横浜の中華街。
雑踏の中を抜け、
の暖簾をくぐる。
ここに来る理由は、ひとつしかない。
お粥だ。
運ばれてきた一杯は、相変わらず静かな存在感を放っている。
派手さはない。だが、その奥にあるものを知っている者だけが、この店に足を運ぶ。
ひと口。
やはり間違いない。
優しく、それでいて芯のある味。
体に染み込むように広がっていく。
——うまい。
その感覚は、以前と変わらない。
だが、ひとつだけ違和感があった。
会計のとき、ふと現実に引き戻される。
価格が、明らかに上がっている。
時代か。
それとも、この一杯の価値が、ようやく正当に評価されただけなのか。
答えはわからない。
ただ確かなのは、それでもまたここに来るだろうということ。
味という記憶は、そう簡単には裏切らない。