こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。
*ドナルド・ローレンス(仮名)と金メダル
ドナルド・ローレンス(仮名)は195センチで120キロの高校生で砲丸投げの選手でしたが、記録が伸びず悩んでいたため彼の父親はエリクソンのところに連れてきました。
エリクソンはドナルドをトランスに入れて話しました。
「あらゆる種類のスポーツに精通していたバニスターは、スキー競技の場合には100分の1秒差とか、10分の1秒差で勝負がつくことに気づいたんだ。
1マイル4分は240秒だから、239秒と10分の5秒で走ることができれば1マイル4分の壁を破ることができる。そんなふうに考え続けて彼は1マイル4分の記録を塗り変えたんだ。
君は既に58フィート、砲丸投げができる。58フィートと58フィート60分の1インチの差がわかるかい?」
D.L「もちろん、わかりません」
エリクソンはその差を58フィートと59フィート差まで釣り上げましたが、ドナルドは「区別できない」といったので、その後さらに数回のセッションで、ゆっくりと可能性を押し広げていきました。
2週間後、彼は国内高校記録を打ち立てました。
そして、その夏ドナルドはまたエリクソンのところに現れ、「オリンピックに出ることになりました。何か良いアドバイスを」と尋ねました。
エリクソンは「君はまだ18歳の子どもだ。銅メダルを取ってくるのがちょうどいいんじゃないかな。金メダルや銀メダルは取ってきちゃだめだよ」そして、ドナルドはほんとうに銅メダルを祖国に持ち帰りました。
次の東京オリンピックの出場が決まったときもドナルドはやってきて、エリクソンにアドバイスを求めました。
エリクソンは言いました「あれから4歳年を取ったね。もう、金メダルの取り頃だね」。
ドナルドは金メダルを取って帰ってきました。
その後ドナルドは歯学部入学し、大学の砲丸投げ競技会に出場することになり、エリクソンを訪ねてきました。
エリクソンは「人はみんな自分を枠にはめてしまうものだ。オリンピックの砲丸投げも、みんな、62フィートという記録に自分自身を制限してしまっている。
だから、62フィートと70フィートの間のどこかに記録を作ってみないか」と話しました。
そしてドナルドは、68フィート10インチの記録を達成しました。
ー「私の声はあなたとともに」ーより
今回登場した「ドナルド・ローレンス(仮名)」氏は実在していて、エリクソンにアドバイスをもらってほんとうに東京オリンピックで金メダルを取っているそうです。
エリクソン自身は足が不自由なのでスポーツはやっていませんが、オリンピックで銅メダルや金メダルを取らせることができてしまうのは、潜在意識の世界を良く知っているからだと思います。
エリクソンの指導は凄い結果を出しますが、並みの人では真似できないほどハードなものかと言えば、そんなことはありません。エリクソンが行ったのは、古い見方・捉え方をほんの少し変えてみることと、それが習慣になるまで継続することなのです。
いて座太陽と天王星の合とやぎ座天体集結を持つエリクソンと同じ日に生まれたウォルト・ディズニーも、「夢は必ず叶う。諦めなければ」と言っています。
夢という的を1つ決めたら、それが叶うとイメージに集中して行動するのがいて座の矢の撃ち方。そのイメージが具現化されるまでのタイムラグを、的に向かう行動と思いの持続で乗り越えるやぎ座の精神力。
いて座とやぎ座のコンビネーションの力で、小児麻痺や発達障害や経済的問題を克服して夢を掴んだエリクソンは、その経験を様々なケースに対応させてクライエントに教えます。
エリクソンは精神科医なので、人間の心や身体がホメオスタシス(恒常性の維持)により保たれていることを知っています。大きな変化が急に起こると、元の状態に戻す動きでバランスを取るしくみがあります。
たとえば、ダイエットをして体重を減らそうとすると、順調に体重が落ちていく時期と停滞する時期を体験します。同じことをしているのに体重が減らない時期が少し続くと、また、順調に減少する時期に入るというサイクルがあり、急激な体重の変化で身体のリズムを崩さないように「恒常性を維持するシステム(ホメオスタシス)」が存在するのです。
わたしたちの潜在意識でも、それと同じことが起こります。既に習慣になっているもの、経験しているものにはすんなりと対処しますが、習慣になっているものを手放すとか、未経験ゾーンにチャレンジするときは、ネガティブな思考や怖れを発生させて抵抗するしくみがあるのです。
物質界での安定的な生き残りを担うエゴは、習慣になっているものを手放すとか、未経験ゾーンにチャレンジするとき、必ず、失敗やリスクを連想する囁きをして怖れを発生し、それを阻止しようと働きくます。
けれども、エゴに怒りの矛先を向けてはいけません。目的に進もうとすることを邪魔する動きに見ますが、これもエゴの役割なのです。
ホロスコープに、夢を追いかけるいて座の後にその夢への思いを維持し、ストイックな努力で具現化に至らせるやぎ座が来るように、「夢とエゴの抵抗(それを阻む障害)」はセットだと思ってください。
意識変革が大きければ大きいほど、エゴは同じ力で抵抗してきますから、怖れが大きいときはそれだけ大きな意識変革(生まれ変わるような変革)のプロセスにいると思っていいのです。
怖れている自分(エゴ)を攻撃しないでください。「夢とエゴの抵抗(夢とそれを阻む障害)」のセットが揃った(的とそこまでの距離が決まった)、ファーストステップが完了した!と思いましょう。ここまでがいて座の得意分野です。
この世のものは、なんでも二極化しています。そのどちらかに行くのではなく、二極化しているものをつないで統合するのがわたしたちの夢の具現化のゴールなのです。
「わたし、いて座に星持ってない!」と嘆かないでくださいね。ホロスコープの円の中にいて座が担当するハウスは必ず存在します。天体がなくても、いて座を意識し、いて座らしい使い方(前向きに的を定めて行動)をすれば、必ず、いて座の力はチャンスと幸運を呼び出せます。
エリクソンと同じ配置を持っていなくても、彼の「いて座&やぎ座」成功法の伝授でクライエントのD・L氏が東京オリンピックの金メダリストになった事実がその証です。
「夢とエゴの抵抗(夢とそれを阻む障害)」のセットが揃った(的とそこまでの距離が決まった)ら、ここからはやぎ座にバトンタッチです。
やぎ座は現実性・合理性・機能性重視の星座です。「現実性・合理性・機能性」を無視するやり方をしたら、やぎ座の具現化は働かないと思ってください。
エリクソンはやぎ座アセンダントで、観念システムを形作る土星もやぎ座なので、彼のクライエントへの指導は極めて「現実性・合理性・機能性」に適っています。だから、良いお手本になると思ってよいでしょう。
エリクソンは潜在意識の中に構築された制限(今まで通りの安全地帯;コンフォートゾーンを維持しようと設けた制限)が、D・L氏の記録の伸び悩みの原因であることを見抜いていました。
ですから、潜在意識の中に構築された制限の設定を明確に数値化して意識させ、その数値を目標に練習すればいいと指導したのです。潜在意識は「イメージ」に反応するので、「なんだ、それくらい簡単だ!」というイメージを起こさせる数値設定にすれば、目標(いて座の的)は簡単に決まってしまいます。
エリクソンは、D・L氏のコンフォートゾーンから出るすれすれの数値を数回のセッションの中でゆっくり決めていったのです。コンフォートゾーンからはみ出すけれど、潜在意識は「なんだ、それくらい簡単だ!」というイメージになっているから、エゴの「怖れ」の囁きはかき消されてしまいます。
メダルを取ったことのないD・L氏に「メダルを取って来なさ」いと言えばエゴが怖れを発生させますが、「金メダルや銀メダルは取ってきちゃだめ。君には銅メダルがちょうどいい」という言葉で、銅メダルが簡単そうなイメージにすり替わってエゴ封じになるのです。
エリクソンはコンフォートゾーンの壁をぶっ壊すやり方ではなく、コンフォートゾーンの壁(高校生のD・L氏の場合なら58フィートの壁)をほんの少し超える数字を現実的なシンボルとして的に想定させたのです。
やぎ座は現実に手にしているものを利用して下剋上を遂げる星座だから、コンフォートゾーンの壁をぶっ壊すなんてもったいないことはせず、逆に壁を越える目印として利用するのです。
少し越えても越えたことは事実として残り、繰り返せば僅かでも自信として積もっていきます。
そして、やぎ座の最大の強みは習慣です。通常より少し越えた的に向かって行動を続けることを繰り返すうちに、エゴはそれをコンフォートゾーンと認識し習慣化するので、邪魔をするどころか具現化に向けて共同創造するようになるのです。
これがやぎ座の現実性・合理性・機能性重視の成功法です。エリクソンは、この方法で心理的ホメオスタシスの壁を超え、潜在意識の機能を巧み使い、様々な患者の悩みに応えていたのだと思います。
次回はエリクソンの「わたしの声はあなたとともに」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
詳しくはこちら をご覧ください。
新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。