学パロです。
これからゆっくりと、森田村の小説を上げていこうかなと…。
長編になると思いますので、気長にお待ちください。
 
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ひかるside


高校に入学して早2年、恋なんてものはしてこなかった。
あの先輩と出会うまでは…。




今日は卒業した先輩がLIVEを見に来る日だ。
先輩との交流が苦手な私は、あまり乗り気じゃなかった。

いつものように相棒を抱えて階段下へ向かう。
チューニングを済ませ、好きな曲を口ずさむ。
誰も居ない私ひとりの世界。
私はこの空気感が好きだった。



保乃side



今日は引退した部活に顔を出す日。
何気に楽しみにしていた。
自分達が育てて来た後輩はどうなっているのか。
新しく入った部員はどんな子達なのか。
期待を胸に膨らませ、校舎へと足を踏み入れた。

昔から変わることの無い温かい空気。
靴を履き替え、3年前とは違う、私服で校内を歩く。



保「…懐かしいなぁ。」

そんなことをぽつんと呟くと後ろから声がした。

?「ほの〜!ちょっと待ってや!歩くん早いって!」

保「え?あぁ、ごめんごめん!!」


懐かしさに浸りながら歩く私を呼び止めたのは、同期の井上梨名だ。
現役時代に一緒にバンドを組んでLIVEをしていた。

井「もー!ほんまに変わってへんなぁ」
   「それよりもうみんな着いてるんかな?」

保「どうやろな?連絡してみる?」
   「まって、車に携帯忘れてしもた…取りに行ってくるから先行っといてくれへん?」

井「ほんまそういうおっちょこちょいなとこ、変わってへんなぁ、ほな先行っとくで!」



保「はぁ、最悪、」

LIVEの時間まで余裕を持って来たけど校内歩いたりしてたから時間ギリギリかもなぁ。

そんなことを考えながら車へ向かい、携帯を手に取り校舎へ戻った。

部室近くの階段を通ると綺麗な歌声が微かに聴こえる。
興味が湧き歌声のする方へと向かうと、小柄な女の子がギターを弾きながら歌っていた。
こちらに背中を向けて弾いてるため顔は見えないが、まるで天使のような雰囲気だ。

そんな雰囲気に思わず見惚れていると、歌声がピタッと止まった。
静寂が私を現実へと引き戻し、携帯の画面を見るとLIVE開始の10分前だった。

保「え、やば!!!!」

小走りで部室へ向かい、おはよー!なんて大声で叫び昔のように部室へと入った。



?「あ!ほの先輩!お疲れ様です!来ないかと思いましたよ!!」

そんなことを言いながら小走りでこちらへと向かってくる、私が1番可愛がっていた後輩、松田里奈だった。

保「あー!まつりちゃん!!久しぶりやなぁ!元気しとった!?」

松「元気でしたよ!!ほの先輩も元気そうでなによりです!もうすぐLIVE始まるので座っててください!!」

そう言われ、辺りを見渡し、いのりと同期を見つけて、その隣へと腰を下ろした。
部室内を改めて見回すと何やらみんなあたふたと走り回って誰かを探しているようだった。

保「…なぁ、みんな誰探してるんやろうな?」

?「あぁ、なんかギターボーカルの子が居ないみたいだよ」

そう話すのは、現役時代に部長を勤めていた渡邉理佐だ。
理佐とは今でも仲がよく、2週間に1回のペースで遊んでいる。
このLIVEに招待してくれたのも理佐だった。



保「LIVE直前に飛んだんかな?」

理「さぁ?でもよくある事なんじゃない?」

そんな話をしている時ふと、階段下で歌っていた子のことを思い出した。
もしかするとあの子では?と思い、まつりちゃんに報告しに行くことに。


松「え!?ほんとですか!?見てきます!ありがとうございます!!」

私にそう返すと走って部室を出ていった。
3年生も大変だなぁと思いながら席へと戻った。




ひかるside




?「もう、ここに居たんだ!!」

声がした方を振り返ると1つ上の先輩の里奈先輩が立っていた。


ひ「あれ?里奈先輩、どうしたんですか?」

松「どうしたんですかじゃないよ笑ギターボーカル居ないからみんな焦って探してたんだよー!ほら!LIVE!始まっちゃうから行こ!」

ひ「あれ、もうそんな時間でしたか、すみません。すぐ行きます!」

そう言って、里奈先輩と部室へと向かった。