こんにちは、リブラです。今回は、「ヒロインの旅」の解説です。

 

 

 

「ヒロインの旅」第9章「ハートがある男を探して」

・聖婚

 

聖婚(ヒエロス・ガモス)とは、あらゆる正反対のものどうしが一体になることを指す。「聖婚は気づきをもたらす。前から魂の奥底で知っていたことを思い出すようなものだ。苦しみを避けずに進むなら、未解決の問題にも新たな展開が見出せるだろう」。

 

聖婚とは自己と自我との結婚だ。ヒロインが心の中の男と女の部分を理解し、受け入れることである。

正反対のものどうしが融合すると「聖なる子」が誕生する。それが新しい自分だ。両性を融合させて自立した存在に生まれ変わる。

 

神話でも、魂(プシュケー)と愛(アモール)の結合から喜び(ウォルプタース)という名の娘が生まれた。

 

プシュケーとアモールの神話

 

ある国の王とお妃の間に生まれた末の王女プシュケーは類稀なる美貌に恵まれ、その評判は遠い国にまで伝わり、多くの人々が彼女を見るために集まってきました。そのため、ヴィーナス神殿の参拝者が激減し、怒ったヴィーナスは息子のアモールに「プシュケーが卑しい男の恋の奴隷になるようにしておしまい!」と命じました。

 

ところが、プシュケーのあまりの美しさに目を奪われたアモールは、思わず自身を恋の弓矢で傷つけて、プシュケーに恋してしまいました。アモールはプシュケーの父王に「娘を生贄として山の頂に置いていきなさい」という神託を下し、差し出されたプシュケーを西風ゼフィロスにさらわせました。

 

アモールの宮殿はプシュケーも見たことないほど贅を尽くした豪華さで、召使はどこに見当たらないにもかかわらず、心地よい音楽と美味しいお茶や食事、香気の溢れるお風呂に寝室の至れり尽くせりのもてなしを受けました。

 

やがてプシュケーが眠りに落ちそうなると、甘い声で愛を囁き優しく抱きしめる誰かが添い寝しているのを感じました。姿を見ることはできませんでしたが、プシュケーもその見えない誰かと共にする夜を心待ちするようになり、幸せな日々が過ぎていきました。

 

そんなある日、姉たちがプシュケーを探しに近くまで来ているのを知って会いに行きました。姉たちはプシュケーの無事を喜びましたが、その幸せな暮らしぶりを知ると嫉妬しました。

 

「この豪華な宮殿の主は、恐ろしい化け物だから姿を見せないのかもしれない。夜、相手が眠ったところをランプで照らして正体を確かめるべきだ」とプシュケーを煽りました。

 

プシュケーが姉たちの言う通りにランプで謎の人物を照らしてみると、そこにはこの世のものとは思えない美青年が眠っていました。あまりの神々しさに驚いたプシュケーは、ランプの油をその美青年(アモール)にこぼしてしまいました。

 

自分のプシュケーへの愛を疑われたことに傷ついたアモールは、母のヴィーナスのもとに逃げ帰っていきました。プシュケーがそれでもアモールを探しているとヴィーナスが現れ、3つの試練を受けることを条件にアモールに会わせてもよいと言いました。

 

途方もない量の大麦と小麦を選別する第1の試練は、蟻たちに手伝ってもらい乗り越えました。凶暴な金毛羊の毛を集めてくる第2の試練は、金毛羊が木に背中を擦りに来るタイミングを葦に教えてもらい、木に着く金毛を回収できました。最後の試練は、冥界に降りてペルセポネから「美の素」を渡してもらいヴィーナスに届けることでした。

 

プシュケーは冥界下りの恐ろしさにも耐え、無事に「美の素」を手にすることができましたが、自身も「美の素」を使ってみたい誘惑に駆られて箱の蓋を開けてしまい、中から出てきた「眠り」に襲われて倒れました。

 

その様子をずっと影で見守っていたアモールはプシュケーを抱きかかえ、ヴィーナスのもとに連れて行き結婚の許しをもらいました。

 

人間のプシュケーが女神に昇格してアモールとの結婚を許されるには、試練を越えることが必要でした。真逆のものどうしの聖婚には、その器を問われる試練が付き物です。自分にない片割れを求めて完全な存在になるのではなく、自らの真逆の性質の統合を果たすから完全な存在に生まれ変わるのです。

 

プシュケーは天与の美に支えられて生きていました。自分で結婚相手を選ぶ自由さえなく、差し出される運命に従うしかありませんでした。差し出されたものを受けとめる性質は女性性です。人間の娘であるプシュケーが使えたのは、女性性だけだったのです。

 

アモールに去られ、ヴィーナスに3つの試練を突き付けられたとき、プシュケーはその試練を受けて立つことを決心しました。この瞬間からプシュケーの中に眠っていた男性性が目覚め、運命を受け入れるだけでなく、望む現実を獲得するべく行動を起こしたのです。

 

最初の試練は、ただ自分の無力さを受け入れて蟻の協力を得ることで乗り越えました。女性性過多状態から男性性を使う方へのスタートは、被害者意識に陥らずに自分の無力さを受け入れることで成されます。

 

自身の男性性を眠らせたままだと、厳しい現実に打ちのめされたとき被害者意識に駆られて誰かに助けてもらうことばかりを考えてしまいます。アモールがプシュケーの試練を見守りながらもけして手を貸さなかったは、プシュケーの男性性(戦う力)を目覚めさせるためです。

 

絶望的な状況の中でも諦めずに試練に挑むプシュケーだからこそ、蟻の協力を得られたのです。ここで男性性に目覚めた女性が陥りがちな傾向も第2の試練で試され、プシュケーはそれを乗り越えます。

 

自分の男性性(戦う力)に目覚めると、自らの女性性を否定する傾向が現れます。もし、プシュケーにその傾向が現れたのなら、獰猛な金毛羊にがむしゃらに向かって行ったでしょう。

 

しかし、プシュケーは金毛羊と戦う力がない弱い自分を責めたり、試練を諦めたりしませんでした。無力な自分を認めつつも、そんな自分でもなんとか試練を達成する方法を探していたのです。

 

だから、「金毛羊は背中が痒くなると木に身体を擦りつける。だからそこに着いた金毛を集めるといい」という葦の情報を手に入れられたのです。

 

目覚めた男性性と元からある女性性を敵対させず、統合へのプロセスに向かうことができたのです。そして最後の試練は冥界下りです。

 

冥界下りの試練は、それまでの自分を一回死なせて新しい自分に生まれ変わる変容の通過儀礼です。それまでの自分のどんな経験も通用しない未体験ゾーンに身を任せ、それでも自分の可能性を信じる究極の自己信頼を試す試練です。

 

もしも、プシュケーが人間の女性性にしがみついていたら、冥界下りの死の恐怖を前にするとき逃走することしかできなかったでしょう。しかし、女性性と男性性の統合を果したプシュケーには、冥界下りの恐怖の向こう側に女神として生まれ変わる希望を見出すことができたのです。

 

自分の未来を信じて身を任せる女性性と試練の恐怖と向き合う強さの男性性を合わせ持つことができたプシュケーは、最後の試練を誰の助けも借りずに乗り越えて、冥界から生還したのでした。

 

見事に試練を果たした後だったから、女神の器になったプシュケーを迎えにアモールは手助けすることができたのです。

 

自らの女性性と男性性を統合する精神的な<聖婚>を果たした人は、自身の欠乏感を埋めるためにパートナーを求めず、人間関係に依存しません。

 

心の自由があり、お互いの個性や進化成長を尊重する真実の愛の関係のみをパートナーシップに求めるようになるのです。

 

次回は「プリズムオブリラ」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。