こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第3章の解説です。
1923年にヒルは「もう1人の自分」の出現により、念願の「成功哲学の本」の出版にこぎ着け、経済的問題も解決し、すべてが順調に進んでいました。信念が第6感への扉を常に開いている状態だったので、「無限の知性」からのひらめきが絶えることはありませんでした。
ところが、1929年の世界恐慌が起きたときは、全財産を預けていた銀行が倒産したり、所有していた土地を失うことになり、さすがのヒルもこのときばかりは信念が揺らぎ、「恐怖の存在」=悪魔が心に侵入するのを許してしまったのです。
ヒルは「思考は現実化する」を出版するときには既に「マスターマインド(1つの明確な目標を達成するために2人以上の人間の間で築く調和のとれた協力関係)」を知っていたのですが、「無限の知性」のひらめきを自力で活用することだけに終始していました。
しかし、この危機を迎えて、妻もヒルと志をひとつにしていたためマスターマインドが働き、恐怖に心を占領されることなく、かえって悪魔の尻尾を掴まえて質問に応じる契約をさせることができました。
ヒルは、「一人の人間の力ではとても制御しきれない前代未聞の不景気(世界恐慌)」に直面し、「成功哲学」の原理を試すまたとない機会ではないか、と思考を切り替えて自分の信念を取り戻し、悪魔との対話に挑んだのでした。
ヒル「これから簡単な質問をいくつかするので、それに対して誠実に答えるように。悪魔よ、用意はいいかね?」
悪魔「用意はできている。しかし、この対話の間、わたしのことは『陛下』と呼ぶのだ」
ヒル「なぜ、おまえのことを王のごとく扱わねばならないのか?」
悪魔「わたしの支配はおまえたち人類の99%に及んでいる。王に匹敵すると見なされて当然ではないかね?答えが聞きたいなら、わたしのことを『陛下』と呼ぶのだ。
わたしが答えるものの中には、おまえに理解できることもあれば、できないものもある。おまえがわたしと同じ視点に立てるよう、まずはわたしのことを説明しよう。そして、わたしやわたしの住むところについておまえたちが持っている間違った考え方を正してやろう」
ヒル「陛下、それはよい考えだ。まず、あなたがどういう所に住み、どういう姿形をしているのか説明してもらいたい」
悪魔「姿形?まったく、人間はこれだから困る。わたしに姿形などない。おまえたちのように邪魔な物をまとっていては闘いに不利だ。わたしは否定的なエネルギーからできていて、わたしを恐れる者の意識の中に住んでいる。
また、わたしは、物質を構成するすべての原子の半分と、あらゆる精神的・物理的エネルギーの半分を支配している。
すべての原子は2つののグループに分けられるが、その否定的な方がわたしだと言えば、少し理解しやすいのではないか」
ヒル「なるほど。もしあなたという存在がいなければ、世界も、星も、電子も、原子も、人間も、何もかも存在しない。そういうことですか?」
悪魔「そうだ。まさしくその通りだ!」
ヒル「しかし、あなたが支配しているのが物質とエネルギーのうち半分だけだとしたら、あとの半分は誰が支配しているのでしょう?」
悪魔「あとの半分はわたしの対抗勢力が支配している。おまえたち人間が神と呼んでいるものだ」
ヒル「つまり、あなたと神で宇宙を二分しているということですか?それはあなたの主張でしょうか?」
悪魔「これは事実だ。この対話が終わる頃には、おまえもわたしの言っていることがなぜ正しいのか理解するだろう」
ヒル「あなたと神がこの世を二分して支配しているならば、99%まで悪魔が支配するこの世界において、不幸を引き起こしているのがあなたでないとしたら、いったいそれは誰なのですか?」
悪魔「世界の不幸を起こしているのはわたしでないなどと一度も言ったことはない。むしろ、その逆だ。わたしはそのことを誇りに思っている。あらゆる物事の否定的な面を代表するのがわたしの仕事なのだ。
肯定的な思考は対抗勢力(神)がコントロールし、否定的な思考はわたしがコントロールしているのだ」
ヒル「人間の意識をどうやってコントロールするのですか?」
悪魔「それは簡単なことだ。人間の脳の使われていない部分へ侵入し、そこを占拠するだけだ。人間の意識に否定的な思考の種を蒔いておけば、いずれその空間を占拠してコントロールすることができるようになるのだ」
ヒル「人間の意識をコントロールするための道具を、あなたはさぞかしたくさん持っているでしょうね。どうぞ、その道具について説明してください」
悪魔「人間の意識をコントロールするのに最も適した道具は恐怖だ。人間の意識に恐怖の種を植え付けると、やがてその種は芽を出して成長する。そうやって恐怖が占拠した空間をわたしがコントロールするのだ。
恐怖の中でもとりわけ次の6つが最も効果が高い。貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖」
ー「悪魔を出し抜け」第3章よりー
信じる心に反応し「無限の知性」のひらめき与える存在「もう1人の自分」」とつながったヒルですが、怖れる心に反応しコントロールをする「恐怖の存在」と完全に縁が切れたわけではないことがわかります。
世界恐慌という圧倒的な経済危機に遭遇すれば、エゴが生き残りのために「怖れの動機」で思考し選択するように働いてしまいます。しかし、ヒルは忘れていた「マスターマインド」のパワーを思い出し、妻とともに「成功哲学」の信念を強固にして、悪魔に心を乗っ取られずに済んだのでしょう。
今回の悪魔(恐怖の存在)との対話にもあるように、神と悪魔はどちらもわたしたちの意識に住むので、消えてしまうことありません。どちらの支配を受けるかは、本人の選択次第なのです。
ヒルもこの対話の中で質問を投げかけていましたが、神と悪魔でこの世の支配を二分するならば、なぜ、悪魔が全人類の99%の意識を支配しているのか?なぜ、そこは50%でないのか?という疑問が生まれます。
ここに神と悪魔の支配の動機の違いが表れているのです。神はワンネス意識(すべてがひとつになっている意識=わたしの中の全体=全体の中のわたし)なので、全体の可能性の発展のために支配します。悪魔はそれを否定する方向に支配します。
ヒルの例で言えば、「無限の知性」のひらめきにより「思考は現実化する」を執筆させ、「マスターマインド」という知識を与えておき、それを実践する機会として世界恐慌のタイミングを用意する。
全財産を預けていた銀行が倒産したとか、そういうことは「無限の知性」のひらめきで事前に危機を回避させることもヒルとつながっているときできたサポートのはずなのですが、あえて知らせない。そんな形の支配なのです。
逃げて隠れても、ヒルにしつこく「成功哲学」の本を書かせようとする、そんな形の支配なのです。
それって支配なの?と思うでしょう。でも、人間は強制力で心まで支配されると自発性を失います。自発性を失うと個としての考えや体験を望まなくなり、誰かがやってうまくいったとかの安全圏ばかり狙う人生になってしまいます。
個の体験の情報のフィードバックで全体の可能性の発展を意図している神にとって、自発性を欠いた人の情報ばかりがフィードバックされたら意味がないのです。
だから、サブリミナル効果としても知られているように、人の心は、明らかなコントロールよりも無意識レベルでのコントロールの方が効果的なのです。それは「なんとなくそうしたくなって自分で選んだ」という形をとり、本人の自発性を損なわないからです。
神の支配は「選択の自由」を侵害しないように行われるので、わたしたちはその存在すら気づきません。自発性を損なわない支配という点では成功していますが、危機に遭遇し恐怖に駆られたときのわたしたちのエゴは、物質的な安定や安心をエサに提示する悪魔の支配を選んでしまうのです。それが全人類の99%までが悪魔に支配されているという理由です。
しかも悪魔の支配は、用意周到です。
「人間の意識をコントロールするのに最も適した道具は恐怖だ。人間の意識に恐怖の種を植え付けると、やがてその種は芽を出して成長する。そうやって恐怖が占拠した空間をわたしがコントロールするのだ。
恐怖の中でもとりわけ次の6つが最も効果が高い。貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖」と言っているように、
悪魔はわたしたちが恐怖を抱くポイント熟知していて、「貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖」にわたしたちが遭遇すると直ちに怖れが頭を占拠するように、元から意識に否定的な種(思い込み)を仕込んでいるのです。
でも、このように悪魔の手口を知っていれば、「貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖」など人生で避けて通れない負のイベントに遭遇したときこそ、「怖れ」の感情に乗っ取られないことが大事だとわかります。
特に世界的なパンデミックとか不景気とか災害や戦争は、多くの人々が恐怖の感情を抱きます。そうすると、すべての意識がひとつになっている集合意識を「怖れ」が占めるようになって、世の中全体に「怖れ」の事象の連鎖を呼び、ますます「怖れ」を抱くスパイラルにはまり出られなくなってしまうのです。
けれども、悪魔がやっていることは、「怖れ」を煽り制限の中にわたしたちが閉じ込もるように誘導しているだけです。悪魔は神と同様に物質界の存在ではなくわたしたちの意識に住まう存在なので、「怖れ」の妄想でわたしたちをコントロールするしか手がないのです。
「あらゆる物事の否定的な面を代表するのがわたしの仕事なのだ。肯定的な思考は対抗勢力(神)がコントロールし、否定的な思考はわたしがコントロールしているのだ」
と悪魔が言うのをヒントにすれば、「否定的な思考」に要注意!ということです。「否定的な思考」が浮かんだときには、「怖れ」で頭を占拠されないうちに、ニュートラルな視点を取り戻せるまで、一旦問題を脇に置いてみることが必要です。
あるいは、ニュートラルな考え方ができる人(どちらにも肩入れしない人)に、「肯定的な思考」で捉えた場合と「否定的な思考」で捉えた場合の2つの視点から問題を考えるのを聴いてもらうとよいでしょう。
人に話すことで、2つの考え方を客観的に捉えることができるようになり、「怖れ」の妄想の発生を防げます。
また、そういう協力関係をつくることで、マスターマインドのパワーに守られ、「怖れ」の妄想に引きずり込まれるのを防げます。
次回はエリクソンぼ「わたしの声はあなたとともに」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。