こんにちは、リブラです。

今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第4章の解説です。

 

*レイノー病の女性

 

レイノー病と診断された50歳の女性が両手をエリクソンに見せて

「両手に血液が回らないせいで何本もの指に潰瘍ができ、すでに1本は切断し、またもう1本近々切断することになりそうです」といいました。

 

彼女の痛みはあまりにひどく、まとめて眠れるのはせいぜい1~2時間だけということでした。

 

エリクソンはそれに対して、

わたしはレイノー病の治療についてはよく知りません。

これに関して何かできることがあるとしたら、あなた自身の『身体の学び』がそれをしてくれるでしょう」といいました。

 

エリクソンは彼女にトランス状態への入り方を教え、トランス状態に入った彼女に、

あなたはとてつもない量の身体の学びがあります。

それは、わたしたちの誰もが人生体験の上に蓄積していく本能的な能力です」と説明しました。

 

エリクソンはさらに「無意識の心は日中、彼女のために、身体の学びをすべて関連づけることに没頭している」という暗示を与えました。

 

そして、就寝前に椅子に座ってトランス状態に入り、そのトランス状態の中で、学びをすべて実行に移し、トランス状態から出たら、エリクソンに電話をかけるように指示しました。

 

その女性は、エリクソンの指示通りトランス状態から出た午後10時に電話をかけ、震える声でいいました。

トランス状態に入るといきなり寒さを感じ、ミネソタで過ごした少女時代のように身体が縮み上がり、歯もカチカチ鳴りました。

その後、今度は不意に寒さが消えて暑さを感じました。全身が焼けるようでした。

 

今は、リラックスしている感じ疲労感が強くなってきています」

 

エリクソンは「この問題の取り扱いを、あなたは教えてくださいました。

お祝いをいわせてください。

 

ではもうお休みになって、目が覚めたらわたしに電話をしてください」と答えました。

 

翌日の午前8時に彼女はエリクソンに電話をかけて「ここ10年以上、こんなに長く眠れたことはなかった」と話しました。

 

数か月後、その女性から手紙が届きました。

 

エリクソンが教えたトランス状態に入る方法で、腕や手首や手の毛細血管を拡張させて血行が良くなり、両手の痛みはやわらぎ、朝までぐっすり眠ることができるようになったと報告がありました。

 

ー「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」ーより

 

両手の痛みで1~2時間しか眠れず、近々2本目の指を切り落とすかもしれないというその女性は、きっと藁をもすがる思いでエリクソンを訪ねてきたのでしょう。

 

その女性患者に向かってエリクソンは、

わたしはレイノー病の治療についてはよく知りません。

これに関して何かできることがあるとしたら、あなた自身の『身体の学び』がそれをしてくれるでしょうというのです。

 

「わたしは知らないから、あなたが自分で治すしかないでしょう」と聞こえる残酷な言い方ですが、この言葉からエリクソンの心理療法は始まっています。

 

絶望的状況からの回復力=レジリエンスは、「この危機を自らの力で乗り越えて見せる!」という自発性が湧かないと起動しません。

 

エリクソンはどの患者にも「わたしがあなたの病気を治してあげます」とは、決していいません。

それは、潜在意識の力を尊重しているからです。

 

病気にしているのも病気を治すのも潜在意識の働きであることを、エリクソンは自ら経験上知り尽くしているから、患者の自発性を何よりも大切にするのです。

 

この女性患者は、

「両手に血液が回らないせいで何本もの指に潰瘍ができ、すでに1本は切断した」と語っています。

 

原因は血の循環の不良であることを既に彼女は知っていました。

 

でも、彼女は、「血行不良はレイノー病の症状だから自分ではどうにもならない」と無力感を募らせ、医師の治療に委ねることしかしなかったのです。

心の領域は彼女が自分で守らなければならなかったはずなのに。

 

こんな状態を彼女の潜在意識は一部始終観察しています。

「心の中に震えるほど凍結した恐怖の思いがあるのに、わたしの主人(顕在意識)は何もしてくれない。他人に丸投げにしているだけ」と、彼女の潜在意識は見なすのです。

 

すると、「こんな病気にならなかったら、こんな身体じゃなかったら」彼女の顕在意識は自分の身体や人生を呪うようになります。

 

彼女の潜在意識にしてみれば、運命共同体の主人(顕在意識)に危機を伝えたのに無視され、疎まれているように感じるので、ますます強く訴える(症状を苛烈にする)のです。

 

エリクソンはこの女性患者の顕在意識と潜在意識のコミュニケーション障害を改善するため、まず、「あなた自身の『身体の学び』がそれ(治療)をしてくれるでしょう」と、彼女の自発性を刺激したのです。

 

ですから、エリクソンは彼女が自分でトランス状態になるように指導し、心と身体がリラックスする方法を学ばせました。

 

トランス状態に入れたからといってすぐレイノー病が改善するわけでも痛みが取れるわけでもありませんが、心と身体がリラックスする状態をどんなに彼女の潜在意識が欲していたかを体感したはずです。

 

彼女の潜在意識にしてみれば、

「ようやくわたしの主人(顕在意識)はわたしが感じていた恐怖に気づいてくれた」と安堵したことでしょう。

 

ですから、10年ぶりに彼女は熟睡することができたのです。

 

そして、彼女の潜在意識の思いを顕在意識が気づくことで、心と身体を緩ませるトランス状態がどんなに必要なことか、いままで異常なほど心と身体を怖がらせ、凍り付いたまま(緊張状態のまま)にしていたかを知ったことでしょう。

 

潜在意識や身体は顕在意識のように言葉で思いを伝えるのが苦手です。

ですから、感情や直感や衝動やイメージで伝えてくるのです。

 

目を閉じて呼吸に注意を向けるマインドフルネス(今こここの瞬間にフォーカスし、他を休ませる)を習慣にするだけでも、潜在意識と顕在意識の交流を改善する効果があります。

 

ほんの10分くらいの時間を自身の潜在意識と身体をリラックスのために費やすだけで、顕在意識は外側のリズムではなく、自身の内側のリズムに調律でき、心と身体の不協和音を予防できるのです。

 

次回は「悪魔を出し抜け!」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。