こんにちは、リブラです。今回は、ウエイン・ダイアー著「老子が教える実践道(タオ)の哲学」の解説です。
第19章「執着を捨てる」
「聖を絶ち智を棄(す)てば、民の利は百倍す。仁を絶ち義を棄てば、民は孝慈に復す。巧を絶ち利を棄てば、盗賊の有ること無し。この三者は、もって文となすに足らず、故に属する所有らしめん。素を見(あら)わし樸(はく)を抱き、私を少なくし欲をなくす」
ー老子 岩波文庫ー
賢(さか)しさを棄て、智恵を棄てよう、それが、万人に百倍も善いことだから。仁義を棄て、正義を棄てよう、人々が正しい行いをするようになるから。技巧を棄て、利益を棄てよう、盗人を絶やすことができるから。
どれも上辺(うわべ)の形ばかり、内実が、まるで足らないではないか。
肝心なのは、素朴なものに目を向けること、己の本質を悟ること、利己心を棄て、欲望を抑えること。
ー老子が教えるタオの哲学ー
あなたを区別してかかるものに要注意。承認の基準に賞罰システムを利用してしていませんか?法規に従うから善人なのではありません。あなたは善そのもの。そもそも、道(タオ)という善の起源から生まれたのですから。
外形は真の本性の粗末な代用品。そう見れば、形への執着も消え、制度にする必要のない、内なる規律が見えてくるでしょう。
ただ自由に素朴に生きる。何よりもまず、自分を信頼することです。
人生の目標を利益を上げることから遠ざけるほど―他者との和を大切にすることにエネルギーを移すほど―あなたのほうに金銭が流れてきて、他者に尽くす機会が増えていきます。
「あなたの心がほんとうに望むものが何か見つけなさい」と老子は忠告します。「他の誰も、あなたの心に指示は出せないことを忘れてはいけないよ」と。
今日の道(タオ)
「学校の証明書や銀行の書類に何と書かれていようと、わたしは善であり、役に立ち、並外れた才能の持ち主だ」といつも目にできるところに貼っておきましょう。このマントラをくり返して、あなたの生き方にしてしまいましょう。
外形の支配力から解放されれば、心が平穏になるはずです。とダイアー博士は言っています。
智恵も正義も技巧も利益も捨てたら百倍善いことだと老子先生にお勧めされても、これらはエゴが好んで収集してきたものだからそう簡単には捨てられません。いくら断捨離をしたくても、思い入れがあるものまでバッサリ捨てると後々後悔します。
エゴがなんで智恵や正義や技巧や利益にこだわるのか、探ってみましょう。そこを押えるとエゴを納得させる手がかりになります。
エゴは生存本能由来の意識なので、生き残りの司令官役を担っています。エゴが智恵や正義や技巧や利益にこだわるのは、それらが生き残りに必須だと思っているからです。
過去を振り返ると、エゴが獲得した智恵や正義や技巧や利益に助けられたという経験が確かにあるはずです。なければ、簡単に捨てられます。エゴは損得勘定が得意だから一度も役に立ったためしもないものにしがみついたりしません。
そして、智恵や正義や技巧や利益は思考能力を使うことで獲得できたとエゴは思っています。思考はエゴが最も生き残りに有効だと信じている道具ですから。人類が地球の生物の食物連鎖のトップに君臨できるのも、確かに人類の大脳皮質の働きのおかげです。
でも、思考は常に新しい情報を供給して刷新していかないと役に立たなくなってきます。時々その時点の自分に合わせてリニューアルしなければなりません。この辺りがエゴへの説得のポイントになります。
かつては役に立ったけれど、今はもう使えないとわかればエゴもしがみつかなくなります。さらにもっと良いものが手にはいると知ると、あっさり手放す可能性もあります。
エゴが使える・使えないの基準に頼りにしているのが、社会システムです。文明社会に生きるわたしたちは、生まれた瞬間から社会に守られて育ちます。だから、エゴは社会に馴染む生き方が最も安心安全だと信頼しています。
しかし、社会システムは生命の最低限を保証するかもしれませんが、個人の心の幸せはその範疇にはありません。心の幸せはその本人の責任です。
心が要求するものを叶えてあげるのは自分自身にしかできません。わたしたちの心は精神の発達に合わせて欲求が変わってくることが知られています(マズローの五段階欲求)。
生きるために必要なものが与えられれば満たされる段階(生存欲求)⇒安心安全が約束されているなら満たされる段階(安心安全欲求)⇒人間関係が充実していれば満たされる段階(所属欲求)⇒社会で承認されることで満たされる段階(承認欲求)⇒唯一無二の自分を表現して実現することで満たされる段階(自己実現欲求)。
それぞれの発達段階によって欲しいものが変わってくることをエゴに理解させると、社会システムの影響で欲しくなっていたものと、ほんとうに今の自分に必要なものの違いがはっきりわかり、不要なものへの執着をやめてくれます。
精神的な成長を促す転生のシステムはエゴのためにあるようなものなので、エゴは生存さえ約束されれば、いくらでも進化の高みに昇りたいのです。
今この瞬間に生存の不安を感じていたとしても、ほんとうに欲求しているのはずっと生存の安心安全が続くことではないですか。
今の環境に安心安全の不安を感じていたとしても、ほんとうの安心は人間関係がもたらしてくれると思っていませんか。
今の人間関係に不安を感じているのは、その相手から自分が認めれていないと思うからではないですか。
今の環境では自分は認められるチャンスがないと思うのは、自分には社会が認める以上の可能性があると思うからではないですか。
このように、エゴが今不足を訴え追い求めていても、ほんとうはその次の段階の欲求にランクアップしていることもあるのです。そこに気がつくと、いつまでもエゴが生存欲求や安心安全欲求や所属欲求に執着するのをやめて、ほんとうに欲しいもの(精神的進化)にフォーカスするようになります。
最後の砦の承認欲求は、「社会が認める自分」ではなく、「自分が認める自分の真の可能性」を欲したときに卒業できます。
そこを超えると、素朴なものに目を向けること、己の本質を悟ること、利己心を棄て、欲望を抑えることが可能になるので「ありのままの自分」を実現したいという自己実現欲求が自然に湧いて出てきます。
次回は「神話と数秘で読み解くみずがめ座」の解説を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
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