来年、手中に収める予定の野営車両(キャンピングカー)。その機動力を最大限に引き出すためには、緻密な事前調達と装備の選別が不可欠だった。

まず白羽の矢を立てたのは、頭髪を乾燥させるための「ドライヤー」という名の兵器だ。

標的として浮上したのは二つ。
圧倒的な風圧を誇る『ダイソン HD08』。そして質実剛健な『ヴィダルサスーン VSD-1271/KJ』。
いずれも二万円の大台を軽く突破する、高価なハイエンド・ギアだ。スペックに不満はない。だが、戦場でのコストパフォーマンスを考慮すると、わずかに胸に引っかかるものがあった。

そんな折、広大な倉庫型店舗「コストコ」の冷たい照明の下で、その異端児は静かに佇んでいた。

——『GEEK 1001』。

聞き慣れぬその型番に目を留め、展示機をその手で握り取る。グリップの感触を確かめ、スイッチを叩き込む。
瞬間、掌に伝わる激しい振動と、吹き出す強烈な風圧。

(……ほう)

直感的に悟った。風量において、先述した二大高額機に一切の引けを取っていない。
シートに刻まれた数字を見る。五千円を容易く下回る、圧倒的な破壊力を持つプライス。

「迷う理由は、どこにもない」

冷徹な計算が弾き出した解はひとつ。
僕は躊躇することなく、その漆黒のパッケージをショッピングカートへと放り込んだ。