こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。

 

*生ごみ

 

エリクソンの息子のロバートがまだ幼い頃、「僕はもう大きくて、強くなったから、毎晩でも生ゴミを運び出すことができるよ」と宣言しました。

エリクソンは「わかった。次の月曜から始めてごらん」と言いました。

 

ロバートは月曜と火曜の2晩、生ゴミを出しましたが、水曜には忘れました。

木曜日、エリクソンはロバートに思い出させて、ゴミ捨てしてもらいました。

 

けれども、金曜と土曜には、また忘れてしまいました。

 

そこで、エリクソンは、土曜の夜にとても楽しけれど疲れ果てるゲームをさせ、彼に好きなだけ夜更かしをさせました。

 

深夜1時には「もう眠たくなっちゃった」と言ったので、彼をベッドに行かせました。

 

その2時間後、エリクソンはロバートを起こし、彼に生ゴミを捨てることを思い出させなかったことを謝りました。

彼に「なんとか服を着替えて、今、生ゴミを運び出してくれないか?」と頼みました。

 

彼は面倒くさそうに服を着てゴミを運び出した後、パジャマに着替えました。

そしてベッドに戻りました。

 

エリクソンは、彼がぐっすりと眠っているのを確かめ、また、彼を起こしました。

 

今度はもっと申し訳なさそうに「台所の生ゴミのかけらが、なぜか見過ごされていたのかわからない、服を着て、あの生ゴミを捨ててくれないか」と言いました。

 

彼はそのかけらを捨てに行き、裏玄関まで戻ってきたところで向きを変え、ゴミを捨て場に戻って缶のフタが正しくしまっているかを確かめました。

 

彼は家に入ると、またベッドに戻る前に、台所をもう一度ざっと見回しました。

その間ずっとエリクソンは、彼に謝り続けていました。

 

それ以降、ロバートは生ゴミを出し忘れることはありませんでした。

 

ー「私の声はあなたとともに」ーより

 

このエピソードを読んで、「たかが生ゴミ当番を忘れたぐらいで眠っている子を起こすのはかわいそう」とか、「当てにならない子に夜通し起きてゴミ捨てを頼むより、自分がやってしまった方が早い」とか思うかもしれません。

 

でも、子どもの教育のためだったら、窓ガラスを7枚壊されても許せるエリクソンですから、約束が守られることにこだわったわけではないのです。

 

エリクソンが患者や大学の生徒や我が子に1番大切にしていたのは「自発性」でした。

自分からやろうと思い立ち実行することは、人間の意識を変えるほどの大きな力とエリクソンは感じていたのです。

 

「自発性」が欠けると、人の指図や要求に応えるというだけの動機で行動するようになり、いつの間にかやる気や自由意志が損なわれ、達成感や自信も湧いてこなくなります。

 

そのようにして周囲の人々や状況に流されて、心を病む人々をエリクソンは多数見てきたから、ロバートの自分から「ゴミ捨てを毎晩やる」と約束したことを尊重したのです。

 

もしも、ロバートが自分からした約束を守れなかったとしたら、「子どもだから仕方がないよね」で許されたり、起きるのが面倒くさくてエリクソンの頼みを聞かずに眠り込んでしまったとしたら、彼が「自発性」のマジックを体験するのは大人になってからだったかもしれません。

 

「自発性」にはどんな障害にも負けずに意志を通す魔法が働くのです。

 

人に言われて動くのと、自分から進んで動くのでは、後者の方がダントツに力が入りますよね。

やろうと思っていたことも、人からやれと口出しされたら、とたんにやる気をうしないます。

 

それはなぜかと言えば、わたしたちの身体は脳の指令によって行動するようになっているからです。

直接生命維持に欠かせないところは自律神経が自動的に働いていますが、行動するときは脳からの指令で動きます。

 

身体からすると、自分の主人の指令が脳から伝わってきていると思って動いているのです。

 

でも、もしも、「これをやって!」と脳から指令が来るので身体がそれを実行するとき、脳から「別にこれをやりたいわけではないんだ」という思いも伝わってきたとすると、身体の方は「これやるの?やらないの?どっちなの?」と曖昧な指令に混乱します。

 

そして、その曖昧な指令の原因は、自分の主人以外の人間の指示の下で行動するからだというのが身体に伝わると、失望しますよね。

 

今まで、自分の主人の指令は本人の意志だと思って従ってきたのに、その上に指示出す人間が別にいたら、自分の主人は誰かに従わされている存在だと気づいてしまいます。

 

そうすると、身体は自分の主人を頼りにしなくなります。直に指令出す人間の方が主人より格上だと思って従おうとするのです。

 

一方、もしも、本人の脳が自分から進んで何かを思いつき、身体に行動の指令を出すとどうなるでしょうか?

 

もう、「これやるの?やらないの?どっちなの?」と曖昧な指令に混乱が足を引っ張るもありません。

しかも、自身の主人が自身のためにその行動をせよ!と本来の指令経路で出しているのです。

 

喜んで身体は従いますよね?他の誰でもない自分の主人の指令なのですから。

 

だから、その行動は心と身体と魂意識が三位一体の奇跡的な動きになります。

これが「自発性」のマジックです。

 

エリクソンは精神科医で潜在意識の専門家で、小児麻痺で身動きひとつできなかった身体を自分の意思通り自由に動かせるようにした経験から、心と身体の信頼構築の仕方を熟知しているのです。

 

それはとてもやぎ座的なやり方で、努力や忍耐を要します。

エリクソンはやぎ座アセンダントで、12室(潜在意識~集合意識)にキロンと火星と太陽と土星を持っているから当然です。

 

でも、とても現実的で合理的です。やぎ座は12星座で最も現実的で確実な具現化力を備えています。

 

ロバートに生ゴミ当番を毎日忘れず、ひとかけらのゴミも残さず、しっかり缶のフタを締める確認さえも怠らずにさせるために、確かにエリクソンは一晩中彼に付きっ切りでした。

 

でも、彼はそれ以降完璧な生ゴミ捨てをやり通すようになりました。

それだけはありません。

彼は自ら望んだことを責任を持って成し遂げたので、「自発性」のマジックを発動させる自信がついたのです。

 

「自発性」のマジックを発動させたければ、自分の意思を尊重して行動することを意識しましょう。

 

誰かの指令に従って行動するときは「やらされている」⇒「何事も自分がやりたくてやっている」に変換しましょう。

これだけでも大きな違いがでます。

 

身体は「自分がやりたくないものをいつもやらされるだけの存在」⇒「自分から進んでやりたいことに挑戦している存在」と捉えるようになるからです。

 

「自分から進んでやりたいことに挑戦している存在」というセルフイメージが備わると、「やりたいことのチャンス」がたくさん訪れる未来を引き寄せます。

 

避けたり逃げたりしても、どの道、人生に必要なイベントはいずれ起こるように魂意識は設定しています。

 

それを自ら進んで挑戦するか、逃げ回った末に取り組むかは本人の選択次第ですが、「自発性」のマジックを発動させて生きる方がはるかに楽なのは言うまでもありません。

 

次回はエリクソンの「わたしの声はあなたとともに」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。