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こんにちは、リブラです。
前回で、黒いマントの騎士サー・ノットは湖の女王からも「この森で魔法のクローバーは生えない」と聞かされ、さらに不安を募らせます。
3日目も依然として進展が見られません。
一方、白いマントの騎士サー・シドは、ノームの情報から「新しい土」を得、湖の女王の情報から「水源」を得ました。
ここで、注目していただきたいのは両者のマインドです。
ノームも、湖の女王もふたりの騎士たちに同じことを話しているのです。
ノットは「魅惑の森に魔法のクローバーが生えるか、生えないか」に思考を振り回されています。そこにしか、自分の幸運がないと思っているのです。
つまり、この時点でノットの頭の中では50%の思考回路が「無いのだから、探さなくていい」、残る50%だけが「あるのだから、知っている者探そう」と稼働している状態です。
シドは最初から「魅惑の森にクローバーは生える」ものとして思考回路を総動員しているので、「生えなかった場合を考える」ことにエネルギーを注いだりしません。だから「なぜ?いかにして?」と「クローバーの生える条件」を探して行くことに集中できるのです。
相反するエネルギーを2方向に向けて分散させてしまうマインドと、1方向に集中させてるマインドでは、どちらが強く行動やモチベショーンに結びつくか明白ですよね。
シドはすでに「魔法のクローバーが生えるのに必要な土と水」を手に入れました。前回の湖の女王とのやりとりでは、自分がほしいものと女王が望んでいる状態の一致点を見つけ、自身が解決することで他者にも幸せをもたらすことまでしています。
これは「自己愛の自然な無限の流れが他者への愛にもなっていく」=慈愛です。とても無理のない、消耗しない、豊かで広がりのある愛の形です。
こういうマインドの持ち主が、幸運の女神を引き寄せるのです。類は友を呼ぶといいます。幸運の女神は、人に幸せを与えるのが喜びの存在です。
そして、今回ふたりの騎士は魅惑の森の長老セコイアに出会います。
「木」
ノットは目覚ますと同時に「湖の女王に魔法のクローバーなど生えない」といわれたことを思い出し、森の中で誰も自分に味方してくれない惨めさにおそわれた。暖かいベッド、親しい人との語らい、美味しい料理・・・。なにもかもが懐かしく思えた。「もう、やめてしまおうか」という考えが浮かんだ。でも、首を強く振って、「俺が必ずクローバーを見つけてやる!」と気を取り直し、森の長老セコイアに会いに森の中心に向かった。
魅惑の森の最初の木が「セコイア」だった。この森は彼女を中心に何千年もかけて、ゆっくりと広がっていった。だから、「セコイア」はこの森のことならなんでも知っていた。
ノットは苔むし雄大な雰囲気を漂わせている大木を見つけ、声をかけた。
「セコイア、木々の女王よ。わたしはノットだ。尋ねたいことがある」
「これはこれは。噂の騎士殿だね。森の声は枝を渡り、根を通り、なにやら探しものをしていると、伝わっているよ。さあ、聞きたいことがあるなら早く聞いて、また、眠りにつかせておくれ。わたしは五千歳だから、疲れてしかたがないのさ」
「それでは、手短に済ませよう。この森のどこかに魔法のクローバーが生えると聞いた。ノームも湖の女王もそんなものは生えぬという。それでこの森の長老である貴殿に聞きに来たのだ」
セコイアはじっと黙り込んで、五千年分の年輪の記憶をたどり始めた。
ノットはジリジリしながらそれを待っていたが、セコイアが黙りこんでいるのに耐え切れず、「さあ、早くしてくれ。わたしは急いでいるのだ」と急かしてしまった。
さらに時間が過ぎ、セコイアに無視されていると感じたノットは、馬の方へ引き返そうとした。
「どうやら、ノームや湖の女王がいったことはほんとうのようだよ。この森に魔法のクローバーは五千年間、一度も生えたことはない」
ノットは「やっぱり」という思いと「まさか」という思いが同時にこみ上げ、絶望した。運など最初から自分の手に握られていないのに、それを信じようとした自分に腹がたった。
ノットはセコイアに背を向けると、馬に乗りあっという間に立ち去った。
一方シドは、「土、水、とくればあとは日光だ!」と考えていた。
しかし、この森は暗く、魔法のクローバーがどれ程の日光を必要としているのかわからない。
「植物のことなら、セコイアに聞いてみるのがいいだろう」
そう思い立ち、森の中心に出かけた。
「全能なるセコイアよ。お話させてもらえませんか?」
セコイアは答えなかった。ノットの傲慢さに腹を立て、誰にも答えないつもりでいた。
「木々の女王よ。お疲れでなければ、どうかお答えください。いま、お疲れならば、また出直します」といって、シドはセコイアの前にひざまずいた。
「疲れていないといえばウソになるね。だけど答えようじゃないか。なにが聞きたいのかね?」
「ありがとうございます。魔法のクローバーを育てるために、どれ程の日光が必要か教えてほしいのです」
「ふむ」今度は木の女王にはわかりきったことだったので早かった。
「日陰と日向が半々になるようにしなさい。だが、この森にはそんな場所はないよ。見てのとおり日陰ばかり。それで魔法のクローバーは育たないのさ」
シドは遠慮がちに、こう申し出た。
「もしよろしければ、木々の枝をすこし落とさせていただけますまいか?」
「好きにするといいよ。枯れ枝を落とすだけで、いい陽の光が入ってくるだろうよ。木も喜ぶだろう。ここの森の住人はそういう手入れを五千年も先延ばしにしてきたのだよ」
「どうも、ありがとうございます」シドは丁寧に礼をいうと、セコイアを後にした。
「今日できることは今日やってしまったほうがいい」
シドはさっそく木に登ると枝を落とし始めた。すべての作業を終えるころはすっかり夜になっていた。
彼は疲れて重たい身体を横たえると、新しい土の匂いをかぎ、水流の音に耳をかたむけながら、木々の隙間に現れた夜空を見上げた。星が美しくまたたいている。
目をつぶると、クローバーの葉の形までがはっきりと想像できた。ちいさなハート形をした葉が4枚、朝の光を受けて輝いている。
シドは深く息を吸い込むと幸せそうに眠りに落ちた。
下ごしらえを先延ばしにしてしまえば、幸運はけして訪れてくれない。
どんなにたいへんでも、今日できることは今日してしまうこと。
次回はこの続き「小石」です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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