み出す)」ツールと名付けています。
通常なら、社会が回っているペースに合わせて判断する顕在意識は、
「21週間もかけて全体の1%しか治せない治療なんて、効果がないに等しいではないか!」とバカにします。
けれども、何をやっても治らない難治性皮膚炎に苦しむ患者であれば、その1%の改善が一条の希望に見えるでしょう。
未来の希望さえ的として定まれば、不可能を可能にするパワーを起動するのが、エリクソンの太陽と天王星の星座であるいて座です。
ただし、いて座は地道な努力を長期間続けるのが苦手です。
エリクソンは望みを具現化するまでストイックな努力を続けるのが得意なやぎ座に天体を4つも持っています。
しかもそのやぎ座の天体たちは彼の潜在意識のハウスである12室にあります。
エリクソンは発達障害や小児麻痺で思うようにならない身体を、絶え間ない努力や工夫で、健常人と変わらぬ自由な生活を手に入れた人です。
彼のこの経験が、彼のいて座天体とやぎ座天体を駆使して望む現実を創り出していたに違いありません。
エリクソンが編み出した「等比級数的前進」をツールとする治療法は、ペースを完全に潜在意識主導にさせるので、顕在意識に邪魔させないことが重要です。
顕在意識が邪魔すると、doing(何かを成す)モードに誘導し、結果が早く出ることを切望し、焦りや猜疑や失望を生みます。
潜在意識のペースに委ねれば、being(ありのままの自分を肯定する)モードになり、健やかなセルフイメージを構築することから回復プロセスが始まります。
セルフイメージは、エーテル体にあり、通常、見えないし、触れません。
ヴェールのように身体を覆う不可視領域がエーテル体です。
エーテル体のセルフイメージから身体を修復する場合、そのプロセスを目で確認するわけにはいきません。
セルフイメージの修復には、being(ありのままの自分を肯定する)モードが必須です。
being(ありのままの自分を肯定する)モードに切り替えるには、「今、ここ、この瞬間」に在る自分を受け入れ、肯定することがスタートラインです。
この難治性皮膚炎の男性の場合、「この病気のせいで、痒みや不眠のせいで不幸な人生だ」と思っている限り、セルフイメージ修復のスタートラインにも立てなかったでしょう。
「病気のときも健やかなときもどちらも、かけがえのない唯一無二の自分の人生の時間だ」と現状を認めた瞬間から、潜在意識はセルフイメージの修復プロセスを始めるからです。
病気は潜在意識の警告サインだから、現状の病んだ状態を認めることで、顕在意識に警告が届いたと見なされ、潜在意識は健やかなセルフイメージの修復に着手できるのです。
警告サインを無視されているうちは、病気をひっこめるわけにはいかないですよね。
そして、外界の社会に合わせて動くdoing(何かを成す)モードから、being(ありのままの自分を肯定する)モードに切り替えるために潜在意識に委ねるわけですから、皮膚状態を見ては一喜一憂する機会を与えると、すぐに、振り出しに戻ってしまうことは明らかです。
だから、確実に快方には向かっているけれど、それは非常にゆっくりで変化感じることはできないと、エリクソンは患者に了承をとっていたのです。
しかし、この難治性皮膚炎の男性が回復に気づいたのは、21週間を待たず、75日目(10週目)でした。
このことからいえるのは、顕在意識に邪魔させなければ(皮膚炎の回復状況で一喜一憂していなければ)、潜在意識が健やかなセルフイメージを速やかに修復するということです。
そして、セルフイメージが健やかに修復されれば、そのイメージに相応しい物質世界や身体になっていくのは急速なのです。
実際、この男性は皮膚炎の回復に気づく前の1週間に、妻をディナー連れ出したり、よく眠れていたことを皮膚炎の改善を見つけたのをきっかけに、後で気づいています。
これは、心が先に健やかに回復したからこそ、久しぶりに妻とディナーに出かける気になり、安眠できるようになったのだといえるでしょう。
わたしたちはつい、見える成果が早く出るものに価値を置いてしまいますが、わたしたちの意識の95%を占める潜在意識のパワーに委ねるときは、「バカバカしいほど小さなステップでゆっくり始める、最初の1歩を踏み出す行動」を蔑ろにしないことが大切です。
おそらくそこに要する時間は、外界の社会に合わせて動くdoing(何かを成す)モードから、being(ありのままの自分を肯定する)モードに切り替えるための時間です。
doing(何かを成す)モードの思考習慣が強い人ほど、being(ありのままの自分を肯定する)モードに切り替えるのに時間がかかるのでしょう。
でも、この切り替えができることの効果は絶大です。
意識の95%を占める潜在意識を味方につけることになりますから。
次回は「人生の扉を開く最強のマジック」の解説を予定しています。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。