こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第4章の解説の続きです。
ヒル「あなたが子どもたちをまだ未熟で影響を受けやすいうちに、怖れを植え付け自分のものにしてしまうというのはわかりましたが、かれらを「流される」人間にするために、親や教師や宗教指導者たちを利用する方法について、話してもらえませんか?」
悪魔「わたしは親や教師や宗教指導者たちを利用して、子どもたちの自発的に考える勇気と力を弱体化させる。宗教、政治、結婚、その他重要なことは何でも、親の信じる通りに子どもも信じるように、親から子に教え込ませている。このようにしてひとりの人間の意識さえ支配してしまえば、その支配をいとも簡単に長続きさせることができるのだ。」
ヒル「どうもあなたは人間を考えさせないようにするために、ずいぶん努力しているようですね」
悪魔「そうだ。正しい思考はわたしにとって死を意味する。わたしは正しく考える人間の思考の中には存在できないのだ。人間が恐怖や落胆、失望、自滅などといった思考をしている間は問題はない。しかし、信心、勇気、希望、明確な目標などといった建設的な思考を始めると、そのとたん、かれらは対抗勢力(神)の側につき、もはやわたしのものでなくなる」
ヒル「あなたが子どもたちの意識をコントロールするのに、どのように学校の教師の手助けを借りるのですか?」
悪魔「かれらが何も教えていないということが、わたしを助けているのだ。学校の教育制度そのものが、自分の頭を使って考えることを子どもたちに教えようとしないので、わたしの目標に利するようにできている。
生徒自らが教える者となり、教師が単なるガイド役となり、意識の内側から育てる方法を子どもたちが確立するのを助ける。そんな教育制度ができれば、わたしに致命的な打撃を与えるだろう」
ヒル「あなたが人間を地獄へと引きずり下ろす方法についてもっと話してください」
悪魔「わたしは『健康、結婚、職業、貯蓄、環境、支配的な考え』によって、人間の自主的思考や行動をコントロールしている。
『健康』はわたしの誘導により、人間は食べ過ぎたり、間違った食べ方をして不調を招き、正しく考える力が破壊される。
『結婚』は互いの関係を調和あるものにする計画なしに結ばれるように、わたしは誘導する。するとそのふたりは、お金や子どもや夫婦の営みや人間関係について、お互いの欠点のあら探しをするようになり不愉快な争いで心が乱れ、正しく考える力が破壊される。
『職業』生計を立てること以外の何の明確な計画も目標もなしに仕事に就くように、わたしは誘導する。これにより人間は貧困の恐怖を意識しながら働く生活に閉じ込められる。食べるために働く習慣に流されるのだ。
『環境(対人関係)』家庭や職場や親戚や友人などの人間関係が不調和になるように、わたしは誘導する。これによりかれらがその状態でもがいている間に、流される習慣に引きずり込んでいく。
『支配的な考え』わたしの誘導により、人間は否定的に考える習慣を身につける。そこから否定的な行動や他者との対立が生まれ、恐怖がかれらの意識を満たすようになる。それによって、わたしはかれらの意識をコントロールできるようになるのだ。
かれらはその否定的な考えを自分のものだと信じ込むが、それは教会や新聞やラジオやテレビなどの媒体を使ってわたしが意識に植え付けたものだ。こうして人間はかれらに代わってわたしに考えさせるようになる」
ー「悪魔を出し抜け!」第4章よりー
悪魔が「正しい思考はわたしにとって死を意味する。わたしは正しく考える人間の思考の中には存在できないのだ」と言っているのを見て、「正しい思考って何だろう?」と思った方も多いでしょう。
ヒルの言う「正しい思考」とは、「自主的思考」であり「流されない思考」ですが、ここで1つ問題が発生します。「流される」習慣がついてしまっている人が、いきなり「自主的思考」や「流されない思考」に切り替え可能か?ということです。
人類の98%が悪魔(エゴ)の支配下にあり、「流される」習慣で生きる親や社会に育てられているのですから、「自主的思考」や「流されない思考」を禁止する刷り込みが、わたしたちの潜在意識には既に入っているのです。
「正しい思考」をしようとすれば、「何が正しいのか?」「自主的思考はどうすればいいのか?」「流されたくないけど、抵抗したら孤立してしまう。どうしたらいいのか?」という疑問や混乱が押し寄せてくることでしょう。
すべての人々の意識に住む悪魔(エゴ)は、当然「流される」習慣を死守するためにこのような疑問や混乱を投げかけて、「自主的思考」を遠ざけようとします。ここで忘れてはいけないのは、「悪魔(エゴ)と闘わない、敵にしない」ことです。
ヒルですら、悪魔と闘わず、悪魔の手の内を聞き出すことで「成功哲学」を確立したのです。陽と陰の統合が最も完全な姿です。悪魔を排除して神の世界を創るとか、陽は価値があるけれど陰は価値がないから切り捨てるなどの分離思考で戦っていたら、闘いに消耗するだけでエネルギーを使い果たしてしまいます。
わたしたちの内なる悪魔(エゴ)は、この物質次元の安楽な生き残りのために、『健康、結婚、職業、貯蓄、環境、支配的な考え』で誘導して、「流される」習慣を死守しているのです。
「物質次元の安楽な生き残りさえ確保できたら幸せな人生、それができなければ不幸な人生」という二極化思考の下にわたしたちをコントロールしているのです。これ、半分正しいけど、半分間違っていますよね?
物質次元の安楽な状態を作れなくても必ずしも不幸な人生とは限らないし、物質次元で豊かで安定していても、精神的な自由や充実がなかったとしたら、それは幸せな人生とは呼べないでしょう。
エゴの任務は「物質次元の安楽な生き残り」で、ただその役割を遂行しているだけなのです。エゴにその任務をしっかりやってもらわないことには、物質次元の生き残りがいつもサバイバルになってしまいます。エゴもわたしたちの人生に欠かせないパートナーなのです。
ただし、エゴは二極化思考ですから、任せきりにしておくと物質次元の安楽な生き残りだけをゴールに突き進むので注意しなければいけません。
ですから、「正しい思考(自主的思考)」への切り替えが難しい人は、まず「二極化思考に流されない」ことから始めるとよいでしょう。
「二極化思考に流されない」ようにするには、「これは善ではないと判断するとき、短絡的にそれを悪と決めつける」とか「これは正しいと判断するとき、それ以外を間違っていると決めつける」とか、なんでも二極に切り分けて、一方を肯定するときもう片方を必ず否定する思考(ジャッジメント)に気づく必要があります。
牛乳が健康によくないと聞くと、チーズやアイスクリームやヨーグルトを食べる度に後ろめたい気持ちになってしまうなら、それは明らかに二極化思考に支配されています。タンパク質が健康に良いと聞くと、そればかり食べようとするのも二極化思考の現れです。
二極化思考でいつも肯定か否定かの二択のジャッジメントで判断するとき、わたしたちは外側の情報の比較検討に終始してほとんど自分の思考を使いません。「流される思考」の素地を自分で作ってしまうのです。自主的思考(正しい思考)が働くチャンスを奪ってしまうのです。
巷に溢れる二極化思考に基づく情報に気づき始めたら、自身の自由にできる時間や場所では、「自主的思考」や「流されない思考」を試みて自身の物や環境や関係を選択していきましょう。そのときは、極力外側の情報を使わず、自身の直感や感覚を優先します。
エゴがその選択に文句を言ってきたら「これは生き残りを危うくしない領域だから、口出し無用!」ときっぱりいいましょう。社会に迎合しなければならない領域でいきなり「自主的思考」や「流されない思考」を試みるとエゴの抵抗に遭いますが、何を選ぼうとかまわないときは、エゴの好む合理性・機能性・生産性重視の考えの真逆をやって、こっそり自主的思考(正しい思考)の素地を育てていくのです。
慣れてくれば「自主的思考」や「流されない思考」は快適なので、エゴに遠慮することなくいつでも判断に使えるようになります。すると、何かに操作されているとか、誘導されているとかの気配を直感や感覚が優秀なセンサーになって知らせてくれます。
こうなってしまえば、巷に溢れかえる情報の中から自分に適したものを探し回る苦労はなくなります。自身の心や身体が欲しているものは、自分自身の直感や感覚が1番知っていると信頼できるようになるのです。
誰の操作も誘導ない、自身の直感や感覚が選んだものを所有するときの喜びこそ、内なる神(魂)の捧げものに相応しいのです。
次回は「悪魔を出し抜け!」の解説を予定しています。
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