こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第12の解説です。

 

 

悪魔「ヒプノティック・リズム(集合意識による集団催眠)とは、否定的なものであろうと肯定的なものであろうと、何かしら表現することを通して、あらゆるもの、あらゆる人間を絶えず動かし続けるという法則なのだ。

 

大自然はモラルなどには関心がない。正しいとか間違っているとか、そんなことはどうでもいい。

 

大自然に関心があるのは、あらゆるものがその本質に則って行動しているかどうかというだけだ

 

ヒル「そのあなたの意見を

実証してくれる人がどこかにいますか?

 

悪魔「科学者や哲学者、正しく考える者はみなそうだ。

何より大自然そのものがその証拠ではないか。

 

大自然は固定した世界ではない。

物質を構成するあらゆる原子も、あらゆるエネルギーも常に動いている。

 

時間と空間とは動きそのものなのだ。

あまりに動きが早くて人間には感知できないだけだ

 

ヒル「それでは、人間が本当に理解できることなど恐ろしいほど限られたものになってしまうではないですか

 

悪魔「理解する脳力には限りがある。

ただし、人間は大人になれば誰でも、その脳を通路にして、宇宙に存在する『無限の知性』とコミュニケーションを図ることができる機能が備わっているのだ。

 

進化の法則により、人間の脳は『無限の知性』と思いのままコミュニケーションできる方向に近づきつつある」

 

ヒル「同じことが何度も繰り返し起こるのはなぜですか?伝染病とか不況とか戦争とか」

 

悪魔「流行という、多数の人間が同じものに影響される現象は、ヒプノティック・リズムの法則によって引き起こされる

 

それにより大自然の法則は性格の似通った思考を統合し、集団の行動へと転換するのだ」

 

ヒル「ということは、あの大恐慌が起きたのも、環境の影響によって、非常に多くの人間が、恐怖に取りつかれた思考を一斉に表に出した結果だというわけですか?

 

悪魔「その通りだ。あの頃は、何百万人もの人間がタダで何かを得ようと(株で一儲けするとか)必死になっていた。

 

だが、タダより高いもの(不安定なもの)はないと気づいたとたん、怖くなって銀行へと走り、預金を全部引き出そうとした。

 

そのためパニックが起こったのだ。

貧乏の恐怖に取りつかれた何百万もの人間の思考によって、大恐慌は何年も続くことになった

 

ヒル「つまり、大自然は人間の支配的な思考を1つにまとめ、それを集団の行動に転換する。

 

景気が良くなったり悪くなったりするのも、その例の1つにすぎない。

そういうことですか?」

 

悪魔「その通りだ

 

ー「悪魔を出し抜け!」第12章よりー

 

後から歴史を振り返ってみると、確かに戦争も不況も似たようなシチュエーションを繰り返しているように映ります。

 

人類の知性はだいぶ進化したはずなのに、いまだに貧困もなくならず、いつも世界のどこかで戦争が起こっています。

 

わたしたち人類は誰しも争いよりは平和を望みますが、戦争の危機といつも背中合わせです。

 

その原因となっているのが、無意識レベルの誘導です。

 

顕在意識では平和を望んでいても、意識の95%を占める潜在意識に怒りがあれば、集合意識に蓄積された人類の怒りの感情に共鳴してヒプノティック・リズム(集合意識による集団催眠)の波に飲み込まれていきます。

 

ヒプノティック・リズムは、そこに合流する人間の意識が増すほど強力になり、その思い(怒り)を表現する行動に駆り立て、平和を望んでいたはずの人間に戦う選択させるのです。

 

そんなときのわたしたちの潜在意識は、もう、顕在意識の平和への望みは無視して、怒りを強く表現する誰かの顕在意識の指令で動いてしまいます。

 

直に操る人間がいない催眠(ヒプノティック・リズム)は、自己催眠(自らにかける暗示や思い込み)と同じくらい深く強く無意識に誘導するので、戦争を望まないのに戦争するアクションをとってしまうのです。

 

今回話にあがった世界恐慌(1929~1936年)にしても、第1次大戦の武器の需要で軍事産業の好景気に沸いたアメリカ経済が、戦争の終結で需要がなくなり景気が落ち、株価が大暴落して経済不安を呼んだことが発端でした。

 

需要があるから生産が増し、雇用が増員され給与は上がり、消費者の購買意欲も上がって、また、需要が増える・・・という循環が、戦争終結で軍需産業の雇用も終わり、失業者が増えるから景気が落ち、給与も下がって購買欲も下がるから、需要が減るという循環に変わった=戦争前の元の状態に戻っただけです。

 

でも、世界恐慌となって7年間も経済不安を招き、さらに第2次大戦の引き金を引いてしまいました。

 

「戦争特需による好景気は一時的なもの」というのは、誰しも理性的な顕在意識レベルではわかっていたはずです。

 

戦争終結で軍需産業の雇用が終わることも、失業者があふれることも、好景気で生産され過ぎた物があふれ消費者の購買意欲が下がることも、誰しも理性的な顕在意識レベルではわかっていたはずです。

 

けれども、そんな外側の世界の事情をわたしたちの潜在意識は理解しません。

 

潜在意識では感情が原動力です。思考そのは感情の火付け役に働きます。

 

顕在意識が外側の環境を見回して、「豊かだ!欲しいものを買おう!」と考えれば、潜在意識は「わたしは豊かなんだ。だから欲しいものは何でも手に入る!」という豊かな気分と安定感に浸ります。

 

それが、環境の変化を察知した顕在意識が「仕事が減って給与も減った!節約しよう!」と考えると、そんな外側の事情がわからない潜在意識は「えっ、わたしは豊かじゃないんだ。わたしは貧しいんだ。欲しいものは何も手に入らない」という欠乏感と不安を募らせることになります。

 

わたしたちの意識の95%を占める潜在意識は感情が原動力なので、この「欠乏感と不安を募らせた状態を解消する」という誘導があるとすぐにでも飛びつく行動をとってしまうのです。

 

これを俯瞰的に眺めれば、自身の顕在意識が安心材料を何か見つけて潜在意識の感情を落ち着けさせることが大事なのがわかります。

 

潜在意識は、顕在意識が与える思考のトピックのイメージで、豊かな気分と安定感欠乏感と不安を増幅させるだけですから。

 

「凄く心配だったけれど、こんな解決方法があったのか!」と考えるだけで、まだ実行していなくても不安が雲散霧消する体験はよくあります。

 

顕在意識の思考が潜在意識の感情の火付け役になっていることを忘れなければ、とりあえず、自身の感情の乱高下の応急処置は可能なのです。

 

そして、大自然の法則ヒプノティック・リズムの法則を知っていれば、さらに効果的に、自身の感情をニュートラルに保てます。

 

感情をニュートラルにすることを軽視してはいけません。

潜在意識が外側の世界に影響されず、ニュートラルな状態を保てるならば、「無限の知性」にアクセス可能になるのですから。

 

未来に何が起こるかわからなくても、望む未来につながる選択に「無限の知性」は導いてくれます。

 

どのヒプノティック・リズムの波に合流すべきかの選択が、潜在意識をニュートラルな状態に保てれば、直感的にわかります。

 

感情がニュートラルな状態ならば欠乏感や不安絡みで人と交流しないので、他者の思考や感情の偏りを冷静に観察することができます。相手の感情の不調和に巻き込まれる心配がないのです。

 

感情がニュートラルな状態ならば、代償の法則(何かを失うことで何かを得ることになる)が使えるので、逆境に遭遇しても容易に思考の切り替えができます。

 

「塞翁が馬」の翁が、1頭しかいない馬が逃げても「これはいいことの前兆だ」と言えたのも、逃げた雄馬が連れてきた野生の雌馬に一人息子が落馬させられびっこになっても「これはいいことの前兆」だと言えたのも、未来に起こること知っていたからではありません。

 

代償の法則を翁は理解していたので、「何か奪われたことに取り乱されなければ、何かもっといいものを与えられる」と信じていただけです。

 

翁はいいことも、悪いことも、自身の意識の中でニュートラルに捉えるので、馬が逃げても、雌馬を連れ帰って2頭戻ってきても、息子が落馬でびっこになっても、それらの現象に一喜一憂して感情が乱高下することがありませんでした。

 

感情がニュートラルな状態ならば、それに相応しい未来が現れますから、村の若者全員が徴兵され戦死する中、びっこの息子だけ戦地に送られず死を免れたのでした。

 

ネガティブな感情をポジティブに保とうとすると、リズム(振り子)の法則で必ず逆向きの反動で引き戻されて力が要ります。

 

でも、ネガティブな感情をニュートラルにするのは、偏る考えを一瞬手放し「今、ここ、この瞬間」にフォーカスして身体のあるところに意識を持ってくれば、いつでもどこでも誰にでも可能です。

 

心と身体が「今、ここ、この瞬間」で意識でつながるとき、未来の妄想や思い込みの危機はリアリティを失くし、「身体がここにあり、今を生きている」という安らかなこの瞬間の実感だけがリアルに感じられます。

 

それがニュートラルな潜在意識の状態です。

ネガティブな感情に駆られても、ポジティブな感情に高揚しても、心をこのニュートラルな状態に戻す習慣さえつけておけば、人や環境に影響を受けず、望むヒプノティック・リズムの波に自分で選んで乗ることができるのです。

 

次回は「悪魔を出し抜け!」の解説を予定しています。

 

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