ホテルの最上階。
ラウンジのガラス越しに見下ろす街は、昼間とはまるで別の顔をしていた。
人のざわめきと、グラスが触れ合う乾いた音。
その向こうに、光をまとったドラゴンアーチが静かに浮かび上がっている。
間近で見たときの迫力は、確かに圧倒的だった。
だが、不思議なことに、こうして距離を置いて眺めるその姿には、別の意味が宿っているように感じられた。
光はやわらかく輪郭をぼかし、現実と非現実の境界を曖昧にする。
まるで、手の届かない何かを象徴しているかのようだった。
ラウンジは人で溢れている。
笑い声、談笑、誰かの高揚した声。
そのすべてが、遠くの光景とは対照的に、生々しく現実的だった。
同じ場所にいながら、まるで二つの世界が重なっている。
その違和感に気づいたとき、ふと胸の奥に小さなざらつきが残った。
あの光の中にあるものは、いったい何なのか。
そして、自分はいま、どちら側に立っているのか。


