豊橋鉄道田口線、その痕跡をたどるように辿り着いた
三河大草駅跡。

トンネルに足を踏み入れる。
外の光が、ゆっくりと遠ざかる。

抜けた瞬間——景色が変わる。
一面の緑。
どこか現実離れした、静かな森。

振り返る。
今度はトンネルの向こうに、田園風景が広がっている。

同じ場所。
だが、二つの世界が隣り合っている。

なぜだろう。
ただ通り抜けただけなのに、強く印象に残る。

ここは、かつて人が行き交っていた場所。
それが今は、静かに時間を止めている。

——もったいない。

そう思う一方で、この静けさだからこそ残る価値もあるのかもしれない。

そう考えたとき、この場所の意味が少しだけ変わった気がした。