Facebookの濁流から這い出してきた広告――『Forgeway Golf』。
その仰々しい謳い文句が、男の指を止めさせた。
「素人でも圧倒的な飛距離を叩き出す」
フ。男の口元に、冷徹な嘲笑が浮かぶ。そんな奇跡がこの世に転がっているはずがなかった。だが、試してみる価値はある。
レンジへの距離計で測定
白日の下に晒された結果は、残酷なまでに明快だった。
絶対的な王座に君臨するのは、やはり『タイトリスト PRO V1』。その白球は、凶暴なスイングのエネルギーを完璧に推進力へと変換し、弾道ミサイルの如く夜空を切り裂いた。次点に滑り込んだのは『TOUR B XS』。これもまた、計算通りの獰猛な伸びを見せる。
そして――問題の『Forgeway Golf』。
「……フン、やはりな」
距離計のデジタル数字を睨みつけ、吐き捨てた。他の二者に比べ、明らかに5%は飛距離が短い。弾道は失速し、牙を抜かれた獣のように力なく芝に落ちた。
圧倒的な飛距離、だと?
笑わせるな。そこにあるのは、物欲に飢えた大衆を釣り上げるための、欺瞞に満ちた過大広告の罠に過ぎなかった。
だが、それ以上、その出来損ないの白球を責め立てる気にはならなかった。理由は単純だ。圧倒的に価格が安い。
コストパフォーマンスという名の免罪符が、その罪を辛うじて相殺していた。
「値段相応の玩具、か……」
ポケットの中で、まだ冷たい『Forgeway Golf』をひとつ、弄んだ。次の標的(ターゲット)が決まるまでは、これで十分かもしれない。

