こんにちは、リブラです。
今回は「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンスを育てる>」の第2章の解説です。
*人生を呪った男
激痛を伴う関節炎に11年間苦しむ男性患者が、エリクソンのところに連れて来られました。
彼が動かせるのは頭と片方の親指だけでした。
着換えも食事も車椅子に座ることも寝ることも、すべて妻頼りの生活をしていました。
彼は自分の不幸な人生を呪い続けていましたが、エリクソンはそんな彼を運動不足だと言って叱責しました。
「動かせる親指があるのだから、それを動かさなくてはいけません。毎日その親指を動かす練習をして、忌々しい時間をやり過ごすのです」
すると、その男性は「昼でも夜でも、1週間でも1月でも、この忌々しい親指をピクつかせることはできるが、そんなことをしたところでクソの役にも立たんさ!」とけんか腰で答えました。
その男性は自分が正しいことをエリクソンに証明して見せてやると固く決意して帰りました。
ところが、親指を動かす練習をしているうちに、不意に人差し指も動くことに彼は気づきました。
さらに練習を続けていると、親指の動きに影響されて他の指も動かせるようになりました。
彼は新たな進歩に気づくたびに、自分の指があとどれくらい小さな動きを生み出せるか、夢中で確かめようとしました。
やがて彼は手首が動かせるようになり、腕も動かせるようになりました。
エリクソンは彼に小屋のペンキ塗りの仕事を与えました。
その男性は「あんたにちょっとでも常識があるなら、これっぽちの動きしかできない人間を、小屋のペンキ塗りにやったりするまいに」と文句をいいましたが、3週間かかってペンキ塗りを仕上げました。
彼はその後、化粧しっくいを2度塗りすることさえできるようになり、トラック運転手の仕事に就きました。
次に組合に加盟すると、ほどなくしてその組合の長に選出され、学歴の必要を感じて大学に通うようになりました。
関節炎の重い症状は時折彼を襲いましたが、
「毎年雨期が来て、痛む関節を抱えてベッドに縛られるのを、読みたくても暇がなかった良書を読む機会だと思って楽しみにしている」とエリクソンに語りました。
治らずに残った関節炎は、再発と捉えずに「休暇」を生み出してくれるとその男性は見なしたのです。
ー「ミルトン・エリクソン心理療法<レジリエンス>を育てる」ーより
エリクソンはいつでも杖を使って歩き、大学で講義をするときもその杖をポインター代わりに使っていたというのに、学生たちは彼の脚が不自由なのを言われるまで気づかなかったそうです。
エリクソンが健常者とさほど変わらない動きができるのは壮絶な努力の賜物なのですが、それを微塵も周囲に感じさせなかったのです。
わたしはこれを彼の12室(潜在意識~集合意識のハウス)のやぎ座キロンと火星のコンジャンクションの成せる技だなと思います。
やぎ座は現実的で合理的な性質なので、実際自分の手にしているもので確実に効果が期待できるものにしかエネルギーを投入しません。
そして、キロンは最もできない~最も優秀に至るまで際限のない努力を強います。
キロンは、どの星座であっても、滞在するハウスの領域に苦手意識を発生させ、<際限のない努力>を要求するのです。
「人より劣っている」という苦手意識が根底にあるので、この<際限のない努力>は「人知れず」続行されます。
そのキロンが、エリクソンの場合、やぎ座でしかも12室(潜在意識)にあるのですから、なおさらストイックな努力で「人知れず」確実な成果を意識変革によって具現化します。
周囲には奇跡としか思えなくても当然です。
キロンの守備範囲は「最もできない~最もできるに至るまで」ですから、12室やぎ座キロンのエリクソンは、最もできない人の気持ちを実際に理解して、最もできるところまで導く天命を担っているのです。
キロンは「癒し人」の象徴天体です。
自分にとっては苦手意識を発生させるものでも、他者にとってはヒーラーとして働くのです。
誰しもどこかのハウスにキロンがあるので、苦手意識を動機に人知れず際限のない努力を続ける領域があります。
それが苦手意識のまま終わるのか、最も得意とする領域に変えて同じ苦しみを抱えている人々に貢献する能力に発展させるかは、本人が自分の努力を肯定するか否か(承認するか否か)にかかっています。
それを自分で認めたとき、キロンの苦しみは人に貢献できる喜びに変わるのです。
エリクソンは発達障害や色覚異常などの先天的障害に加え、小児麻痺による後天的障害も抱えて、自身の血のにじむような努力が生みだす奇跡なしには、思い通りに生きるのが不可能な人生でした。
エリクソンは思い通りにならない身体を、努力で思い通りになる意識から着手したのです。
やぎ座キロンと火星のコンジャンクションだから、自分が思い通りにできるところから努力を注いでその範囲を拡大していったのでした。
だからエリクソンは、この男性患者の自分の身体の不幸を嘆く心を叱咤して、動く1本の親指に希望を見出すように意識から変えるように導いたのです。
これは、エリクソンが自分が通った道だから、身動き一つできない絶望的な状態の自分にもできたことだから、この男性に自信を持って勧めることができたのです。
やぎ座アセンダントややぎ座天体を持つ人が自分の体験から語ることは、それを聞く人も「自分も現実にそれを起こせる!」という具現化のパワーを与えます。
逆境や口惜しさをバネにして下剋上するやぎ座ですから、この男性も病気の忌々しさや叱咤したエリクソンを見返してやりたいとい気持ちを引き出し、親指を動かし続ける原動力につなげたのでしょう。
エリクソンが目しか動かぬ身体を動かす過程と同様に、この男性も動く親指を認め、それに影響されて動く他の指も認め、ついには手首が動いた事実を認め、課されたペンキ塗りができたことに自信をつけてトラック運転手の職を得て、組合長の責任を担う覚悟までついたのです。
関節炎で絶望的な状態に追い込まれていなかったら、ここまでこの男性の能力は引き出されたかどうかは怪しいところです。
病気に負けて、動く親指にさえ呪いの言葉を吐いていたくらいですから。
でも、挫折により一度レジリエンスを引き出せると、「痛む関節を抱えてベッドに縛られるのを、読みたくても暇がなかった良書を読む機会だと思って楽しみにしている」状態にまで意識変革が起こるのです。
「治らずに残った関節炎は、再発と捉えずに「休暇」を生み出してくれると見なした」この男性は、病気を人生の敵から相棒に替えて、可能性を見出し続ける人に変わったのです。
次回は「悪魔を出し抜け!」の解説を予定しています。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
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