石川先生とアルゼンチン・タンゴ | おひろのブログ・libe

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思い付くままに…

ゲーテ「野にさくすみれ  うなだれて草むらに……  」の文庫本を常に持ち歩いていた頃   私は大垣市という所で看護学校に通う大人になりかけの少女でした    医師のインターンだった  メガネの似合う知的な石川先生は多分24~5才?    スリムでステキな顔立ちで  目を合わせるのが恥ずかしく最初に憧れた大人の男性でした    患者さんの心電図の検査を補佐する為に検査室に入った時に  しばし二人きりになり  彼は私に「君はどんな音楽が好き?     僕はタンゴが好きなんだ   特にアルゼンチン・タンゴが………」  緊張で息苦しく その後の会話は覚えていなくて  でも  それからタンゴのレコードを買ったり  ラジオで聴いたり  コンチネンタル・タンゴも嫌いではないけど    やはりアルゼンチン・タンゴが良くて  以来 私の身に付いたかの様に  今でも部屋に流れている     私が勤務中に腹痛になり  急遽  昼過ぎに虫垂炎の手術を受けることになった時に  手術台に上がる前に  殆ど裸になる様に言われた時   手術室に石川先生の姿を見つけ  顔から火が出る思いだった   友達と彼女のお兄さんと伊吹山にドライブに連れて行ってもらった時に  偶然 石川先生に会えて 美しいお母様と御一緒で  ほんの少しだけ言葉を交わしたけれど   私の家族の都合で看護学校卒業と同時に退職し  伊吹山以来  石川先生には  お目にかかる事は無かったけれど  女は初恋を忘れない   そして  アルゼンチン・タンゴを私の友としてプレゼントしてくれた事をとても感謝し   聴く度に彼の端正な面立ちを思い出す   よもや私が憧れていた事は御存知ないでしょう