こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。

 

*競争

 

ある医師が連れて来た頭痛持ちの男性をエリクソンは診ることになりました。その男性は非常に競争的な仕事をしていて、他人と張り合うことのできるどんな機会も見逃すまいと待ち構えているようでした。

 

エリクソンは「あなたは頭痛、片頭痛があって、来る日も来る日も9年間苦しんできましたね。あなたの信頼するこちらの先生に3年間治療を受けていますが、まったくよくなっていません。

さて、先生は私に治させるためにあなたをここによこしました。私としてはあなたのことを治したいと思いませんが、しかし、やってみましょう。

両手を膝の上に置いて、左手と右手のどちらが先に顔のところまで上がるか、よく見てください」とその男性に言いました。

 

彼のふたつの手のあいだに起こった競争の勝敗が決まるのに、30分はかかりました。

彼の片手がまさに顔に触れようとしたときにエリクソンは、

「筋肉が緊張しています。その緊張(頭痛の原因)は、両手が競争しているあいだは、両手にあったのです。頭痛を持ち続けていたいのなら、首と肩の筋肉の競争を続けていたらよいでしょう。

ただ、私は、あなたが首と肩の筋肉の競争を望んでいないのと同様に頭痛も望んでいないと思います。

私はあなたに、両手に弛緩する競争をさせることで筋肉の弛緩がどういうものか知ってほしいのです」と言いました。

 

そして、エリクソンは彼に、緊張させることと弛緩させることを練習させました。それ以来、その男性はすっかり頭痛から解放されました。

 

ー私の声はあなたとともにーより

 

エリクソンが「あなたのことを治したいと思いませんが」と言っているところを読んで、思わず吹き出してしまいましたが、これもこの頭痛持ちの男性の治療に必要なセリフでした。

 

なぜなら、この男性の潜在意識は常に戦闘態勢にあり、医師が治して差し上げましょうなどと言おうものなら、断じて治るものかと抵抗するからです。

 

エリクソンはこの男性の潜在意識が治療に協力するように仕向けるため、わざとあなたのことを治したいと思いませんが」言い、「だったら、治したいと思わせてやろうじゃないか!」と好戦的なやる気を引き出したのでしょう。

こういった態勢を準備しておけば、治療の成功は医師の勝ちではなく、治したくないと言っていた医師を治したいと思わせた患者の勝ちになると、競争に夢中になるこの男性の潜在意識にモチベーションを与えることになるのです。

 

実際その後、この勝気な男性はエリクソンの言うことに素直に応じて、右手と左手のどちらが先に顔に触れるかというバカバカしい競争を、真剣に30分もやったのです。

 

そして、両手に弛緩する競争をさせることで筋肉の弛緩がどういうものかをこの男性に知ってもらうことで頭痛の治療に成功したのです。競争心に伴う緊張によって頭痛持ちになった患者を、同じ競争心を煽ることで弛緩を体験させ、ついには緊張と弛緩のコントロールを可能にして頭痛持ちを治してしまったのです。

 

これほど、競争心の強い男性の場合、競争をやめることやリラックスを勧めることの方が難しかったことでしょう。

客観的に見れば、自分の競争心で自分身体に苦痛を与えて苦しむ姿は愚かに映りますが、競争社会に生きるわたしたちも人ごとと笑っていられません。

 

わたしたちも緊張する方が得意で、弛緩することが苦手な人が大多数なのではないかと思います。男性性(機能性・合理性)優位社会では、常に勝ち組になることがよいこととされます。

 

そして、勝てば安心するのかといえばそうでもなく、次々と勝ち続けなければならないので、緊張を解く暇もなくなり、弛緩が必要なことを忘れてしまうのです。

 

働くこと、行動することを優先し、遊ぶこと、休むことは後回しにという考えがわたしたちの中に定着しています。だから、休暇をとっても予定でいっぱいにしないと落ち着かず、ボォーッと過ごす時間は何の価値もない残念な時間に思ったりするのです。

 

「ありのままの自分」に価値を見出せない、「役に立ったり成果を上げている自分」だけに価値を置き、それができない自分を責めたり嫌ったりするのは、わたしたちの潜在意識を密かに占拠している競争社会の観念が原因なのです。

 

わたしは頭痛持ちではありませんが肩こりしやすいので、この男性のように両手や首や肩の筋肉がそれぞれ張り合って競争し、男性性と女性性の主導権争いをしているのかなと思います。

 

身体のパーツ同士が競争していたら、身体が休まるときがありません。二元性の時代から統合の時代に身も心もシフトしようとする今、自身の身体から女性性(受容性・協調性)を取り戻し、緊張と弛緩のバランスを整えていくことが必要になります。

 

ゆっくり身体と対話して、呼吸に合わせてストレッチし、最後は静かに瞑想に入るヨガは、女性性と男性性の統合にとても適しているのだなと、今更ながら感心しました。

 

五感と身体の心地良さに敏感なおうし座に天王星が滞在している現在は、誰にとっても自身の身体と向き合い、変革を促す重要な局面に来ています。

 

五感で受けとる心地良さを味わい、マイペースで優雅に過ごす時間に抵抗するエゴの気配を感じたら、エリクソン流に、それは男性性優位社会の影響を受け過ぎた潜在意識に自らの女性性がナチュラルなバランスを取り戻そうとする<競争>が起こっていると眺めてみたらいかがでしょう。

 

男性性(合理性・機能性)優位社会で生きている以上、外側の世界では男性性の緊張感も必要。でも、そのストレスを癒す女性性(受容性・協調性)優位のプライベートな時間のリラックスも同じく必要です。

自らの男性性の働きばかりを尊重したり、自らの女性性の喜びを尊重しなかったりすることが、心身の不調和を招くのです。

 

どちらかを否定する分離思考ではなく、両者を競合で競わせて、男性性(合理性・機能性)も女性性(受容性・協調性)も高めてバランスをとっていけば、頭痛持ちの男性が治療に成功したように、自然に統合思考が身につき両者のコントロールが可能になります。

 

次回もミルトン・エリクソンの「私の声はあなたとともに」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。