老子の格言で、『授人以魚 不如授人以漁』という言葉があります。

「空腹で困っている人に、魚を与えるか、魚の釣り方を教えるか。」

「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける。」

ここで大切なのは、
空腹で困っている人の状態の見極めと、
相手を相手以上に信じることだと思うのです。

現代は、
変化のスピードが早く、
また、社会が複雑で、
自分自身がどのような状態なのかを認識できていない人もいます。

精神的、肉体的に弱っていたり、
元気や勇気がくじかれ、
完全にやる気、
生きる自信を失っている状態では、
教えることもままなりません。

相手のの状況をよく聴き、
相手の心理状態に共感し、
相手の状態をありのまま受け止める、受容する。

状況によっては先に魚を与え、
安全で安心な状態を確保する必要があります。

安全で安心な状態を確保して、
相手の信頼関係が築けてから、
ここから大切になるのが、
「相手を相手以上に信じる。」という心構えです。

私たちは、
「相手から(自分は)信じられている!」と感じると、
自分の中に眠っている無限の力が発動するのです。
自分の中に眠っている力が引き出されるのです。

ここで、信頼関係が築けたからと言って、
魚をバンバン渡していたら、
勇気を持って前に進もうとしていた相手は、
依存体質になるのです。

空腹で困っている人が、
ちょっとしたヒントや環境で、
自分で釣り方を学ぶことだってあるのです。

勉強でいうなら、1から10まですべて教え込んでしまって、
自分で考えたり工夫することや、
新しい発見をする喜びを奪わないようにするということが大切です。

基本的な原理や原則を教え、あとは自分で考えさせる。

老子の格言(『授人以魚 不如授人以漁』)
「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、釣り方を教えれば一生食べていける。」

の本当の意味は、

『相手を相手以上に信じる心構え、これが、相手の無限の力を引き出す。』

と、私は理解している。