こんにちは、リブラです。今回は、「ヒロインの旅」の解説です。
「ヒロインの旅」第4章拒否する強さ」
・父の裏切り:イピゲネイア
トロイア戦争の火種となったパリス王子とスパルタ王の妻ヘレナの駆け落ち。そのヘレナを奪還するべくスパルタ王(メネラオス)は、兄アガメムノンと共に艦隊を編成したが、「海の凪が止まり、このままではトロイアに着けない。アガメムノンの娘(イピゲネイア)を生贄として女神アルテミスに捧げよ」と預言者は告げた。
アガメムノンは葛藤したが戦いの士気に猛り狂った軍隊は、イピゲネイアを生贄にして早急にトロイアに着くことを要求したので、父親として娘を守るよりも戦争の指揮官として軍隊を戦地に送り込む方を優先した。
そして、アガメムノンは娘(イピゲネイア)を呼び寄せる口実に武将アキレウスとの縁談を持ちかけた。ところが、イピゲネイアの母は夫の策略にいち早く気づき、アキレウスに娘を助けるように懇願した。
娘を生贄にしなければ責任を問われる父の立場や父の作り話に巻き込まれたアキレウスの状況を悟ったイピゲネイアは、「わたしは死を選びます。わたしには名誉が大事。愛する祖国のために、未来の祖国の女たちのために」と、自ら生贄になろうと進み出た。
祭壇に横たわるイピゲネイアの胸にナイフが突き立てられる瞬間、女神アルテミスが現れてイピゲネイアをさらい、代わりに雌鹿を置いていった。
男たちはイピゲネイアの命を犠牲にしてでも戦いの勝利を願ったが、イピゲネイアは女性原理の象徴であるアルテミスによって救われる。
父を喜ばせるためなら何でもしようとする娘は、神に振り向いてもらおうとするようなものだ。
権限を笠に着る者の横暴さに気づくとき、やっとヒロインは何もかも彼らに従う必要はないと思えるようになる。
このギリシャ神話の上記の部分だけを読むと、娘の命をなんだと思っているのか、この父親も軍隊も最低!と思うかもしれません。
でも、ここでちょっと補足をすると、先代のスパルタ王の娘であるヘレナ(ふたご座神話に登場する男の子の双子のカストルとポルックスと一緒に生まれた女の子の双子の片割れ)が国際問題に発展するのを承知で他国の王子と不倫の恋に走った、という経緯があります。
男たちにしてみればお姫様の身勝手が引き起こした不祥事に、なんで自分たちの命を捧げなきゃならんのだという憤りがあったことでしょう。
そして、戦争に発展するのを承知でヘレナを自国に連れ去ったパリス王子にしても、ヴィーナスと交わした約束のものを受けとった思っているのです。この戦争のほんとうの黒幕は、神々です。
ヘラとアテナイとヴィーナスの3美神のうちで誰が最も美しいのかを競う美神コンテストがあり、その審査役に選ばれたのがトロイアの王子パリスでした。
3美神たちはそれぞれこっそり賄賂を持ちかけたのですが、パリスはヴィーナスの賄賂に魅力を感じ、ヴィーナスが最も美しいと審査結果を告げたのでした。
そのパリスが受けとった賄賂こそ、絶世の美女ヘレナで「好きになった女性と相思相愛になれる」という約束でした。
この神話の根底には、「女性性が引き起こす騒動に引っ搔き回される男性性の苦悩」が渦巻いています。
だから、女性の生贄がなければ男性たちの憤りが収まらないと思ったのでしょう。
イピゲネイアの父親やスパルタ王や軍隊は、思考を優先して名誉や立場やプライドを重んじ、愛や感情を権威で蹂躙するのもしかたがないと考えます。
一方、イピゲネイアの母親やアルテミスは、愛や感情を優先し、罪もないイピゲネイアの命を救おうとします。
男性性優位社会の発想に慣れ切ってしまうと、無意識のうちに権威に従い、自身の愛や感情をねじ伏せてしまう傾向に陥ります。
自分の感情よりも、社会的な立場や人間関係や常識を守る方が大切に思えてしまいます。
でも、それでは、誰が自分の感情を守ってくれるというのでしょう。
自分の感情を扱えるのは自分自身でしかありません。
誰かの犠牲にされた!と嘆いていたら、いつまでも犠牲者でいなければなりません。
自分で犠牲者だと認め甘んじていることになります。
権威やパワーによって自身の心の犠牲を強いられたときは、自身の心を守れるのも傷つけるのも自分だけだと思い出しましょう。
権威やパワーによって自分を犠牲者だと思うとき、自分を守ることができない無力感が最も自身の心にダメージを与えます。
イピゲネイアが自ら生贄になることを申し出たのは、ヘレナが招いてしまった災難で戦わなくてはならなくなった男たちにイピゲネイアも協力して祖国を救いたいと思ったからでしょう。
個人的な感情に乗っ取られず、国を守ろうとする男性性を統合した女もいることを、名誉やプライドばかりを重んじて感情を蹂躙する愚かな男たちに知らしめたかったのでしょう。
自分をだました父やアキレウスも、祖国も、女性たちの名誉も守り自らの命を差し出したイピゲネイアの無償の愛は、結果として女神アルテミスの心を動かし、イピゲネイアは助かりました。
この辺りは、権威やパワーから自分の心を守ることができるのは、女性性の得意分野である感情が作り出す寛大な愛の力=許しと癒しの力なのだということ表しているようにわたしは思います。
被害者意識に駆られていたら、誰かを責める気持ちや誰か救済者が現れるまで助からないという考えに囚われますが、自分の心は自分が守るという意識になると、感情は自らの心がパワフルになるためのモチベーションを上げ、行動する勇気を引き出します。
この状態は、自分の中のヒーローが目覚め、心にダメージを与える無力感・無価値感を吹き飛ばすので、とても頼もしい自分に守られている素晴らしい感覚です。権威やパワーを笠に着て人に犠牲を強いる低俗な人間を、上から見を降ろすことができるくらい崇高な気分になれます。だから、許しを授けることもできるのです。
イピゲネイアは悲惨な気持ちで祭壇に横たわっていたのではなく、父を許し国家と女性たちの名誉を守る気高い気持ちで死を待ち受けていたのでしょう。
「許しは神にしかできないこと」と「奇跡のコース」の中に書かれていますが、自らの女性性と男性性を統合したら、わたしたちは神が自らに似せてデザインした「ほんとうの人間」になれます。つまり、人間であっても許しができて、奇跡を起こすことができるのです。
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