Good Luck/アレックス・ロビラ
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こんにちは、リブラです。


前回では、「魔法のクローバー探し」を完全にあきらめ、意気消沈していた黒いマントの騎士サー・ノットのところへ、魔女モルガナが現れました。


マーリンの忠実な下僕であるノットは、本来ならば魔女のうさんくさい取引になど耳も貸さなかったはずなのに、モルガナの話を信じてしまい、マーリンを殺して「魔法のクローバー」を手に入れる取引を承諾してしまいました。


誇り高い騎士が、こんなにもあっさりと自分を見失ってしまったのは、なぜでしょうか。


「怒りの感情」につけ込まれたからです。

騎士のプライドは「魔法のクローバー」を手にできなかったことを、マーリンがウソをついたせいにして、ノット自身の落ち度として認めるのを拒んだのです。


外の世界が幸運も不運も握っていると信じる人々は、このように自分の非を認めず、原因は誰かのせいや環境のせいにして、自分が負うべき責任から逃げてしまいます


もしも、ノットに森に入る以前の「マーリンに使命を託された誇り高き勇敢な騎士」としての信念が、森の住人やモルガナのいったことぐらいで揺るがないものであれば、たとえ「魔法のクローバー」を得られなかったとしても、ないものを探しているとバカにされても、だまされているのだとそそのかされても、自身の主君を殺してまで得ようと欲望の虜にはならなかったはずです。そこまで騎士の品格を落とすことを「騎士の信念」が許さなかったはずです。


ノットの「騎士の信念」はノットのコアでなく、ノットの外側に属していたのです。

そして、シドの「騎士の信念」はコアとして内側の、誰にも影響されない場所に在るのです。


今回、魔女モルガナは白いマントの騎士サー・シドの前に現れます。


「暗闇」


最後の晩、シドはなかなか寝付けず、何時間も自分が敷いた土を眺めていた。突然、茂みの向こうから、フクロウが鳴く声と物音がした。


「誰だ?」シドは剣持って身構えた。

「まあまあ、そうあわてるな。わしは、魔女モルガナさ」

「こんな夜更けに、なにかご用かな?」

「明日の朝芽を出すことになっている『魔法のクローバー』のことで、マーリンがウソをついたのを知らないだろう」

「それはどういうことだ?」

「魔法のクローバーは幸運なんか呼び込みはしないのさ。呼び込むのは不幸の方なんだよ。わしが、この手であのクローバーを抜くものが3日以内に死ぬように呪いをかけたのだから、間違いない」


「だが、マーリン殿がそんなものをわたしに摘み取らせても、なんの得もない。でたらめを申すな」

「でたらめなものか。なにせそのクローバーを摘まないことには、マーリンが死んでしまうのだからね。だから、マーリンは誰かにそれを摘ませたくて、騎士たちを森に向かわせたのさ。これで、謎が解けただろう?」


「なるほど、ならば今夜中に城に帰ろう」

「それが賢明というものさ。サー・ノットは今頃城へと馬を走らせているところだろうよ」

「だが、マーリン殿にお会いし、あの方直々に魔法のクローバーを摘み取っていただく。摘み取らなければマーリン殿が亡くなると、お前はいったな。だが、摘み取ったのがマーリン殿だとしたらどうだ?その矛盾のおかげで、お前の呪いもやぶれることだろう」


この知恵くらべの負けを認めたモルガナは、無言でくるりとシドに背を向け、暗闇の中へと消えていった。


残されたシドはやりきれない気持ちだった。ノットがあんな魔女の言葉を信じてしまうのか。マーリンはいつもこの王国を正しい方へ導いてきたというのに。騎士にとってもっとも大事なことのひとつは、信念に忠実であることであったはず。


この森に来てから今日まで、シドはずっと、目標と信念に忠実に行動してきた。その誇りは、モルガナのように意地汚い魔女の甘言に揺さぶられるようなものではなかった。


なにかが上手くいき始めると、それに目をつけた人々が甘い汁を吸おうとやってくる。大事なのは、その中で自分を見失わずにしっかりと本来の目標を見すえていられる気持ちの強さだ。


できることをすべてやったら、焦らず、あきらめぬこと。

自分には必ず幸運が訪れると信じ、甘い言葉には耳を貸さぬこと。


次回はこの続き「風と雨」のお話です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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