こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。
*外国へ
エリクソンのもとに「飛行機恐怖症」だという女性が訪れました。彼女は夫と共に外国(彼女はabroadをa-broadと発音した)へ行くことが死ぬほど恐いと言いました。
エリクソンは「精神科医のところに来るときは、情報を隠すべきではありません。あなたの夫はあなたの情事を知っているのですか?」と尋ねてその女性を驚かせました。彼女には不倫関係の恋人がほんとうにいたのです。
エリクソンは彼女が右足と左足を足首のところで交差させて、完全に気持ちを閉ざす姿勢で座っていること、abroad(外国)をa-broad(一人の身持ちの悪い女)と発音したことを手がかりに、この女性の「飛行機恐怖症」はその恋人に起因することを突き止めました。彼女の真意はその恋人との関係を絶つことについて、エリクソンに相談することにあったのです。
彼女の恋人は頭痛に苦しんでいるというので、エリクソンはその男性を診ることになりました。話を聞くと、彼の頭痛の原因は彼の家庭にあるようなので、彼の妻に会わせてくれとエリクソンは頼みました。
その男性の妻もまた、心を閉ざすボディランゲージをしていました。
エリクソン「あなたは不倫をしていますね?」
頭痛持ち男性の妻「はい、夫があなたに話したのですか?」
エリクソン「いいえ、わたしはあなたのボディランゲージからわかりました」
頭痛持ち男性の妻「数年前、夫はわたしが不倫をしたらよいだろうと言いました。それはわたしにはとても愉快なことでした。
それから夫は、わたしに不倫を続けて欲しくないと思っていることに気づきました。
夫はわたしが不倫を続けていると疑っているのか、はっきりわかりません。
でも、わたしが不倫を続けていることを、知っているんじゃないかと思うときがあります」
その後エリクソンは、頭痛持ちの男性がトランスに入ったとき、妻に不倫を勧めた理由について尋ねました。
頭痛持ちの男性「わたしはその頃とても忙しくて、自分が夫としての義務を果たしていると思えなかったのです。
まもなくわたしは嫉妬し始め、妻に不倫をやめるように頼みました。彼女はそうするといいました。
しかし、わたしは彼女が不倫を続けている証拠に注意し続けたのです。
わたしは、ただ、妻が不倫していることを知りたくないのです」
エリクソン「それがあなたの頭痛です。あなたはそれをどうしたいのですか?」
頭痛持ちの男性「わたしは(この先も)頭痛を持っていたい」
この頭痛持ちの男性は、かつてアリゾナ州の民主党の党首でした。彼は妻の関心をもっと得るために、その義務を捨てました。
しかし、そのときはもう遅かったのです。
あることを知りたくないがために、痛みを持ち続ける人々がいます。そして彼らはそのあることを考えようとしないのです。
ー「私の声はあなたとともに」ーより
このエピソードを女性視点で眺めれば「自分の不倫の後ろめたさを軽減するため妻に不倫を勧めておいて、不倫されると嫉妬で苦しいから妻に不倫をやめろという、なんて身勝手な夫」と映ります。
男性視点で眺めれば「仕事に没頭していると妻の不満が募って家庭の居心地が悪くなり、他所の女性に慰めて貰ったら気分が良くなった。だから妻にも不倫を勧めたら、妻はその方が幸せそうで、初めて嫉妬した。このままでは妻を他所の男に取られてしまう。でも、妻を取り戻すだけの魅力は今の自分にはない。せめて嫉妬に耐えて頭痛に苦しむところを見せて気を引こうとしたんだな。憐れな男だ。でも、養う義務のため仕事に没頭しているのに、なぜ妻を愛する義務まで夫は果たさなければならないのか。女は要求して受けとるだけ。不公平じゃないか」と映ります。
そして、エリクソン視点でこれらの人々の潜在意識を眺めると「あることを知りたくないがために、痛みを持ち続ける人々がいます。そして彼らはそのあることを考えようとしないのです」となるわけです。
エリクソンは無視され続ける潜在意識の訴えを読みとって、彼らの顕在意識に気づくように伝えてあげるメッセンジャー役です。
最初に登場した女性の「飛行機恐怖症」も、男性の頭痛も、2人の女性たちの心を閉ざす姿勢のボディランゲージも、言葉で表現できない潜在意識のメッセージです。
潜在意識は言葉は使えないけれど、とても表情豊かに内面の感情のイメージを伝えています。
わたしたちは本音と建前を使い分けることを巧みにやって、口に出す言葉と心が訴えていることの分離を呼んでしまいます。
その結果、やっている本人にも見当がつかなくなるほど複雑な現実が現象化してきます。
外国一緒に連れていくという夫と秘密の恋人との間でモラルと恋愛感情で苦しむ妻役の現実を、彼女の潜在意識は「飛行機恐怖症」という口実で精神科医を訪れさせ、不自然に足首交差させるというボディランゲージで「心を閉ざして本音を言っていません」とエリクソンに語り、彼女の苦しみの解放を求めるのです。
彼女が自身の心の内を知ることを避けなければ、秘密の恋人も要らなかったでしょう。夫との関係の虚しさや寂しさを埋めるために不倫をしても、その根源は埋まらないままなので新たな関係でまた虚しさや寂しさを覚え、その上、モラルにも苦しみます。
自分の潜在意識が虚しさや寂しさを訴えているのにその感情に背を向けたら、そのメッセージを受けとってもらえるまで、病気や振る舞いで表現して伝えようとします。
病気もネガティブな感情も解消することが目的ではなく、潜在意識が伝えようとするメッセージに気づかせることが目的なのです。
だから、夫との関係の虚しさや寂しさを埋めてくれるはずの男性も、同様の感情を埋める一時しのぎに彼女を利用しただけで、彼が欲していたのは彼が傷つけてしまった妻の関心なのです。
エリクソンから見れば、自分の心を埋めるために他者を利用したつもりが、さらに他者の心を埋めるために利用されて・・・を連鎖する合わせ鏡の中にいる人々のように映っていたのでしょう。
わたしたち魂意識は、潜在意識に発生する様々な感情を観察するために、「大いなる源」から離れて次元降下して人間の転生をしています。ネガティブな感情に苦しませるためにそんなイベントを用意したのではなく、自身の潜在意識の創造主として感情を眺めるチャンスとして用意したのです。
今、みずがめ座冥王星がトランシットで滞在しているのは、彩豊かなわたしたちの潜在意識を特等席で観察する姿勢をレッスンしているように思えてなりません。
自身の潜在意識が呼んだ現象を体験して感情にまみれる側と、その感情を興味深く観察する側と2つの視点を持つことができるのです。
どちらを選ぶかは自由選択ですが、みずがめ座神話の主人公ガニメデスのように、天界から下界を眺める俯瞰視点で自身の感情を観察する方がずっとおもしろいし、その感情が表現するメッセージに気づけば、底知れない潜在意識のパワーを紐解けます。
次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
詳しくはこちら をご覧ください。
新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。