こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのやぎ座編です。
ホロスコープは12星座で30度ずつ、ぐるりと丸い円で取り囲む構造になっていますから、やぎ座がないホロスコープはありません。
アセンダントや天体やその他の感受点が存在しなくても、ホロスコープのどこかのハウスはいて座が占めているところが存在します。それは、誰しもやぎ座要素をどこかに持っていることを意味します。そんなことを意識して神話と数秘でやぎ座を読み解いていきましょう。
やぎ座神話
智恵の神ヘルメスと森の妖精の間に生まれパーンは、山羊の下半身と人の上半身だけれども頭には角・口元には山羊髭を生やした姿で生まれ、その醜さに驚いた母親は彼を置き去りにして逃げてしまいました。
そんなパーンを天界に連れていったのは父親のヘルメスでしたが、育てたのは天界の神々でした。特に大神ゼウスはパーンの醜さを愛で、必ず神々の宴会に連れ出しました。
劣等感を抱かない神々にとってパーンは、醜い生き物というより宴会を笑いの渦で盛り上げてくれる珍獣に見えたのでした。
智恵の神の血を引くパーンは、自身の醜い姿を神々の前ではユーモラスに演出し、住処にしている森では恐ろしい化け物を装って人間を近づけないようにしていました。
姿の醜さで悲しい思いをしたのは、妖精のシュリンクスに恋をしたときだけでした。懸命に追いかけ回してやっとシュリンクスを捕まえたのに、彼女はパーンの手の中で恐怖のあまり葦に化身してしまったのでした。
それでもシュリンクスへの思いを諦めきれず、パーンはその葦で笛を作り失恋の悲しみを曲にして演奏しました。すると、その悲恋の美しい笛の響きに妖精たちは魅了され、パーンのもとに集い彼を愛するようになりました。
自分が欲しいものを手に入れようとしていただけのパーンが讃えられ星座として天に上げられたのは、笑いで大神ゼウスの恐怖を忘れさせたからでした。
パーンが神々の宴会で葦笛を奏でているとティホーン(怪獣)が突如出現し、神々は次々に魚に化けて逃げました。ところが、パーンだけは上半身が山羊で下半身が魚という奇妙な姿で、ジタバタして逃げられずにいました。
いつもは脅かす側のパーンが慌てふためき化け損ねた姿がおもしろく、ゼウスは逃げるのも忘れて笑い転げました。恐怖でおかしな行動をとってしまうことを「パニック」と言うのは、この神話が由来だと言われています。
やぎ座は地のエレメントで、テーマが「I control.(わたしは制御する)」です。現実性と具現化を司る「地」のエレメントらしく、逆境に負けず、智恵と根気と努力で欲しいものはすべて獲得するパーンが神話に描かれています。
やぎ座神話のパーンの凄いところは、「醜い容姿のために母親に産み捨てられる」という逆境からスタートしたのにも関わらず、その逆境を逆手にとって現実の困難を乗り越える道具にしてしまうことです。
「醜い容姿」、「力の限り走って捕まえたけれど葦に化身してしまった恋人」、「失恋」、「魚に化け損ねて逃げられずパニックになる」・・・どれもパーンの前に突きつけられた厳しい現実です。
その厳しい現実から目を逸らさず、それどころか何か使えるものはないだろうかと智恵を駆使して望む現実を創り出そうと試みるのです。最初から恵まれた「未来の希望に向かって明るい気持ちで矢を放てば望む現実を手にできるいて座」とは真逆ですよね。
でも、木星支配星のいて座の幸運に恵まれるキャラクターは逆境のときは弱点に変わり、「打たれ弱いいて座」の性質となって現れ、キローンは永遠の命を返上して自ら死を選ぶ最期となってしまいました。
だから、いて座の「打たれ弱さ」を克服すべく土星支配星のやぎ座では、パーンのような逆境から始まり自身の智恵と努力で克服する神話になったのです。
これは12星座の神話の順番に数秘のエネルギーが働いている証です。一つ前の数字のエネルギーを内包して次の数秘でグレートアップしていくというしくみです。前の星座の弱点を次の星座で解決していくのです。
やぎ座は10番目の星座で数秘10(1+0=1)の影響を受けます。「1」は独立独歩の精神で頑張ることを表し、その後ろに控えている「0」は神を表します。「10」という数字は、「人事を尽くして、天命を待つ」という人間レベルでできることはしっかり果たし、人間の力が及ばないことは天運に委ねる姿勢を表した数です。
やぎ座神話の主人公パーンも、逆境の中たった1人の努力だけで欲しいものを手に入れてきたのではありません。「醜い容姿」がおもしろいと笑って彼を人気者にして自信を着けさせた神々の存在があります。パーンのユーモアを讃えて12星座に加えたのも大神ゼウスでした。
やぎ座は12星座の中で最も現実的な考えを持つ星座ですが、努力だけでは望みが成就しないことも知っています。やぎ座の性質がポジティブに働くときは、現実に手に入る材料を巧みに使い無駄なく合理的に目的に向かいます。
しかし、やぎ座の性質がネガティブに働くときは、過去の成功や失敗の経験から想定した未来しか思い描けず、リスクを恐れて保守的な固定観念や損得勘定の制限に囚われます。
現実のコントロールが得意なやぎ座は、かえって現実に囚われて身動きできなくリスクもあるのです。
活動サインであるやぎ座は、現実を効率よく制御するアクションに喜びを覚えますが、効率が悪く無駄な動きをしてしまったというだけで自身を責めて失望します。
パーンが自身の能力で下克上を果たしたストーリーからもわかるように、やぎ座は自身の能力こそ現実を強く生き残るツールと捉えています。だからその能力に磨き上げることに余念がなく、ストイックに努力することに安心するのです。
現実的なやぎ座にとって「人事を尽くす」ところまでは容易くできるのですが、「天命待つ」ことが苦手です。でも、この目に見えないレベルで物事が現象化されるまでの時間を信じて待つことができるか否が、やぎ座の性質のグレードアップか否かの鍵を握っています。
「10」という数字が示す、人と神との共同創造のパワーをやぎ座から引き出すには、現実的な努力とそこに働く「運」の力を信頼することが必要なのです。
やぎ座の人々がストイックに努力することに安心するのは、自身が積み重ねた努力とそれをしてきた自分を信じることで、その自分に相応しいセルフイメージ(自己肯定に溢れたイメージ)を備えるからです。
積み重ね努力に具現化の魔法をかける「運」は、自己肯定感に溢れたセルフイメージが連れてきます。
ですから、やぎ座にアセンダントや天体がある人々は、自分が自分に対して持つイメージをけして低く見積もってはいけません。
「醜い容姿」は笑いを取って人気者に、あるいは人間を脅して追い払うために。
「力の限り走って捕まえたけれど葦に化身してしまった恋人」は頑張って走った自分への報酬として葦笛にして使う。
「失恋」はその思いを曲にして奏で妖精たちを魅了して人気者に。
「魚に化け損ねて逃げられずパニックになる」は、大神ゼウスを笑わせてティホーンへの恐怖を忘れさせたのが讃えられて星座になった
これらの望まない出来事を望ましい出来事に変える具現化力は、自身を肯定的にイメージすることにより発揮されるやぎ座のパワーです。
次回は「神話で読み解く12星座;やぎ座月編」を予定しています。
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