あの歌声。 (6)です。
お楽しみください。
保乃side
保「……何してるんやろ、笑」
寝ている後輩に告白して、その上キスまでしてしまった。
起きてたら引かれるんやろうなぁ…。
保「寝てくれててよかった…。」
起きてる時に言えたらいいのになぁ。
あわよくば付き合えたらいいのに…。
まぁ保乃には起きてるひぃちゃん相手に告白とか
勇気ないから無理やなぁ。
そんなことを考えていると、
ひ「……起きてますよ。」
あぁ、なんか、今ひぃちゃんの声が聞こえた気がする。
好きすぎて幻聴でも聴こえ始めたかな。
そんなことを考えながら、すやすや寝ているひかるを起こそうとひかるの方を向いた瞬間、目が合ってしまった。
ん…?目が合う…?声が聞こえた…?
保「え…起き、てた…?」
ひ「……はい、起きてましたよ。」
保「え、それは、そのいつから…??」
ひ「…保乃先輩が最初に声掛けた時ぐらいですかね。」
えっと…最初に声をかけた時…。
確か椅子に座ってて、理佐から連絡が来て、ひぃちゃんを起こして行こうとして、そこから…
保「えぇ!?!なんで起きてくれへんかったん!?」
ひ「いや、なんと言いますか、」
保「…………保乃がした事とか、言ったこととか、全部全部聞
こえてて、意識あったってこと…?」
ひ「…まぁ、そうなります…。」
あぁどうしよう。
やってしまった。
完全に気まずい空気が流れてる。
保「ごめん、嫌やったよな。」
「全部忘れてくれてええから、」
ひ「…忘れないですよ」
「いや、忘れれないです」
保「え…?」
ひ「ほら、先輩達待ってるなら早く行かないとですよ!」
保「え、あ、え、うん…。」
忘れない…?
忘れれない…?
期待していいってことなのかな。
いっその事…いやいや……。
……でもここで言わなきゃ、後悔する気がする。
保「…ひぃちゃん!!!!」
ひ「??」
扉の方へと向かうひかるに声をかけ、呼び止めた。
保「嫌われるの覚悟で言うな。」
「保乃、ひぃちゃんの事が好き。会って数時間で何言うてんねんって思うかもしれへんけど、階段の下で歌うひぃちゃんのこと見て、一目惚れした。」
「気持ち悪いって思われるかもしれへんし、嫌って思われるかもしれへんけど、ここで言わんと後悔しそうで嫌やったから。」
ひ「……。」
保「…ごめん、こんなん言われても困るよな、」
「急にキスしたり告白したりしてごめん。全部忘れて!」
あぁ、振られたなぁ。
そう思いながら扉の方へと歩き、扉の近くに居るひぃちゃんを横目にドアを開けようとすると、
ひ「まだ、返事してないです。」
保「え…?」
ひ「……き。」
保「ん、なんて、?」
ひ「……保乃先輩のこと、好きです。」
好き…。そっか、振られ……てない?
え?好き?ひぃちゃん今好きって言うた?
保「え、今なんて…?」
ひ「…だから、その、私も保乃先輩のこと、好きです。」
保「…、ほんまに本気で保乃のこと、好きなん…?」
返事を聞こうとしたその時だった。
ガチャ
?「おい!屋上は立ち入り禁止だろ!」
保「あ、やば!」
「すいません!ほら!ひぃちゃん行くで!!」
ひ「え!?あ、ちょ!!!」
?「あ!こら!待て!!!!」
私は気づけばひぃちゃんの手を握って走り出していた。
屋上に来たのは服装的に先生だろうな…
後ろから追いかけて来ていたため、巻くために空き教室へと逃げ込んだ。
保「はぁ、はぁ、」
「何とか逃げ切れたんかな…?」
ひ「はぁ、はぁぁ、」
「保乃先輩走るの早すぎませんか…」
保「そんな事ないよ…はぁ…」
すると、遠くの方から足音が聞こえた。
運良くここは教材やダンボール、授業で使わなくなったものを沢山置いている備品庫のような所だった為、教室の角にあるダンボールの影に隠れていた。
にしても、さっき告白したばっかりで、こんなに近い距離にいると変に意識してしまう…。
だめだめ、相手はまだ高校生だよ、落ち着け私。
ひ「……あの、保乃先輩。」
保「ん?どうしたん?」
ひ「さっきの返事なんですけど、」
保「え、あ、うん…?」
ひ「さっきも言いましたけど、好きです。先輩のこと。」
「一目惚れって言うかなんて言うか…。」
保「……保乃、めちゃくちゃ重いで?」
ひ「その方が愛感じれるじゃないですか、」
保「…すぐ怒るし拗ねるで、?」
ひ「受け止めます」
保「…ほんまに保乃でええの?」
ひ「……保乃先輩じゃなきゃ嫌です」
保「保乃のこと、幸せにしてな、ひぃちゃん」
ひ「任せてください」
そして私たちは、お互いの愛を確かめるかのようにキスをした。
続く
次はひかるsideであげようかなと、思ってます。
ではまた。