飲み屋を出て、少し冷えた夜風に当たる。
酔いはほどよく回り、思考がわずかに緩んでいた。

何気なく視線を上げたとき、ふと足が止まる。

つつじ。

街路樹の脇で、鮮やかに咲き揃っている。
昼間なら見過ごしていたかもしれないが、この時間、この状態だからこそ、妙に目に残った。

なぜだろう。
特別な景色ではないはずなのに、どこか現実感が薄い。

ネオンの光と、花の色が交じり合う。
その境界が曖昧になった瞬間、ほんのわずかな違和感が胸に残る。

——こんなに綺麗だっただろうか。

答えは出ない。
ただひとつ確かなのは、この光景が、今の自分の中に静かに刻まれたということ。

足を動かしながら、もう一度だけ振り返る。

つつじは、何も変わらずそこにあった。