こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説します。
*好奇心が強い
ある女性は、大学の授業中でも、街でも、レストランでも、いつでも右手で口を覆っていました。このことにわたし(エリクソン)は興味を持ちました。わたしが彼女をかなり励ますと、彼女は10歳のときの恐ろしい体験を話してくれました。
交通事故で車のフロントガラスに投げ出され、彼女の口はガラスで切れて、車のボンネットの上に血がたくさん流れました。彼女は、自分の口にはひどい傷跡があるという思いを持ちながら成長しました。
それが彼女が口を手で覆っていた理由だったのです。彼女は醜い傷跡を誰にも見られたくなかったのです。
彼女に美容術の歴史を読んでもらうと、彼女は美しい、三日月や円形や星形の付けボクロを見つけました。彼女は女性が自分で魅力的だと思う顔の部分の近くに美しいホクロを配する方法について読みました。
わたしは彼女に、わたしの顔にホクロを描くように言いました。それから、彼女の部屋で密かに彼女の傷跡の実物大の写しを描くように言いました。それらは5つ星の美しいホクロであることがわかりました。でも、彼女はそれは顔全体よりも大きいかのように言います。
それで、わたしは彼女に学生とデートするように説得しました。両手を顔から離す状態にするために重いハンドバッグを2つ下げてもらうようにしました。
彼女はデートの別れ際、おやすみなさいのキスをするとき、相手の男性がいつも傷跡のある側(右)の唇にキスをするということに気づきました。彼女は別の男性とデートしましたが、2人目も3人目も4人目も5人目も6人目も、そうでした。
彼女は気づいていませんでしたが、彼女は好奇心が強く、何かに興味を持ったときにはいつも頭を左に傾けるので、男性は彼女の唇の右側にキスをしたのでした。
わたしはこのケースの話をするときは、いつも聞き手をよく観察することにしています。潜在意識が語るということは、よく知られていますが、潜在意識は聞くこともしているということは、あまり知られていません。
ー私の声はあなたとともにーより
欠点や弱点やコンプレックスになっていることは、できるだけ隠しておきたいのが人の心理です。隠すことが習慣になると、いつの間にかそれを直視しなくなります。このエピソードの彼女のように恐い体験が伴うものはなお更見るのを避けてしまいます。
そうするとそれは忘れられるのかといえば、そんなことはなく、潜在意識下に封印された大きな恐れとなって残ります。エリクソンがこの女子学生を見て、「右手で口を覆っている」ことに強い興味を感じました。
精神科医であるエリクソンも、彼女の行動だけ見ていてもなんで「右手で口を覆っている」のかわからないから、話しを聞いてみることにしたのです。それくらい、女子学生の顔の傷は目立たない大きさに変化していたわけです。
しかし、「恐ろしい事故で顔に醜い傷ができてしまった」という事故直後の生々しい記憶が彼女の脳裏に刻印されたせいで、実際はホクロ程度の大きさの傷跡なのに「顔全体よりも大きいかのよう」な思い込みをつくり、彼女の右手が口元を覆わずには安心できない状況を生み出していました。
思い込みというフィルターを通すと、事実をありのままに受け取れなくなってしまうのです。
エリクソンはそんな女子学生の心理状況を見越して、さりげなく美容雑誌を読むようにを勧めて「付けボクロの魅力」に彼女が興味を持つように誘導しました。
そして、実際にエリクソンの顔にホクロを描かせたり、独りのときに実物大の傷跡の写しを描くようにさせて、女子学生の傷跡に対する思い込みのフィルターを少しずつ剥がし、実際の傷跡のサイズ(ホクロ程度)の認識に近づけていったのです。
わたしたちの潜在意識は内側の世界なので、外側の現実をありのままに受けとめるにはニュートラルな認識が必要です。同じものを見ても人それぞれ印象が違うのは、対象物に対する認識の違いがあるからです。
二元性(善か悪か、正か誤かなど)の判断基準が潜在意識に刷り込まれて育ったわたしたちは、とくに自身の欠点や弱点やコンプレックスに関しては必要以上に自分に対してネガティブな認識を持つ傾向があります。
エリクソンは女子学生の好奇心の強さに着目してホクロの魅力に興味を持たせ、わざわざ付けボクロをする人もいることに気づかせ、「顔にホクロ程度の傷跡があってもだれも気にしない」というニュートラルな認識に向かわせたのでした。
そして、傷跡は5つ星の美しいホクロであるという、女子学生に自信を持たせる思い込みを新たに付け加えたのです。
しかし、いくら傷跡が5つ星の美しいホクロであると自分が思い、エリクソンが言ったからといって、女子学生が顔を右手で覆う癖を完全にやめるほどの安心を潜在意識はまだ得られません。頭でわかっていても長年の習慣はそう簡単にやめられないものです。
だから、エリクソンは女子学生にデートを勧めたのです。おそらく「その5つ星の美しいホクロでどのくらい男子学生が魅了されるか試してみたい!」と密かに彼女の潜在意識の好奇心がそそられる誘導がなされ、デートにチャレンジする気にさせたのでしょう。
1人目の男子学生が右(傷跡のある方)の唇にキスするというのを発見したら、6人も相手を変えてデートしてみるという大胆な行動を女子学生がしたのは、外側の世界に合わせようとする顕在意識の意向を振り切って、潜在意識の好奇心が勝った現象なのでしょう。
醜いと思って隠してきた傷跡がチャームポイントとなり、男子学生たちを魅了していると気づいた女子学生は、もう、顔を右手で覆う必要はなくなったのです。
エリクソンは「自分で発見する」「自分で気づくこと」を尊重する医師なので、女子学生とデートする男子学生が全員右側の唇にキスするほんとうの理由は教えませんでした。
女子学生が男子学生を惹きつけていたほんとうの魅力は、彼女の好奇心が強いところにあると思います。熱心に話を聞いてもらえ、関心を寄せてもらっていると相手が感じる動作(何かに興味を持ったときにはいつも頭を左に傾ける)を、この女子学生は毎回のデートでしていました。その結果、いつも右側の唇にキスを受けるという現象につながったのですから。
「潜在意識が語るということは、よく知られていますが、潜在意識は聞くこともしている」と説明するために、エリクソンはこのエピソードを医師たちに話したそうです。
潜在意識が語るというのは、このケースであれば、つい無意識でやってしまう手で口を覆う動作(怖かった記憶を隠す表現)。
潜在意識は聞くこともしているというのは、「傷跡は5つ星のホクロ」という情報を聞き、「それを試してみよう!」と内気な女子学生がデートしたことが証明しているのかなと思いました。
いずれにしても、潜在意識は思考の理解以上に感情で動き、好奇心はさらに強い動機となることがわかります。潜在意識をやる気にさせようというときは、自身の好奇心の矛先がどこに向いているかは要チェックです。
今回のケースは、エリクソンの12ハウスのやぎ座キロンとやぎ座火星(モチベーション)がコンジャンクションしていて、6室(貢献のハウス)のかに座海王星(直感)と180度の葛藤するアスペクトが呼んだ、彼の貢献だと思います。
潜在意識の管轄である12ハウスにキロンがあると、潜在意識の思い込みから来る無意識レベルの恐れ(頭では怖いと思っていないのに、理由もわからない恐れ)に悩まされること多々あります。
エリクソンの診察に訪れた患者でもない女子学生に自ら歩みより、彼女の顔の傷跡のコンプレックス解消の手助けをしたのは、潜在意識の苦しみがキロンによってよくわかるから放っておけなかったのでしょう。キロンはヒーラー(癒し手)の星でもあるのです。
でも、実際エリクソンがしたことは、女子学生のしぐさから好奇心が強いことを見抜き、この好奇心を使って彼女の潜在意識から恐れを解放させ、男子学生とデートできるまでにしてしまうという「作戦勝ち」みたいなやぎ座的な手法です。
その結果得られたのは女子学生の潜在意識を育み守るようなかに座的な癒しだったのです。まさに、12ハウスのやぎ座キロンとやぎ座火星コンジャンクションと6室(貢献のハウス)のかに座海王星のハードアスペクトのエネルギーの統合のなせる奇跡的な展開だと思いました。
次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
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