昨年の惨劇が僕の脳裏をよぎる。打ち上げ台船を突如襲った火災、そして無情の中止。自然も人間も、一瞬の油断で全てを爆発させ、台無しにする凶暴性を秘めている。
ここ数日、関東の空は夕刻を迎えると牙を剥き、猛烈な雷雨が大地を叩きつけていた。悪条件はすべて揃っていた。周囲に漂うのは、挫折の予感と緊迫した空気だけだ。
――だが、運命は僕を裏切らなかった。
打ち寄せる雲を力ずくでねじ伏せるかのように、空は完璧なコンディションを取り戻した。漆黒の闇の中、僕が手にしたチケットが示す場所は、他の観客を遙か後方に従える最前列――最前線(フロントライン)の特等席だった。
重低音とともに巨大な火柱が夜空を打ち抜き、圧倒的な光と熱量が視界を満たす。僕は煙草の煙を吐き出しながら、冷ややかな眼光でその光景を見据えた。
天候の急変も、過去の惨劇も、己の前では何の意味もなさない。圧倒的な強運をこの身に引き寄せ、支配する。肉体と強靭な意志が勝ち取った最高の瞬間に、僕は静かに己の運命を讃えた。

