こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第1章の解説の続きです。

 

「思考は現実化する」の原稿を出版してくれるはずだったメレットが殺害され、命の危険を感じて山の中に1年以上引きこもり、無気力状態から出られなくなったヒルに、突然ひらめく思考として現れた「もう1人の自分」は、「明日、車でフィラデルフィアまで行くように。そうすれば、成功哲学の本を出版するための援助が得られるだろう」といいました。

 

それに対しヒルの理性は「フィラデルフィアのどこに援助を頼める知り会いがいるというのか?」と疑いを向けます。するとすぐさま「いまは質問するときではない。この旅の間は『もう1人の自分』の指示に従うように」という返事が返ってきました。

 

この後もヒルの理性が「無一文だからフィラデルフィアに行くお金がない」と言えば、「もう1人の自分」は「義兄に50ドルの借金を頼むように」と指示を与え、実際、義兄はヒルに理由すら尋ねずにあっさり50ドルを貸してくれました。

 

フィラデルフィアに着くと「もう1人の自分」は、さらに突拍子もない指示を出します。「フィラデルフィアで1番良いホテルのスイートルームを頼むように」というのです。せっかく義兄が貸してくれたお金の全額を2日分の滞在費につぎ込むことになります。

 

それでも、ヒルは「もう1人の自分」の「限界という言葉は忘れ、しばらくは、必要な資金が充分ポケットに入っていると思って行動するように」という指示に従うことにしました。

 

後から振り返ると、これらの指示の一つ一つがすべて重要な意味を持っていました。だから、この時点で、もう、ヒルの理性は「もう1人の自分」に抗えない状態になっていたのです。

 

ヒルがスイートルームを予約すると、ベルボーイはまるで王侯貴族に対応するようにうやうやしい態度で彼を丁重に扱いました。このときヒルは、このように敬意を持ってもてなされていた過去の自分を思い出すのです。

親戚のお荷物状態だったこの1年、いかに自身の劣等感が肥大していたかを思い知ったのでした。

 

「いまのおまえは完全に『もう1人の自分』によって支配されている。おまえの身体の中にには2つの存在があることを理解するのだ。おまえのみならず、この世のすべての人間はみなこの2つの互いに似通った存在からなっている。

 

一方の存在は恐れる心に動かされ、それに反応する。もう一方は信じる心に動かされそれに反応する。この1年、おまえは恐怖の存在によって奴隷のように動かされていた。

 

2日前の夜、信念の存在がおまえの身体の支配権を得た。それゆえ、いまのおまえは信念の存在によって動かされているのだ。便宜上、この信念の存在を『もう1人の自分』と呼ぶことにしよう。

 

『もう1人の自分』には、限界も恐怖も、そして『不可能』という言葉もない。おまえに高級ホテルのスイートルームを選ばせたのは、恐怖の存在が復活しようというするのを阻止するためだ。恐怖に動かされていた『古い自分』は死んでしまったわけではない。一時的に失脚しているだけだ。そして、おまえの行くところにはどこにでもついて行き、支配の座を奪還する機会を狙うだろう。

 

恐怖の存在がおまえをコントロールできるのは、おまえの思考を通してだけだ。このことを肝に銘じ、しっかり心の扉を閉めて置くように。そして、様々な方法でおまえに限界をもたらそうとするあらゆる思考の侵入を防ぐのだ。そうしている限り、おまえは安全でいることができる。

当座必要な資金について、頭を悩ますようなことを許してはならない。必要な資金は必要なときまでに必ず用意される。

 

まず、理解しておかなければならないことは、いまのおまえの身体を支配している信念の存在は、決して奇跡を起こしたりしないということだ。同様に、大自然の法則に反することもしない。信念の存在が支配権を握っている限り、それはおまえの呼びかけに応じ、おまえを導く。それは思考のひらめきという形で現れ、最も理論的かつその状況に最もふさわしい媒体を通して、おまえの計画を実現する手助けをしてくれるだろう。

 

「もう1人の自分」は、決しておまえの代わりになって何かをしてくれるわけではない。おまえが自分の目標を自らの手で達成感するために、様々な情報をもって導いてくれるだけなのだ。

 

おまえが知っておくべきさらに重要なことは、どんなときもすべてのことは最大の目標、あるいは最も明確な目標から始まるということだ。

 

現在のおまえの最大の目標(おまえをここへと連れてきたもの)は、成功と失敗の原因に関する研究の成果を本にして出版し、広く世に知らしめることだ。そのために必要な資金を、おまえは約2万5千ドルと見積もった。

 

おまえの知人の中にこの額を提供しようという者がいる。これからすぐ、おまえの知人の中で、ある一定の根拠をもって、おまえに財政的援助をしてくれそうだと考え得る人物の名前を思い浮かべるのだ。正しい名前が出てきたら、自ずとわかるはずだ。後はその人物とコンタクトをとるだけで、求める援助が得られる。

 

ただし、交渉の際、『もう1人の自分』などという話は決して出してはならない。もし、この指示を守れないようであれば、そのときは、一時的な敗北に見舞われることになるだろう。

 

おまえはこれから自分の自由意思に基づき行動する。それは『もう一人の自分』を見つけるまでと何ら変わらない。肉体的にも、これまでとまったく同じだ。したがって、おまえの中で起こった変化に気づく者は誰もいない」

 

ヒルはふたご座に土星を持っているので、現実に対峙するとき二面性が出ます。ただし、ふたご座の二面性は、けして対立しません。神と人間くらい性質の違う双子の兄弟カストルとポルックスのように、仲良く共存しているのです。

 

それは統合という形ではなく、どちらの自由も損なわず、片方が出ているときはもう片方が引っ込んでいる形をとります。

 

ヒルのふたご座土星にしてみれば、「エゴ(恐怖の存在)」に支配された後に「もう1人の自分(信念の存在)」に支配されるという順番が、最も効率がよかったのでしょう。

 

せっかく「思考は現実化する」の執筆を「もう1人の自分(信念の存在)」の導きで完成しても、それを「エゴ(恐怖の存在)」がビジネスにする方を優先して横槍を入れると、殺人事件に巻き込まれたりするわけですから。

 

わたしたちの社会は「エゴ(恐怖の存在)」に支配されています。「働かなくては食べて(生きて)いけない」という考え方が定着しています。

 

「もう1人の自分(信念の存在)」が「限界も恐怖も、そして『不可能』という言葉もない」と言っても、「計画の実現の手助けをしてくれる」と言っても、わたしたちには恐怖によって支配される刷り込み入っているため、つい、「エゴ(恐怖の存在)」に主導権を渡す選択をしてしまうのです。

 

ヒルの魂意識=「もう1人の自分(信念の存在)」はこのことがよくわかっているので、防止策まで用意してくれました。

しし座に木星(チャンス、幸運)と火星(モチベーション)のコンジャンクションを持つヒルは、しし座のテーマ「わたしは望むものになる」に向かっているとき最もパワフルです。

逆に惨めな状態になっている(敗北者のイメージを自分に持っている)ときは、まったく力が出ません。

 

言い換えれば、しし座は「自分をどう思っているのか(セルフイメージ)」がとても影響する星座なのです。

ヒルは外の世界を怖れて引きこもり、親戚のご厄介になっているうちに、「人生の落伍者」のセルフイメージを身につけてしまっていたのです。

 

セルフイメージは目には見えませんが、わたしたちのエーテル体に刻まれる近未来のブループリントなのでとても重要です。

「もう1人の自分(信念の存在)」は、高級ホテルのスイートルームにヒルを泊まらせることで成功していたころの彼を思い出させ、「人生の落伍者」のセルフイメージを引き剝がさせたのです。

 

これによって彼のエーテル体が怖れに再び支配される可能性を防ぐことができました。でも、ヒルが未来や自分の可能性に怖れを抱けば、いつでも、「エゴ(恐怖の存在)」に主導権を奪われる危険を孕んでいます。

 

「エゴ(恐怖の存在)」は、「恐れる心に動かされ、それに反応」するからです。一方、「もう1人の自分(信念の存在)」は「信じる心に動かされ、それに反応」します。

 

ヒルが望んだセルフイメージを信じることができれば、それは彼のエーテル体に刻まれ、そのセルフイメージに相応しい現実が

創造されます。特にそれがしし座の支配星である太陽のような輝かしいセルフイメージであれば、彼の火星はモチベーションを上げ、彼の木星はチャンスをもたらします。

 

この章で「もう1人の自分(信念の存在)」は、「エゴ(恐怖の存在)」の手の内を明かしています。

 

恐怖の存在がおまえをコントロールできるのは、おまえの思考を通してだけだ。このことを肝に銘じ、しっかり心の扉を閉めて置くように。そして、様々な方法でおまえに限界をもたらそうとするあらゆる思考の侵入を防ぐのだ。そうしている限り、おまえは安全でいることができる」

 

「怖れを発生させる思考」「限界をもたらす思考」自分の中に取り込まないことが安全の秘訣だと教えてくれているのです。

 

もちろん、これが難しいから、「エゴ(恐怖の存在)」に支配される人々の方が多いのですが、わかっていれば意識的に変えていくことは可能です。信じるものを「限界」から「可能性」にシフトさせるだけですから。

 

「限界」を感じると嫌な気分になりますが、「可能性」を感じると明るい気分になります。そのどちらを取るかの選択に、できる限り「明るい気分になる可能性」の方を選んでいくのです。

 

「より確実でより良いものを選ぶ」という習慣から、「より可能性の広がる(新たな発見が多い)ものを選ぶ」という習慣にシフトするのです。

 

この習慣が定着する頃には、あなたのセルフイメージは「より可能性の広がる(新たな発見が多い)ものを選ぶ人」になっています。

 

「より可能性の広がる(新たな発見が多い)ものを選ぶ人」のセルフイメージに相応しいのは、制限の枠を超えた可能性の広がる自由な未来です。

 

このイメージは「もう1人の自分(信念の存在)」が導くセルフイメージですから、この未来を信じることができれば、すべて具現化に働くのです。「もう1人の自分(信念の存在)」は「信じる心に動かされそれに反応」するからです。

 

次回は「悪魔を出し抜け!」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

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