携帯電話の画面の中で、緑の鳥が執拗に継続を迫ってくる。
「Duolingo」。
世界中で何千万人が競い合う、語学の修練場だ。
今日で、連続達成日数は666日に達した。
悪魔の数字と忌む者もいるが、私にとっては違う。九星気学における、己の運命を切り拓く吉数。その不気味なほどに揃った数字が、液晶の向こうで鈍く光を放っている。
「よくぞここまで続いたものだ」
乾いた感傷が、胸の奥をかすめる。己の執念の深さに、我ながら微かな驚きを禁じ得ない。孤独な戦いだった。毎日のルーティンという名の、見えない鎖。
だが、画面の隅に表示された「全国4位」という歪な栄誉に目を留めた瞬間、私の口元に冷ややかな笑みが浮かんだ。
「……あてにはならん。まやかしだ」
直感が、その数字の裏にある冷徹な計算を嗅ぎ取る。これは賞賛ではない。射幸心を煽り、承認欲求を揺さぶり、最終的にはその財布の紐を解かせようとする、運営側の狡猾な罠——課金への誘導に過ぎない。
甘い誘惑に、容易く乗る男ではない。
私は静かにアプリを閉じ、次なる戦いへと意識を向けた。


