こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。
*1マイルの散歩
病気のために退職した警察官(男性)がエリクソンのもとに訪れ、「わたしは肺気腫もあり、高血圧もあり、見ての通り太りすぎだ。仕事に就きたいが、病気のせいでできない。タバコも減らしたい。1日ウイスキーを1瓶飲むのもやめたい。わたしは分別を持って食べたいんだ」と言いました。
エリクソン「あなたは結婚しているのですか?」
男性「いや、独身だ。自分で料理もするが、近くに手ごろなレストランがあってよく行くんだ」
エリクソン「タバコはどこで買うのですか?」
男性「運のいいことに近くに小さな食料品店があって、そこでタバコも2カートンずつまとめ買いをしている」
エリクソン「お酒はどこで買うのですか?」
男性「運のいいことに、その食料品店の隣にいい酒屋があるんだよ」
エリクソン「手頃な所にレストランも食料品店も酒屋もあるのですね。あなたの問題は非常に簡単です。
食料品もタバコも酒も近くで買わずに1マイル歩いて別な店に行き、まとめ買いせずに毎食ごとの必要量だけを買うのです。
そうすれば1日3回は散歩ができます。
お酒は好きなだけ飲んでもかまいません。ただし、1杯目は1マイル先のバーで飲みなさい。2杯目が欲しければ、もう1マイル先のバーで飲みなさい。3杯目が欲しければさらに1マイル先のバーを探しなさい」
その男性はエリクソンを睨みつけ、口汚く罵り、たいへん怒って立ち去りました。
それから1ヶ月後、新しい患者があの退職した警察官から勧められたと言ってエリクソンのもとにやってきました。
その患者によれば「彼はあなたのことを『自分が何をすべきかを知っている唯一の精神科医だ』と言っていた」というのです。
例の退職した警官は、エリクソンに会った後からタバコをまとめ買いすることができなくなりました。そして、食料品店まで歩くことは意識的な行動である、とわかったのです。
彼は自分で歩く量をコントロールできることに気がついたのです(「わたしは分別を持って食べたいんだ」と診察室で言うくらい、自分のコントロールに自信を失っていたにもかかわらず)。
エリクソンはこのケースについて、「わたしは彼から食べ物もタバコも酒も取り上げませんでした。わたしは彼に歩く機会を与えただけです」と言っています。
ー「私の声はあなたとともに」ーより
自分で自分の欲求や身体のコントロールができないと感じるとき、大きな不安に苛まれます。それは運転している車のハンドルやブレーキの操作がままならない状態と同じです。
自分の欲求や身体をコントロールできない不安が外界に投影されると、自分の欲求に振り回されて自分の人生の主導権を奪われる現象を招きます。この男性も、仕事をしたいのに病気のせいで退職に追い込まれました。
今回の退職した警察官のケースは、「肺気腫で高血圧で肥満で、酒もタバコも食べ物も過剰摂取で、運動不足」という不健康な状態をつくり出す要因に、自ら気づいていてもそれをやめることができない(コントロールできない)悩ましい問題を扱っています。
こういうときわたしたちは、自分の欲求ひとつ制御できないのかと自分を責め、「やめたい→でもやめられない→挫折して落ち込む→自分を責める」を堂々巡りするようになります。
「やめたい→でもやめられない」にとらわれて、すっかり視野が狭くなってしまうのです。こんなとき有効なのがNLPの手法であるリフレーミングです。
リフレーミングとは、文字通りフレーム(枠組み)の付け替えを思考の中で行います。エリクソンは「やめたい→でもやめられない」という思考のフレーム(枠組み)にとらわれたこの男性に、何ひとつ禁止を促すことなく、「事あるごとに歩く機会をつくる」という思考のフレームで日常生活を眺めることを勧めたのです。
エリクソンのアドバイスに激怒して立ち去った元警察官ですが、「問題はやめることではなく、歩く機会を見つけることだ」という考えが入ったおかげでリフレームされ、意識は「食べもの、お酒、タバコ」から「歩く機会を見つけること」に向かったのです。
以前のフレームだと、意識は常に「食べもの、お酒、タバコ」に向かい、「運のいいことに近くに小さな食料品店があって」とか言っていたのです。
食料品店や酒屋やレストランに歩いて行くという行為が、「欲求に振り回されて」なのか、「歩く機会を見つけるため」なのかで、自分の欲求をコントロールできない状態か、自発的に散歩している(コントロールできている)状態なのかぐらい大きな違いを生んだのです。
人に言われてやることはかなか定着しませんが、自分が自発的にやっていることは定着しやすく、それが習慣化するとやらずにはいられないほど達成感が味わえるようになります。
元警察官がこうなることをエリクソンが知っていたのは、彼のアセンダントがやぎ座だったり、12ハウス(潜在意識)にある火星(モチベーション)や土星(現実性)や木星(チャンス、幸運)がやぎ座であることも大きく影響していると思います。
リフレーミングは「ローリスク・ハイリターン」を歓迎するやぎ座のお家芸みたいなものだからです。
危機や逆境にあるとき、通常は身動きできなくなりますが、やぎ座はそういうときこそ本領を発揮して、ピンチをチャンスに変えます。
エリクソン自身、小児麻痺で動けないとき、ひたすら家族の会話を観察して非言語的コミュニケーションを習得できたのも、「どうせ目しか動かせないのだから、観察することを楽しもう」とリフレーミングしたからでした。
リフレーミングは今目の前にある状況を変えることができなくても、自分の思考のフレームを切り替えることで、見える世界を変えることが可能です。見える世界が見たい世界に変われば、突破口も発見できます。
「自分の欲求さえ制御できない」という思い込みのフレームで眺めるこの男性の世界観は、肥満やアルコールやタバコの依存で病気が悪化して仕事もできず制限された、自分のコントロールのままならないものだらけに見えるのでしょう。
これではますます、食べ物やタバコやお酒に逃避を求めてしまいます。
でも、「歩く機会を見つけ、歩いた分だけ健康になる」という思い込みのフレームでこの世を眺めれば、軽やかに散歩を楽しみ、食べ物やタバコやお酒の欲求をコントロールでき、仕事に復帰できる未来が見えて来ることでしょう。
歩くことが欲求を制御することになると気づいた元警察官は、リフレーミングのマジックを実感してエリクソンを『自分が何をすべきかを知っている唯一の精神科医』と絶賛しました。
いま、一時的にトランシットの冥王星はみずがめ座にありますが、6月12日には再びやぎ座に戻ります。冥王星は底力や潜在能力を引き出します。やぎ座に冥王星が入っているときは、このリフレーミングの能力をバッチリ鍛えるチャンスです。
困難や苦境を感じたら、ネガティブな思考のフレームでこの世を眺めていないか見直しましょう。視野の広いフレームで眺めるチャンスを自分に与えれば、全く違った未来が見えてきます。
それが見えるようになった瞬間に、新しいフレームで眺める世界観の人生が既に展開しているのです。
次回もミルトン・エリクソンの「私の声はあなたとともに」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
詳しくはこちら をご覧ください。
新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。