先月外科医に会った時に私があまりにも尿路変更術の違いによる管理方法やQOLの違いに関する質問が多すぎる、分かっていないと感じたらしく(その通りです)、オストミーナースにあったら良い、と紹介してもらいました。オストミーナースはこちらではWound, ostomy and continence (WOC) nurse と言うようです。日本にも同じ資格のナースがいるようですので同じ道をたどられてきた方にはおなじみかと思います。今回は初めてWOCナースに会うので時差ボケがまだ残る中マンハッタンの病院に行ってきました。次回からはNJ分院のナースでも大丈夫とのこと。


今回の目的は、回腸導管とインディアナパウチの管理方法、QOLなどの違いの理解を深めて術式の選択に役立てること。準備して行った質問は


それぞれの術式で、

  • 術後のフォローアップはどのようにされるのか。(マンハッタン、NJまたは自宅。頻度)
  • 旅行に行く時など、何時間くらいもつのか。(トイレに行く頻度は?)
  • 保険の費用負担の概要は?


回腸道管は、

  • 皮膚が弱いので皮膚のかぶれが心配
  • 漏れが心配。
  • 出先で漏れたら貼り直しはどれくらい簡単なのか。

インディアナパウチ(回盲部の弁を含む部分と上行結腸から新たな膀胱を作り、臍の部分にストーマをつくる。尿はストーマからカテーテルをさして排泄する)は、

  • 寝込んでしまったらどうなるのか心配。
  • トイレに行くタイミングがちゃんとわかるのか心配。
  • 夜起きなくてはならなくて寝不足になるのが心配
  • 万が一救急車で運ばれた時など、ちゃんとストーマが分かってもらえるか心配(尿道からカテーテルできないし。)

ナースのお話しより

手術全般:

  • 訪問看護師が術後はやってくるが、WOCナースではないことに注意
  • WOCナースとは術後にドクターに会うときに、一緒にスケジュールを組んで会うことになる。最初は術後2週間目で会う。
  • 手術に向けて、多くの蛋白を摂って、10−15分の瞑想、ウオーキングをすると良い。(多分手術前に心を落ち着かせることが大切ということを言いたかったのかな?)
  • 旅行に多くいくのならTSAトラベルカードをダウンロードしておけば、セキュリティやトイレに行く必要がある時に嫌な目に遭わずに済む。
  • 自分にとって何が優先事項なのかを考慮した上で尿路変更術をどれにするか決めたら良い


回腸道管:

  • パウチは3−4日ごとに交換。保険が全部カバーするので勿体無いと付けっぱなしにしないこと。
  • ちゃんと時間をかけて付ければ漏れない。慌ててつけると漏れることもある。
  • パウチがあっても、水泳、スクーバダイビング、マラソン、ダンスなど今と同じことができる。ステルスベルトというものを使うと良い。
  • 旅行に行くならレッグバッグを使えば4−5時間トイレに行かなくて良い。
  • ホテルに泊まる時は、ナイトバッグに『メディカルディバイス、捨てないで』とサインしておかないと部屋の掃除の人に捨てられる可能性があるので注意
  • パウチは接続部とバッグが分かれたトゥーピース(Two piece) 型と一体型のワンピース(one piece) 型がある。色々試して自分に合うのがどれかを探すのを勧める。一般的には、術後は、病院でトゥーピース型を使うが、接続部分に厚みがあり、バッグもカサカサ音がする感じで体を曲げる時に邪魔に感じるかもしれないから、退院したら、薄くて肌に馴染む素材のバッグでできたワンピース型を勧める。ワンピース型の方が皮膚への刺激も少ない。トゥーピース型の方は少しバッグが大きいけど、15−20分くらいしか多分変わらない。バッグに半分貯まったら捨てに行く。長くトイレに行けない時は状況に合わせてレッグバッグやナイトバッグを接続する。
  • 飛行機で旅行に行く時はバッグは必ず手荷物にして預けない。
  • 夜ぐっすり寝たいのなら回腸道管の方がいいのでは?
  • 日本にはオストミー用トイレがある(みたことないけど)

    左 トゥーピース型、右ワンピース型(裏から見たところと表から見たところ)




インディアナパウチ:

  • 2ヶ月間は試行錯誤の連続。特に最初の6週間は頻繁にトイレに行かなくてはならないので、これができないならこの術式はしない方が良い。(新たに膀胱の役割をするパウチが大きくなるまでの間、夜中も最初は2時間おきにトイレ。)
  • 6週間過ぎると必要に応じてトイレに行くようになる。個体差があるが、溜まってくるとそれぞれに“センセーション“(体に違和感があってトイレに行くとそれが治る)がある。
  • 最終的には6時間トイレに行かなくていい状態を目指すが、実際は3−4時間、長くて5時間が多い。
  • カテーテルは使い捨てすることになる。稀に消毒しながら使い回す人がいるけど勧めない。保険で月にカテーテル200本がカバーされるので、費用の心配はない。
  • 万が一のために、インディアナパウチがあるというコードが記されたMedi alert ブレスレットかネックレスをつけることが大切。救急隊員はこれを確認することになっている。意識不明などの場合、カテーテルかステントをつなぎっぱなしにしてバッグをつけることになる。(が、長いことそれが続くと尿が漏れるのを防いでいる回盲部の弁は機能しにくくなるだろうとのこと。)
  • 家の外に出る時には何があるかわからないから、毎日10本カテーテルを持って歩くのを勧める。
  • 大腸でできた代替膀胱(パウチ)には「ポケット」があちこちにあるので、全てのポケットにカテーテルを抜き差ししつつ、体の体制を変えつつ排尿することになるのでしっかり尿を排泄するには10分かかる(これは困る・・・。)出先で2−3分で出る分だけ出しても良いけど、夜にはしっかり出すなど、長いこと溜め込まないことが重要。
  • 飛行機では、みんなが寝てる間にトイレに行けばいいだけのこと。(これが結構難しそうなんですが・・・。)
  • どうしても外側にパウチをぶら下げたくない人が選択するけどそれだけではない。カリフォルニア州ではインディアナパウチが多い。医師が力を入れているためかはわからないけど、地理的に分布に違いがある。悪い選択肢ではない。
  • 6−8週間頑張れば、後は、個人個人で自分なりの方法を見つけていくから大丈夫。



情報源(ほとんどがオストミー関係):

アメリカのオストミー協会 www.ostomy.org

アメリカのオンラインサポートグループ(以前紹介した患者団体BCANと繋がっている):https://www.inspire.com/groups/bladder-cancer-advocacy-network/

ガーメントなど補助具:

  • www.ostomysecrets.com, 
  • www.stealthbelt.com, 
  • www.cmostomysupply.com, 
  • www.sns-medical.com/support-belts.html

オストミー後のエクササイズ:MePlusRecovery.com




正直な感想、回腸導管の話はいっぱい聞けたけど、インディアナパウチは、何となくお茶を濁されたというか、あまり詳しくは聞けなかった気がします。元々このナースはインディアナパウチばっかりだったそうなのですが、最初の2ヶ月が大変というお話が多く繰り返され、じゃぁ、それを乗り越えたらどうなんだ、という部分が何度聞いてもぼんやり・・・(You will figure out、とか、Not a bad option、とか。)。個人ごとに違うからやってみないとわからないということでしょうか。旅行中にトイレ10分占拠は現実的ではない気もします。


そろそろ決めないのと行けない頃なのですが・・・。今の所、一番情報が豊富なのは患者団体(BCAN)のHPなのでもう一度戻って調べてみようかなと思います。