夜の横浜。
4月の週末というだけで、街はすでに答えを出していた。

どの店も満席。
扉を開けるたびに、同じ言葉が返ってくる。
「本日は予約でいっぱいです」

予想していなかったわけではない。
それでも、どこかで空いている店があるはずだと、淡い期待を抱いていた。

だが、その期待はあっさり裏切られる。

歩き続け、ようやく見つけたのがシラス専門店。
選択肢は、ほぼなかった。

席に着く。
周囲のざわめきが、どこか遠くに感じられる。

運ばれてきた料理は、見た目には悪くない。
ひと口、またひと口。

——まずくはない。

ただ、それ以上でも、それ以下でもない。
どこか決め手に欠ける味。

なぜだろう。
空腹は満たされているはずなのに、満足感だけが追いついてこない。

店を出たあと、夜風に当たる。
少しだけ冷たい空気が、頭を冷やしてくれる。

本当に求めていたものは、別にあったのかもしれない。
そう思ったとき、この夜の意味が、ほんの少しだけ変わった気がした。