こんにちは、リブラです。今回は、「ヒロインの旅」の解説です。
「ヒロインの旅」第2章「男らしさに自分を近づける」
・父の娘
女性議員のイボンヌの父親は、サービス業従事者の国際組合活動に生涯を捧げた。
イボンヌが法律学部に進むときの学費も組合の支援だった。
「何かを勝ち取るために全力で戦うことを、父を見て学びました。ストライキが何か月続こうと、父は活動をやめませんでした。
世の中への意義を感じていましたから。
わたしが法曹界から政界に入るとき、父は応援してくれました。母は娘が争議に関わるのが不安で教職を勧めましたが」
若い娘は父親の目を通して世界を見つめ、父親の目に映った自分を見る。
父親や他の男たちの才能や知性、自尊心を自分のものと比べながら成長しようとする。
娘は「やさしく、あたたかで、強い、ハートがある男」のように成長した自分を肯定的に見ながら育つ。
心に抱いた肯定的な男性像はヒロインの旅をずっと支えてくれる。
「父親との関係を見れば社会性がわかり、母親との関係を見れば人間関係がわかる」と言われています。
男性の視点は社会に向かい、女性の視点は身近な人間関係に向かうからです。
「母親離れ」を始めた娘は、母や自分の女性的な視野の狭さにうんざりします。
今回のイボンヌも、
「勝ち取るために全力で戦い、世の中への意義を感じる父は、娘の政界入りを応援」
「母は娘が争議に関わるのが不安で教職を勧める」
という2つ見解のどちらに賛同したかといえば、迷うことなく父親の方です。
「母親離れ」をした娘には、母の視点は過去のもの、父親の視点は未来を照らすように映るのです。
わたしの父は短気で怒りっぽく衝動的に暴力を振るう人で、母はいつも誰かに依存してアルコールに現実逃避する人でした。
だからわたしは両親を反面教師として見て、「絶対あの反対側の人間になろう!」と思って育ちました。
そんなわたしでしたが高校生のとき、父を見直したエピソードがあります。
わたしの父は自営業の注文住宅の大工でしたが、大手建築会社の建売住宅がブームになったとき、すっかり注文が来なくなり収入が途絶えたことがあったのです。
「仕事が来ない間は大手建築会社の雇われ仕事をすればいいのに、お父さんはへんなプライドがあってそれもしてくれない」と母は嘆いていました。
1か月くらい家に引きこもって沈黙していた父は、以前に我が家(都営住宅)の自家製建具の木製ふすまや網戸をほめてくれた知り合いに声をかけ、団地内の注文を取り始めました。こうして注文住宅の依頼が来ない時期をしのいだのでした。
大工の仕事でもないのに楽し気に建具を作っている父を見て、「たくましいな、こういうときいじけて落ち込まずに行動できるのはすごい!人に使われたくない意地(母の言うへんなプライド)だけで、ここまでできるのか」と疑問に思いました。
だから聞いてみたのです。「雇われて大工をやるのは、そんなに嫌なことなのか」を。
そこで父から返ってきた答えは予想外でした。
「大手建築会社の建売住宅の仕事はたくさんあったから、すぐ行ってやってみたさ。
でもな、あんな欠陥商品みたいなシロモノは俺が造る家じゃねえって気がついて、半日で辞めた。
俺は大事なところは、細心の注意を払ってしっかり建てるんだよ。家は一生の買い物で財産だから。
それなのに建売住宅ってのは、最低限度の材料でできるだけ手間を省いて作るように決まっている。
俺はふつうの大工が釘を5本打つところを10本打つ。それが俺の流儀だ。
なのに建売住宅の奴らは、釘3本でいい、見えないところなんてわからないから、手を抜いていいとかぬかしやがるのさ。
そんなの見ていると、そんなくだらない家が人気なんだと思うと腹立ってくるから、すぐ辞めた」と話したのです。
このときわたしは親としては反面教師としてしかみていなかった父を、「最高の大工の棟梁だ、かっこいい!」と見直したのです。
そして自分が社会に出るときは、このくらい真剣な思いを込められる仕事に就きたいと心底思ったのです。
だから、父や母が願った「娘たちがみんな高卒で銀行に就職してくれたら、安上がりで早く家にお金が入る」という期待をきっぱり打ち砕き、両親の反対を決死の覚悟で押し切り、臨床検査技師になる道を選びました。
25年間1日も病欠することなく、好きな仕事で病院勤務ができたのも、占い師を天職として充実した鑑定ができるのも、父の仕事に対するプロ意識を垣間見たからだと思っています。
わたしは父のプロ意識に「男らしさ」を感じて、自分に近づけたのです。
今さらだけど、「お父さんありがとう」と今度あったら言ってみようと思います。
次回は「スピルバーグのホロスコープ」、次々回は「自分を愛せなくなった人々へ」、その後「ヒロインの旅」に続きます。
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