こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのてんびん座の月(インナーチャイルド)のお話です。
月は太陽の光を受けて満ち欠けをする天体です。月が太陽に重なる新月のときは全く見えなくなります。このように月は太陽から多大な影響を受ける天体です。
ですから、月は親の保護なしには生育できないと感じる子ども意識(インナーチャイルド)のイメージと重なります。
0~12歳くらい(丸暗記ができるくらいまでの年齢)の脳細胞はまだ未熟なので、情報を鵜呑みにして覚えます。傷つく言葉・考え方から心を守る防御機能が不完全なのです。
そして、ダイレクトに感情を受けとめてダメージを負い、トラウマの記憶として刻まれます。このとき生まれる意識がインナーチャイルドです。
インナーチャイルドは感情で傷ついた記憶の中で生まれた子なので、感情でしか癒されず、感情でしか満たされません。
月の星座やハウスを観ると、その人の感情がどんなことに欠乏感を覚え、どんなことに充実感を覚えるのかがわかります。
ホロスコープで月の星座とハウスを観ると、自分のインナーチャイルドのウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころがわかるのです。それは同時に自分自身のウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころを知ることにもなります。
今回はてんびん座の月を神話と数秘から読み解いて、インナーチャイルドのウイークポイント、癒し方、感情の満たしどころを探ってみます。
てんびん座神話;
大昔、人間と神々は一緒に暮らしていました。自然はいつも人間に優しく、万物の豊かさは無償で提供されていました。その頃の人間に寿命はなく、好きなだけ生き、それに飽きると霊魂だけになって精霊界に行き、地上で生きる人々のサポート役をしました。人々は神々が創った美しい自然界や万物を讃え、それを使って芸術性や創造性を発揮し、地上で神々と人間との共同創造を楽しみました。この時代は金の時代と呼ばれ、大地の女神アストレイアは、「人の心に宿る美しさ(美意識)」を天秤を使い測っていました。
やがて神々の都合(ペルセフォネ誘拐事件)により四季ができ、人々は冬に備える食料のため農耕をするようになりました。そこでアストレイアは収穫量を公平に分配する人を選ぶため、「人の心の公正さ」を測るようになりました。この時代は銀の時代と呼ばれました。
硬い大地を木製のクワで耕して労働する人間たちを哀れんだ巨人のプロメテウスは、神々の国から「知恵の火」を盗み出し、人間に与えました。人々はその火で銅を溶かしてクワや刃物を創ることを覚えました。ところが、それで武器を創り戦争をするようになりました。
神々は「もう、人間とは共存できない」と天界に去っていきました。アストレイアだけは、まだ心清らかな人間がいると信じて地上に残り、「人の心の罪」を測りました。この時代は銅の時代と呼ばれました。
神々が去った後、人間たちは我が物顔で森林を伐採し、地中の金・銀・鉄や宝石を採掘しました。自然界は過酷な様相を見せ始め、人間は洪水や干ばつや地震に見舞われるようになりました。人々の心は荒んでいき、誰しも心に罪の意識が住み着くようになりました。この時代は鉄の時代と呼ばれました。
そして、とうとうアストレイアもそんな人間たちを見限り、地上に天秤を残し、天界に去っていきました。
この神話から浮かぶキャラクターのイメージは、時代の変遷で測る物が変わっていく(いかなるタイプの相手であろうと場の空気やコミュニケーションのバランスをとる)、神々が天界に去っても地上に残るアストレイア(自身の美意識のルールに従い公平になる)、人の心を測る行為(両極性の視点で美点・醜点を観察するので、一歩間違うと冷徹なジャッジメントになる)、主人(アストレイア)に置き去りにされた天秤(「自分は何者で何を軸として価値を決めているのだろう」という答えを人間関係の中で探し求める)。
てんびん座に強く影響を受ける人々がなぜ、人間関係の調和を重視するのかと言えば、人を理解し釣り合わせて交流することで未知の自分を発見できるからです。
だから、てんびん座の影響を受ける人々は、様々なタイプの人と調和のとれた交流ができると、自身のコミュニケーション能力に安心感を覚えます。
また、風星座で金星(喜び・女性性を司る)を支配星に持つてんびん座は、自身の喜びの感覚に根差した美意識を頼りにします。
そのてんびん座に子ども意識を象徴する月のイメージを重ねると、「みにくいアヒルの子」の主人公キャラクターが浮かんできます。「みにくいアヒルの子」は、アヒルの子どもたちに紛れ込んで生まれた白鳥の子です。
アヒルの子として育てられますが、羽毛が灰色で身体が大きいので「みにくいアヒルの子」と呼ばれてしまいます。「みにくいアヒルの子」は自分のほんとうの仲間を求めて旅を始めます。
様々な鳥たちを見かけますが、「みにくいアヒルの子」が心から憧れたのは大空を美しい白い翼で自由に飛び、外国に渡っていく白鳥たちでした。
「どうせ鳥として生まれて来るならば、白鳥のように美しくて空を飛べる鳥に生まれたかった」と「みにくいアヒルの子」は思うのです(アヒルとして育てられたので飛べることを知らなかった)。
憧れの白鳥たちのいる湖で遠目でかれらを「みにくいアヒルの子」が眺めていると、その憧れの白鳥たちに「一緒に仲間として外国に渡ろう!」と誘われて驚きます。「みにくいアヒルの子」は自分が白鳥の仲間入りなんてできるわけがないと否定しますが、水面に映る自分の姿をちゃんと見るように促されると、そこに白鳥に育った自分を発見するのです。
「みにくいアヒルの子」が白鳥を美しいと感じる美意識は最初から備わっていて、他の種類の鳥たちと遭遇して自分との違いを認識することで、ほんとうになりたかった鳥(自分)のイメージを得るのです。
てんびん座の月を持つ人々は「自分の感情がよくわからない」という不安を持ちます。てんびん座の性質で両極性の視点で観察するので、どちらか一方に自分の気持ちが傾くことに違和感があるのです。風星座なので感情よりも思考を優位に使うので、自分の感情が何を感じているのか不明寮になりがちなのです。
てんびん座月の人々は、様々な人の心の状態を想定して、自分だったらどう感じるだろうか?とシュミレーションすることが得意です。相手に共感して同じ気持ちになるのではなく、思考で相手の心の状態を想定して自分がその当人だったら何を感じるか自問し、それにより相手の心を理解するのです。
役者が台本を読んでその役柄の心情を理解し、その人物を演じる手がかりにするシュミレーションを、てんびん座の月の人々は無意識にやっています。
月がてんびん座の人々は、活動サインである影響から美意識が動機となると、アクションを起こします。自身の中の一番頼りになる基準が美意識であり、それを基準にするならば感情も動き行動の引き金になり、迷わず決断できるからです。
美意識の基準が信頼できれば、自信をもって「I balance.わたしは釣り合わせる」ができるからです。
このようにてんびん座月の人々は、様々な人間関係を通して人々の感情を理解し自分に当てはめて考え、新たな自分を発見します。
ところがそんなとき、てんびん座月の人々は「相手の考えや心情も一理あり理解はできる。でも、それはをわたしの美意識に反している」というジレンマを抱えることになります。
「人間関係の調和を保ちたい」欲求と「自身の美意識を尊重したい」欲求が同時発生して葛藤するのです。
てんびん座の月は、金の時代の女神の秤として「人の心の美しさ」を測っていたときのように、自分自身が信頼している美意識を基準に行動するとき、「本来の自分」を思い出して心満たされるのです。
逆に、自分が信頼している美意識を否定されたり、美意識に反することをしてしまったと感じるとき、てんびん座の月(インナーチャイルド)は強いストレスを感じます。
これらの性質から推察すると、月がてんびん座の人の幼児期のトラウマは、衝動や感情に走ってバランスを欠く行動をして失敗すること、意図せず辛辣な言葉で人の心を傷つけてしまったことが原因になると考えられます。
月は未熟な子ども意識なので、衝動で動いたり感情的になってしまった、辛辣な言葉で傷つけてしまったと思うと、その人に「嫌われてしまった!」と感じます。
てんびん座の月は自身が信頼する美意識優先なので、その美意識に従い調和のとれたコミュニケーションがとれると安心し、その美意識に反することを自らしてしまったと感じると不安定になります。
しかし、自分の信頼する美意識が他者にとって通用するとも限りません。美意識を守ることで関係性も良好に保ちたいてんびん座月なら、尚更、確かな共通する基準が欲しいところです。
ですから、金の時代に測っていた「人の心の美しさ」に着目したコミュニケーションが必要になります。
金の時代は誰もがアーティストのように芸術性や創造性を楽しんでいたのですから、他者が純粋に何かに夢中になる姿に美を見つけてみましょう。
調和やバランスを逸脱しているのにもかかわらず天と共同創造する聖なる衝動の美しさに触れると、小さな美意識で裁く自分の基準を破壊して、愛を基準とする「本来の自分」の美意識を思い出します。その基準で観察すれば、誰の心の中にも美しい輝きを見つけることができます。
また、てんびん座は数秘7の影響を強く受けます。数秘7は数秘6で愛や絆で支えられることを知り、逆に個の可能性へ内なる探求に向かうエネルギーです。
てんびん座の月を持つ人々は、人間関係の交流を通して自身の個性の手がかりの断片を見つけ、独自の美意識を洗練させて、それを軸とする価値観で物事を決められるとき、本来の自分を思い出し充実するのです。
ウォルト・ディズニーは、てんびん座の月を1室(本人のハウス)に持っています。このてんびん座の月は、4室(基盤のハウス)のやぎ座のキローン(苦手意識、癒し)と火星(モチベーション、男性性)の合、同じく4室の火星と土星(現実性、観念)の合にそれぞれ90度の葛藤するアスペクトをとっています。
月が1室にある場合、自分自身を心のよりどころにすると安心できます。ディズニーはてんびん座の月なので、自分自身の美意識を心のよりどころにしているときは充実できるのです。
第2次世界大戦のとき、ディズニーの映画会社は存続の危機にありました。映画を作っても上映できず、映画製作をしていなければ社屋を軍に接収されます。ディズニーは採算度外視で映画を作り続け、兵士たちの娯楽のために無料の上映会を開きました。
子ども向けアニメ映画だったにもかかわらず、兵士たちが感動している様子に目をつけた将校がディズニーに仕事のオファーを持ち掛けました。それは「空軍の威力」というプロパガンダ映画を作る依頼でした。空軍のパイロットに志願してくれる兵士が少ないので、空軍で戦うヒーローものを映画に描いてその気にさせようというもくろみでした。
そのオファーを受ければ会社は生き延びられる。でも、子どもたちに夢を与える映画を創り続けきたディズニーには苦渋の選択でした。ディズニーのてんびん座の月は、「戦争のプロパガンダ映画なんか創りたくない、わたしの美意識に反することだ」と抗議したことでしょう。
けれども、「映画作りの資金は底をついている。映画製作をしないならば会社は接収され、社員はすべて徴兵されてしまうだろう。このオファーさえ受ければ資金難は解決する。いまは会社を存続させる方が先決だ」というやぎ座キローンや火星や土星の現実的な意見の方に軍配が上がりました。ディズニーは大戦中ずっと軍のために映画を創り続けることになったのです。
戦後、アメリカに残った唯一のアニメ映画制作会社として一人勝ちしていくディズニー社でしたが、ディズニー自身はすっかり映画製作の意欲が失せて苦悩していたそうです。そして、気晴らしに模型電車を自宅の庭に走らせているときに、ディズニーランドの着想を得たと言われています。
月はインナーチャイルドを表します。インナーチャイルドと創造性と切っても切れない関係にあります。自身の美意識に反する映画を製作したことで彼のてんびん座の月が機嫌を損ね、別の方向に創造性を発揮する必要が出たのでしょう。
美意識を取るか、経済基盤の安定を取るかの葛藤を経験しながらディズニーは両者を統合させるに至ったので、いまでもディズニー社は繁栄を続けているのでしょう。
「自分を好きになればなるほど、他の人とは似なくなってくる。それがあなたをユニークにさせる」
ーウォルト・ディズニーー
「すべての大人の心には、外に出たがっている小さなこどもがいる」
ーウォルト・ディズニーー
次回は「神話で読み解く12星座;てんびん座土星編」を予定しています。
わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。
詳しくはこちら をご覧ください。
新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。