こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。

 

*きらめく彩り

 

ある女性患者がエリクソンの診察室に来て「わたしはこの15年間ずっとフェニックスに住んでいます。この15年というもの片時も、わたしはフェニックスを憎まない時はありませんでした。

夫はわたしに、フラッグスタッフで休暇を取るように言ってくれました。わたしはフェニックスを心から憎んでいますが、フラッグスタッフに行くことについても拒否し続けてきました。

わたしはフェニックスにいて、フェニックスにいることを憎んでいたいのです」と言いました。

 

エリクソンは彼女をトランスに入れて、「フェニックスを憎むことと自分を厳しく罰するわけについて好奇心が湧いてくるでしょう」と話しました。

 

さらに続けて「もう一つ興味深いことがあります。とてもとても興味深いことです。もし、フラッグスタッフに1週間滞在したなら、あなたは思いがけないものを見るでしょう。きらめく彩りです」とエリクソンが言うと、彼女はフラッグスタッフのきらめく彩りが何か見極めたいという好奇心に駆られました。

 

彼女は1週間の予定でフラッグスタッフに行き、1か月間滞在しました。彼女は赤い頭のキツツキが常緑樹の木立の間を飛ぶ姿にきらめく彩りを見て、とても気分が高揚したのでした。

 

それから彼女は、夏をフラッグスタッフで過ごすようになり、東海岸にも、ツーソンにも、ニューヨークにも、ヨーロッパにもきらめく彩りを見に行きました

 

エリクソンが彼女をトランスに入れて送り込んだ「あなたは思いがけないものを見るでしょう。きらめく彩りです」という言葉は、「日常生活ではお目にかかることのない多くのものを見つけるに違いない」という確信になったのでした。

 

ー私の声はあなたとともにーより

 

したくもないことを「したいこと」にするなんて、自分を罰しているとしか考えられません。エリクソンはこの女性が「フェニックスにいることを憎んでいたい」と聞いて、彼女が自分に喜びを与えることを許していないのと、「したいこと」が見つからないことをいち早く見抜きました。

 

憎む感情は気持ちよいものではありません。むしろ嫌な気分にさせます。それなのに憎んでいたいから休暇に出かけることさえ断ってしまう彼女は、そんなに特殊なのかといえば、そうでもありません。

 

わたしたちの潜在意識はこじれると、よくこのようなおかしな思い込みをつくります。その理由の一つに、潜在意識は繰り返しによって習慣化すると、不愉快なことも安心感に変わる性質があることが挙げられます。

 

この15年というもの片時も、わたしはフェニックスを憎まない時はありません」という状態を続けていると、「憎む」状態が普通で「憎まない」状態が異常に感じるようになってしまうのです。

 

タバコを吸う習慣がついてしまうとタバコがないと落ち着かない、晩酌を飲むのが習慣化するとアルコールがないと物足らなくなるなど、習慣によりそれが通常化すると、それがなくては安心できない心持ちにわたしたちの潜在意識はなるのです

 

思い込み(観念)も同じです。「将来が不安」という思い込みをするのが習慣になってしまうと、どんなに現在恵まれた環境が揃ってもそれを安心材料にすることができず、将来それが失われる不安につきまとわれるのです。

 

顕在意識で嫌だと思うことでも潜在意識が通常だと認識すると、意識の95%を占める潜在意識の力でそれを恒常化しようとホメオスタシス(恒常性の維持)が働いてしまうのです。

 

良い習慣で意図的に人生を変えるということもホメオスタシスの効果でできますが、潜在意識の思い込み(観念)に振り回され、この女性のようにしたくもないことが「したいこと」にすり替えられて、せずにはいられない状態に苦しむことの方が多いのです。

 

このホメオスタシスのターゲットをエリクソンは暗示を使い、「憎む」こと・「自分を罰する」ことを思う習慣から、「好奇心を持ってきらめく彩りを探すこと」を思う習慣に変えたのです。

 

だから、この女性の潜在意識は、常に「好奇心を持ってきらめく彩りを探すこと」を意識するようになり、「フラッグスタッフに休暇に行ったら?」と言われなくても進んで出掛け、きらめく彩りを自分で発見して心が高揚する体験を得るようになったのです。

 

ここで大事なことは、彼女がフェニックスから引っ越しをして問題が解決したのではなく、「憎む」習慣から「きらめく彩りを探す」習慣に変えたから、フェニックスに居住しなければならない束縛が「行きたいところに行って、きらめく彩りを探す」自由に変わったからだということです。

 

わたしたちの顕在意識は「物質的環境から変えないと問題は解決しない、でも現実的にそれは難しい・・・」とジレンマに陥りますが、潜在意識の方は「望んでいない方にターゲットを向けると苦しい、やめてくれ!」と訴えているのです。

 

人生にきらめく彩りを見つけられないと心が嘆いたら、「わたしはいつも何に思いの矛先を向けているのだろうか?」と問いかけてみるとよいでしょう。

 

それが何かを心配したり嫌ったりすることだったら、潜在意識はしたくもないことにエネルギーを注ぎ、悲鳴をあげています

 

何を思おうと心は自由です。眠りに落ちる直前は、潜在意識が働きやすくなるときです。自分に暗示をかけるのによい状態になります。

 

その状態で、エリクソンがこの女性にかけた暗示の言葉を自分にかけてあげるのです。

 

「わたしはネガティブなことを考えたり自分を厳しく罰するわけについて好奇心が湧いてくるでしょう。もう一つ興味深いことがあります。とてもとても興味深いことです。もし、わたしが自由に外を見回したら、わたしは思いがけないものを見るでしょう。きらめく彩りです」

 

きっと、あなたの意識の95%占める潜在意識は、喜んできらめく彩りを探す方に働くことでしょう。

 

次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。