こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第1章の解説の続きです。

 

成功していた「ゴールデン・ルールマガジン」社を手放し、事業資金もなく、危機を打開する現実的なアイディアも降ろせず、「不決断」の病に陥っていたヒルは、ある日の午後、近所の広場で新鮮な空気を吸いながら歩いていると、気持ちが急に穏やかになり、身体の力も抜け、全身が深い静けさに包まれました。

 

そのとき、ヒルは自身の内なる声(思考としか答えようのない)が、「今こそカーネギーの提案した成功哲学を完成させるときである。すぐ家に戻り、頭の中に蓄積したデータを文章に変換する作業を始めなさい」と命令しました。

 

ヒルはそんな経験は初めてだったので、恐怖を感じながら一目散に家に戻りました。その日はクリスマスイブだったにもかかわらず、クリスマスツリーも飾れず、我が子をがっかりさせていると思うとヒルの心は痛みました。

 

それでもヒルは、家に入るとすぐタイプライターに向かいました。すると再び先ほどの思考が頭にひらめきました。

 

「おまえの人生の目標は、世界で最初の成功哲学をまとめることである。おまえはいままで何度もその仕事から逃げようとしてきたが、その試みはいつもおまえに失敗をもたらした。おまえが求めているのは幸福である。

 

ならば、今度こそこの教訓に学びとるのだ。幸福を見つける唯一の方法は、他者が幸福を見つける手助けをすることであると!

おまえはずっと頑固な生徒だった。その頑固さを正すには絶望することが必要だった。

 

これから数年のうちに、世界中で何百万もの人々が、これからおまえが完成させる成功哲学を必要とするような状況に陥るだろう。さあ、仕事を始めなさい。そして、その原稿を完成させ出版するまでは決して休んではならない」

 

ヒルは確かにその瞬間、ぼんやり夢見ていたものがやっと現実味を帯びてきたのを感じて幸福でした。しかし、原稿を書き始めてしばらくすると、ヒルの「理性」が「おまえが感じているのはくだらない使命感にすぎない。ほとんど無一文にまで落ちぶれた男が成功哲学の本を書こうなんて、あまりに滑稽だ」と揶揄するので、原稿を書かずに済ませる言い訳はないものかと悩みました。

 

それでも、やめたい気持ちより続けたい欲求の方が強く、3か月間書き続けて「思考は現実化する」を完成させました。

ヒルは原稿を書き上げるや否や、経済界での激しい競争に再び参戦したい衝動に駆られました。

 

そして、ビジネスカレッジの経営に着手して大きな利益を上げると、またしても不満の虫が疼き出したので、自ら教壇に立って成功哲学を教え始めました。その講義の聴衆の中に「カントン・デイリー・ニュース紙」社長のメレットがいました。

 

メレットはヒルと手を組み、成功哲学のビジネスを、本の出版を含め一手に引き受けることになりますが、これがヒルの第2の試練の引き金を引くことになります。メレットは禁酒法下の酒の密売に絡むギャングに殺害されてしまったのです。

 

メレットが殺されたのは、酒の密売業者と警察の癒着を新聞で暴いたためでしたが、このとき、ヒルもメレットと関わっていると疑われ、ギャングから「1時間以内に街を出ろ!」と警告されました。

 

ヒルは山の中の親戚の家の地下室に逃げ込みました。そこに隠れて暮らすうちに恐怖で神経がすり減り、成功哲学を探る仕事への情熱も気力も消えて失せました。ヒルの恐怖は、メレット殺害犯たちが刑務所に入れられ、終身刑になっても終わりませんでした。

 

無気力状態で引きこもる生活が1年経過したある日、ヒルは「解決策は必ずある。それを見つけるまでは絶対に家に戻らない」と心に決めて外に出ました。

 

すると「これは試練だ。これまでおまえがいくつもの貧困と屈辱に見舞われてきたのは、『もう1人の自分』を見つけさせるためだったのだ」という考えがヒルの脳裏にひらめきました。

 

立ち止まってヒルが満月を見つめていると、また頭の中に1つの考えが飛び込んできました。

「おまえはこれまで多くの人に、いかに恐怖を克服するか、いかに危機的状況のもたらす困難に打ち勝つかを説いてきたが、これからはもっと自信を持ってそれを行うことができるようになる。なぜなら、おまえ自身がその困難を、勇気と目標と深い決意をもって、恐れることなく越えようとしているからだ」

 

この言葉を聞いた瞬間、ヒルは大きな喜びで満たされ、無気力は姿を消し、論理思考が戻ってきました。

「長い研究の結果苦労して見つけ出した成功の法則が間違いのないものだということを証明する絶好の機会を与えられたのだ」と思うと、ヒルは苦しい日々を送ってきたことがすばらしい幸運のように思えて幸福を感じました。

 

ヒルは「もう1人の自分(魂)」から成功哲学を本にするように明確な導きをもらっても、それはくだらない使命感だとか、無一文に落ちぶれた男が成功哲学の本を書くなんて滑稽だとかの考えに翻弄され、原稿を書かずに済ませる言い訳はないものかと悩みさえしたのです。

 

この状態を俯瞰的に眺めているヒルの魂意識は、エゴの声にかき乱されないように、もっと成功哲学の実践が必要と、試練を追加したのでしょう。

 

だから、第2弾の試練は、生命の危機すら感じる試練です。ヒルのこのとき書いていた「思考は現実化する」の中には、「逆境の考え方」も入っています。

 

第1弾の試練のときは、事業資金がないという危機でした。このときは、「明確な目標を持ち、代償を払う」ということで乗り越えました。

 

明確な目標は「成功哲学の本を書くこと」で、代償を払うのは「エゴの揶揄と戦いながら、逃げたくなる気持ちに抗いながら執筆に時間とエネルギーを費やす」ことでした。

 

第2弾の試練は、逆境の中で発生する恐怖です。逃げて引きこもっている間は恐怖は大きくなる一方です。無気力になり自己嫌悪に陥ります。ふたご座土星とおとめ座月のスクエアを持っているヒルは、土星が提示する現実に月が怖れを発生し、ネガティブ思考のスパイラルで、思考が恐怖に油を注ぎ、ずっと怖れの妄想に憑りつかれた状態に陥ります。

 

ヒルは「思考は現実化する」にある「逆境の考え方」を使い、リフレーミングして、恐怖をストップさせました。この試練を、「成功の法則が間違いのないものだということを証明する絶好の機会を与えらる幸運」と捉えたのです。

 

元々、ふたご座土星とおとめ座月のスクエアが発生させる葛藤の現象化は、支配星水星の影響からいつも思考が起因しています。

だから、ふたご座土星とおとめ座月を持つヒルは、発想の転換が恐怖の解消に効果的なのです。

 

それにしても、ヒルの魂意識は慈愛に満ちています。「成功哲学の本を書く」という目標を与え、ヒルの潜在能力を引き出す機会を与え、成功哲学を使って経済界の競争に行こうとするエゴにも教育的指導(試練)を与えて軌道修正に導き、その経験すらも「成功哲学の本」の完成度につなげるのですから。

 

特に第2弾の試練は、「恐怖の克服」なのでこの「悪魔を出し抜け!」を執筆する動機になったことでしょう。「思考は現実化する」だけでは足りない、「恐怖を生み出すメカニズム」を暴かないことにはこの世界に心が翻弄されっぱなしになることを、おそらくこの試練でヒルは気づいたのだと思います。

 

カーネギーが危機的状況下で出会う「もう1人の自分」を成功者の必須条件に入れているのも、決して恐怖のトリックに惑わされない魂意識を呼び出すことが成功の鍵と知っていたからでしょう。

 

次回はエリクソンの「私の声はあなたとともに」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

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