東京45年【88-1】宇奈月温泉、心の確認 | 東京45年

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東京45年【88-1】宇奈月温泉

 

 

 

1986年 正月

 

 

玲は聞きもしないのに、いろいろ話した。

 

 

『その女性とは半年だったんだよね?』

 

 

『そうよ。そのくらいだけど?』

 

 

『それで4回しかしてないの?』

 

 

『そうよ。

 

だって挿入が無いから一人でするのと大差ないなと思って、

 

そりゃあ、乳首を嘗められたりは気持ち良いけど、

 

違いはそれだけなのよ。

 

その為にわざわざ、化粧して、おしゃれして、

 

ご飯食べてって。。。。もう良いかなぁと思ったのよ』

 

 

『それって、ハッキリ聞くけど、玲は女性とするのが好きって訳じゃあないって事?』

 

 

『うん、そうよ。

 

だって女同士って女心が分かるから面倒でしょう。

 

まあ、それが好きな人も居るんだろうけど。。。。

 

私は嫌だったわ。

 

その点、男は良く分からないから惹かれるんじゃないかな?

 

ドッキっとするし、ムッとする事もあったり。。。。

 

勿論男って言ったのは司の事よ』

 

 

『そうなんだ。ムッとするんだ。。。。』

 

 

『そうじゃなくて、何故それをしたか分かったら、

 

ああ、司は、そう思ってたんだって分かると、

 

また、好きになるのよ』

 

 

『じゃあ、俺は心配しなくて良いって事???』

 

 

『そうよ』

 

 

『じゃあ、女じゃないって事???』

 

 

『ん???私が女に走るって事?』

 

 

『そう』

 

 

『ないない、絶対ないわ。

 

その時はしょうちゃんが亡くなって、

 

その後に浮気男だったから、

 

ついフラフラってなっただけだから、それは無いわ』

 

 

『なんだ、そうなんだ。心配して損した』

 

 

『何それ?心配していたの?』

 

 

『そうだよ。

 

男なら取り返せば良いけど、女は分からない上に

 

女同士って、もっと未知だから、心配していたんだよ。

 

よかったー、安心した』

 

 

『そんな事は、直ぐ聞いてよ』

 

 

『だって、付き合い始めて直ぐの頃だし、

 

俺の方が片思いって感じだったから聞けなかった』

 

 

『もう。。。。でも、司が少しずつ分かって来るのは嬉しいわ』

 

 

『それで、竹中さんとはあまりよく無かったのに、続いていたのは何故?』

 

 

『それはね、見ていて上げなきゃって感じかな。

 

しょうちゃんは山の実績はあったけど、弱い人なの。

 

だから安心できる人が居ないと死んじゃいそうで。。。

 

だからかな。

 

だってしょうちゃんとは、亡くなる2年以上前から何もなかったのよ』

 

 

『じゃあ、茂子とお茶した時は?』

 

 

『あの頃には、とっくに無かったわ。

 

だから司が欲しくなったのよ。

 

で、しょうちゃんが亡くなって、1年後に山岳部の部室に電話したけど、

 

あなたは居なくて、あの時はあなたに会いたかったのよ。

 

こうなりたかったのよ。

 

そりゃあ、言い寄ってくる人も居て、

 

それで良いかなと思った事はあったけど。。。

 

セクシーじゃなかったのよ。

 

それも話したでしょう?

 

女は関係ない。俺に着いて来い!って言うのが良いって。

 

ハッキリ言うと、茂子さんから奪いたかったわ』

 

 

『そうなんだ。

 

俺はてっきり竹中さんの事が好きで、

 

好きで、ずっと待ってるんだと思っていた』

 

 

『逆よ。あの人は、私が冷たくすると直ぐに他の女に行ったわ。

 

仲の良い商売女もいたけど、

 

他にも甘えられそうな女性に擦り寄って行ってたわ。

 

それって、俺に着いて来いってのとは真逆でしょう?

 

私が好きなのとは真逆なの。

 

だからもう良いかって思っていたの』

 

 

『そうなんだ。玲、俺全部勘違いしていた。

 

もしかして最初から俺に惚れてた?』

 

 

『そうかな?うーん。惚れてはないわ。

 

でも、好きだったわ。

 

だって2回しか会ってないし、

 

本当はどんな人なんだろうって思っていたわ。

 

凄く興味があったわ。

 

凄く話しがしたかったわ。

 

もっと知りたかった。

 

でも、銀座で会った時、想像以上に男だった。

 

山好きのバカ男。。。。あははは。

 

それから、いろんな面を知る度に好きになっていって、

 

で、怖くなって、これ以上好きになっちゃあいけないって、

 

こんなに私を想ってくれる人はどこにも居ない。

 

この人だけだ。

 

でも居なくなったらどうしようって、

 

不安になってたら昼間の症状が出ちゃったの』

 

 

『なんだよ、それ。俺全部勘違いじゃん。

 

じゃあ、俺は自信持って良いんだね、玲』

 

 

『当たり前よ。

 

SEXをしただけで、ただ興味があるって男だったら、

 

京都まで追いかけて行かないわよ。

 

SEXの相手が欲しい訳じゃないわ。

 

その前に必要な物が有るのよ。

 

普通に東京で生活して居るわ。

 

しかも、3日も男の為に仕事を休んだりしないわ。

 

でも、あなただから、行ったのよ』

 

 

『そうなんだ???』

 

 

『好きだけど全部を掛けられない男だったら、

 

夜行列車に乗る???

 

ボックス席で、お尻が痛くなるのよ!!!

 

大好きな人じゃなきゃ、6時間もお尻の痛みを耐えたりしないわよ』

 

 

『お尻の痛みが我慢できるかどうかなんだ???』

 

 

『もう。。。例え話よ!!!それに、愛していない男とアナルSEXなんてしないわよ』

 

 

『それは、していないから。。。。。。』

 

 

『愛していない男とそんな話はしないって事よ!!!あなたを愛しているの!!!』

 

 

『そうなんだ?』

 

 

『そうでしょう。

 

私はあなたを見てきたの。

 

あなたが好きなの。

 

あなたがしてくれた事が全部好きよ。

 

しょうちゃんの墓参りに連れて行ってくれて、バイバイさせてくれて、

 

ご両親にも会わせてくれて、

 

副会長にも。。。。

 

うちの両親にも会ってくれて、

 

あの京都も、

 

あなたとのSEXも、

 

私が初めての旅行相手だって事も、

 

あなたの初めての温泉に一緒に入れたことも、

 

今日、黒部駅で荷物を持ってくれた事も、

 

銀座でもそうだった。

 

道を歩きながら私に歩き易い道を譲ってくれる事も、

 

雑炊を作ってくれた事も、

 

全部好きなの!!!

 

感じろとか言って、一番感じていないのは、司よ!!!

 

全く!!!』

 

 

『ふーん。そう言う事か。。。。』

 

 

『もう、いい加減分かれよ!!!バカ男!

 

いい、よく聞いて!

 

私、玲子は、あなた、司が大好きです。

 

何よりも好きです』