午後はセミナーでスピーカーを務め、その流れで仲間と居酒屋へ向かった。
少し遅れて合流した彼女——25歳の看護師だという。
話を聞くうちに、ただの参加者ではないとわかる。
自分の人生を変えたい。そのために、まったく新しい分野に踏み出そうとしている。
言葉は落ち着いているが、その奥にある覚悟は隠しきれていない。
軽い興味や気まぐれではない。
本気で変えようとしている人間の目だった。
なぜそこまで踏み込めるのか。
安定を手放すことは、簡単ではないはずだ。
それでも彼女は、前を見ている。
迷いがないわけではない。だが、立ち止まってもいない。
グラスを交わしながら、ふと思う。
こういう人間が、次の何かを掴むのかもしれない、と。
応援する——その言葉は簡単だ。
だが、今夜に限っては、少しだけ重みを持って口に出した。
この選択が、どんな結果につながるのか。
それはまだわからない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
——この一歩には、意味がある。


