こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。

 

*ルース

 

ルースはとても可愛くて小柄で愛嬌のある精神科病棟の12歳の患者です。

ところが、新人看護師が入るとみんな、

「ルースに近づかないで。あの子はあなたの服を破るし、腕か脚を折るでしょう!」と忠告を受けるくらいのトラブルメイカーでした。

 

その病院の院長も手を焼いて、エリクソンにルースの扱いについて相談を持ち掛けました。

エリクソンは「ルース対策」に協力してくれる看護師をひとり紹介してもらい、引き受けることにしました。

 

まもなく「ルースがまた騒ぎを起こしている」と知らせが入り、エリクソンは病院の壁の漆喰を剥がしているルースのところへ行きました。

 

エリクソンはベッドのシーツを破って見せました。そして、ルースと一緒にベッドを壊しました。

窓ガラスを割るのも手伝いました。

 

ルースと破壊行為の協力関係を築く一方で、エリクソンは病院の整備士とも密かに話しをつけていました。

 

だから、エリクソンが提案する形でルースに「暖房機の破壊遊び」を誘い、一緒に暖房用のパイプをもぎ取りました。

 

エリクソンが部屋を見回して、

「ここではもうできることがないね。別の部屋へ行こう!」というと、ルースの方が

「こんなことをしていいの、エリクソン先生?」と言ってきました。

 

エリクソンは「もちろん!おもしろいだろう?僕にはおもしろいよ」と答えました。

 

その後、ふたりが別の部屋に向かおうと廊下に出ると、看護師(「ルース対策」協力要員の)に出くわしました。

 

エリクソンは1歩踏み出して素早く看護師のユニフォームを引き裂いたので、その看護師はブラとパンティだけの姿になってしまいました。

 

これにはルースの方が慌てて破れたシーツを持ってきて看護師に巻き付け

「エリクソン先生、そんなことしてはいけないわ!」と言いました。

 

この出来事があってから、ルースは過激なイタズラをしなくなりました。

 

ルースはその後、病院を抜け出し、妊娠して出産し、子どもを養子縁組に出す事件を起こしましたが、自発的に病院に戻り、落ちついた入院生活を3年過ごしました。

 

そして、退院を申し出て、ウエイトレスとして働き、青年に出会って結婚し、2児の母親になり、よき市民になりました。

 

ー「私の声はあなたとともに」ーより

 

わたしたち人類は、食物連鎖のトップに君臨する地球の支配者です。最強の生物です。

でも、社会に守られないと生き残れない、か弱い生物でもあります。

 

そんなわたしたちの何が地球最強の生物たらしめているかといえば、それは頭脳です。

わたしたちの優秀な頭脳が最強の武器となり、地球を支配するに至っているのです。

 

それほどの機能を備えた頭脳ですから、常にメンテナンスが必要です。

猛獣が爪を研ぐように、わたしたちの大脳も常に最高のパフォーマンスできるようにメンテナンスを要求します。

 

「脳には酸素と糖を供給し、睡眠を与えていればそれで十分!」と思っていませんか?

それは生存に必要最低限のメンテナンスです。

 

身体に筋肉をつけるときは、有酸素運動して鍛えますよね?

わたしたちの大脳も、常に使っていないと鈍るばかりではなく、怖ろしいことに脳細胞が死んでしまうのです。

 

嘘ではないですよ!脳の神経細胞をメンテナンスするグリア細胞というお世話係がいて、そのサービスを受けられるのはちゃんと活動している神経細胞のみなのです。

 

わたしたちの大脳は超エリート組織ですから、厳しいです。

活動していない(インパルスの応答で興奮していない)神経細胞は、グリア細胞にメンテナンスしてもらえず、死が待っているのです。

 

興奮できるかできないかは、まさに脳の神経細胞の生き残りをかけた死活問題です。

 

それじゃ、なんでもいいから脳が興奮することをしていればいいのか、というと、ここにも大脳超エリート組織の厳しい規定があります。

 

それが「興奮の閾値」です。

過去に脳細胞が興奮した経験は正確に記録されていてその基準に則り、ご褒美の脳内麻薬(快楽物質)の分泌量が決まるのです。

 

過去すばらしく感動する経験をしたからといって、それと同じ行為で同じ感動を味わえるかといえば、それはもう二番煎じになってしまいます。

 

どんなに好きなものも繰り返せば飽きが来るのは、脳の神経細胞が興奮していないからであり、「存亡の危機」を知らせているのです。

 

脳の神経細胞の切実な興奮欲求がわかると、なんで危険な冒険に挑んだり、馬鹿げた破壊行為をしたがる人がいるのか理解できると思います。

 

それを踏まえて今回のルースのエピソードを読むと、なぜ彼女が病院で人や物を傷つける遊びをしていたのか、エリクソンが度を越した破壊行為に協力したのか、その後ルースが破壊行為をやめた理由が紐解けてきます。

 

健康な身体の12歳の少女が、変化も驚きもない規則正しい病院生活に閉じ込められているのです。

ルースの脳神経細胞が興奮を求めて、非日常的な遊びを要求するのは自然なことです。

 

ただし、ルースの遊び方は病院にとって被害が大きく、彼女自身も満足していないからしょっちゅう騒ぎを起こしていたのです。

 

だからエリクソンは、1回でルースが飽きるほどの破壊行為に付き合ったのでした。

 

ルースはベッドや暖房パイプを壊したとき、「こんなことをしていいの、エリクソン先生?」と言い、

看護師のユニフォームをはぎ取ったときは、「エリクソン先生、そんなことしてはいけないわ!」と諭し、

看護師の身体にシーツを巻き付けることまでしています。

 

病院生活ではあり得ない非日常的な遊び新鮮な驚きを感じ、脳神経細胞がかつてないほどの興奮を覚えて満足したのでしょう。

 

けれども、予想外の行動を連発する人の側にいると、かえって客観的で冷静になります。

エリクソンがルースの想定をはるかに超えることをしたので、彼女の方が「これはたいへんなことになった」と心配にならざるを得なかったのでしょう。

 

ルースの例は極端ですが、わたしたちの大脳も興奮できる娯楽を毎日欲しています。

でも、わたしたちは大抵、決まりきった娯楽しか与えないので、脳神経細胞はいつも存亡の危機にさらされています。

 

ここで救世主になるのが、わたしたちのインナーチャイルド(子ども意識)です。

未熟で幼い意識だから、常識や安定路線から外れることのできない保守的な大人意識に抵抗して、遊び優先、心地よいこと優先、自分中心、自由奔放を要求してくれます。

 

この欲求をわたしたちの大人意識は「困ったちゃんのわがまま」と思うでしょうが、ここはエリクソン先生の「ルースの扱い」をお手本にしてみましょう。

 

要は、インナーチャイルドの想定外を狙ってびっくりさせてしまえばいいのです。

「やらなくちゃいけないことばっかりで息がつまりそう!こんな生活イヤ!」とインナーチャイルドがダダをこねたら、「今度の休みは、やりたくないことは全部ぶん投げて、誰にも会わずに1日中無計画に好きなことだけしよう!」と、要求される前に要求以上のことを提案するのです。

 

時計も見ず、メールも見ず、好きなことだけに没頭していると、インナーチャイルドの方が心配して「1回くらいはメールのチェックくらいしておいた方がいいんじゃないの?」と囁いたりします。

 

たまにはそんな日をゴリ押しで作ると、決まりきった日常から逸脱できて、脳神経細胞は些細なことでも新鮮な驚きを感じて興奮するようになります。

 

そんな状態でインナーチャイルドとふたりきりのデートを楽しむと、流れる雲を見ても、野に咲く花を見ても、夕陽を見ても、夜空の月や星の輝きを見ても、新鮮な驚きや発見があり、脳神経細胞の心地よい興奮(ワクワク)を感じやすくなるのです。

 

子どもに帰ったような気分で、いつもと違う遊びをやってみることが、わたしたちの大脳の緊張を緩め、普段刺激していない脳神経細胞を興奮させることにつながるので、よいメンテナンスになるのです。

 

次回はエリクソンの「わたしの声はあなたとともに」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。