深夜のカラオケ。
時間の感覚は、すでに曖昧になっている。

マイクを握る。
だが、今日は少し違った。

エコーが強い。
声がやけに遠くへ伸びていく。
自分の声なのに、どこか他人のように聞こえる。

なぜだろう。
その違和感が、逆に面白い。

隣には、初めて会う人。
それでも不思議と距離は感じない。

歌う。笑う。
その繰り返しだけで、時間が進んでいく。

気づけば、さっきまでの“初対面”という言葉が意味を失っていた。

——悪くない。

深夜という時間帯が、余計な壁を取り払うのかもしれない。

そう思いながら、
次の曲を選んでいた。