あの歌声。(2)です。
お楽しみ下さい。
自己紹介も上げてあるので、そちらも是非。
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保乃side
久しぶりに会う同期も居るからか、会話に花を咲かせていると、後ろの方から
?「お疲れ様です。」
と聞こえた。
声のする方を見て見ると、階段下で歌っていた子が入口に立っていた。
小柄で、顔が小さく、背負ってるギターは体のサイズに合っていなかった。
その容姿はまるで天使のようで、
私はその子に一目惚れをした。
ひかるside
部室へ入ると、既に卒業した先輩が来ていた。
先輩へと軽く挨拶を投げかけ、マイクの前へと向かった。
ギターケースから相棒を取り出し、アンプに繋げた。
音量を上げて行き、歪みを効かせた。
まるで私の今の心情を表すかのように。
そしてLIVEが始まった。
保乃side
LIVEが始まり、演奏を聴いた。
やはりギターボーカルはあの子だったようで、階段下の時の歌声とは違い、低い声で自分の心の内を訴えかけるように歌っていた。
理佐の方を向き、
保「なぁ、あのボーカルの子何年生なん?」
理「2年生らしいよ、でもなかなかの問題児ってまつりから聞いた」
保「…そうなんや、名前は?」
理「そこまでは聞いてないなぁ、何?一目惚れでもしちゃった?笑」
保「別にそんなんちゃうわ!!!上手やなぁって思って気になっただけや!」
問題児。
その言葉を聞いた私は更にあの子の事を知りたくなった。
LIVEが終わり、まつりちゃんや、ほかの3年生と会話を弾ませていると、
松「そうだ!ほの先輩何か弾いてくださいよ!」
と言い、私をキーボードの方へと連れて行った。
保「えぇ、ここ最近弾いてへんから弾けるかわからへんで?笑」
そう言いながらキーボードの前に座り、リクエストが無いか聞こうとした。
その時ふと、ボーカルの子の事を思い出し辺りを見渡した。
部室の隅に椅子を持っていき、ひとりの世界に入っている。
もっとあの子のことが知りたい。
そう思った私は気づけばまつりちゃんにその子の名前を聞いていた。
松「あの子は2年生の森田ひかるちゃんです!ギターも歌も上手で頼れる後輩なんですよ〜!!…あ、でも!」
何か言いたげなまつりの声を遮り、私は大声でひかるちゃんの名前を呼んだ。
保「ひかるちゃん!!こっち来てや!!!」
そう投げかけるとポカンとした表情でこちらを見ていた。
ギターを置き、スタスタとこっちへと歩いてきた。
初めまして!と言うと、お疲れ様です。と、冷たい返事だけが返ってきた。
保「今から弾くんやけどなんかリクエストない??あ、せや!階段の下で弾いてた曲!あれなんて曲やっけ?ほの、あれ弾きたい!」
そう言うと携帯の画面を見せて、
曲名を教えてくれた。
〜♪♪
まるでチューニングが合ったように
君と出会った
ずっと求めてた理想の彼女
ひかるside
先輩後輩の馴れ合いは嫌いだ。
揉め事を起こすだけでいいことなんて何一つない。
適度に距離を置くのが1番いい、そう思っていたのに。
貴方だけは何故か違った。
他の先輩には無い感情。
私の名前を大声で呼んで、私が階段下で歌っていた曲を楽しそうに、幸せそうに弾く貴方を、もっと知りたくなった。
鍵盤を弾く綺麗な指、頭に響くような甘い歌声。
見るもの、聞くもの、全てを魅了されるかのように。
貴方を見ると何故か胸が苦しくなって、もやもやする。
この感情はなんなんだろう。
これが好き…?恋…?
言い表すことの出来ないこの感情を、私は恋と呼ぶことにした。
あぁ、私この人に一目惚れしちゃったのかも。
続
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