先日、和菓子屋さんと思い偶然入ったお店が、

奈良漬け専門店で、

1つ買って帰りました。

 

妻がまた、食べたいというので、

再度訪問した際に店主とお話をさせていただきました。

 

その方は、ワインのソムリエでした。

 

「なぜ、奈良漬けなんですか?」

と、質問すると、

 

「ワインを作るのは、掛け算なんですよ。その年のぶどうの出来や産地、

それらを掛け合わせるんです。

 

しかし、漬物は引き算でつくるんですよね…。

 

だから、ワインと同じように掛け算でつくるとより美味しくなると思ったんです。」

 

「それで、奈良漬け専門店を…。」

 

もちろんその背景には、

様々な環境や要因があったと思います。

 

何もないところから奈良漬けを作りはじめたわけでなく、

もともと店主の母親が奈良漬けつくりの名人であったことなど…。

 

ただ、最も重要なのは、

「漬物は引き算ではなく、掛け算…。」

というこの独自の感覚。

 

この感覚が、

自分の心の一番純粋な部分にタッチしているからこそ、

奈良漬け専門店として成立しているんだろうな。

そのような想いが私の心に降ってきた。

 

「あ~、この店主は、あり方で生きている」と、…。

 

「自分の一番純粋な想い、ーティスティックな感覚を

ビジネスに流し込むことが大切なんですね。」と、店主に声をかけると、

 

「ありがとうございます。ソムリエなんで、その感覚を大切にしています。」

 

この一言を聞いた時、

スモールビジネスとは、

生産性や効率ではなく、

自分の心の一番純粋な部分にタッチした感覚をどれだけ流し込めるか…。

 

自分が大事にしている価値観、是が非でも達成したいこと、

譲れない想いなど「一本の筋」、「貫く想い」、

これが全てだな。

あり方で生きるってこういうことだな。

 

あり方を心の琴線と言い換えてもいいかもしれない。

「ご自分の思いの琴線」に触れたとき、

私たちは肩の力が抜けて、

自然体で、

ありのままでいることができる。

表情がパッと明るくなり、

私は、「これを軸にしていけば私は大丈夫」という力強さが一瞬で生まれます。

 

本当に不思議なんです。

 

そして、尊い瞬間です。

奈良漬け専門店の店主との会話は、

10分にも満たない時間でしたが、

商品以上のものを心に仕入れて、

お店を後にした…。